新世代トライデント 630馬力、完全内燃V6エンジンサウンド、そしてその美しい姿「マセラティMCPURA」登場!その走行性能とは?
2025年11月29日
マセラティ MCプーラ(Maserati MCPURA):秋の憂鬱に立ち向かうトライデント。630馬力、V6エンジンサウンド、そしてベッラ フィグラ(美しい姿) – マセラティがMCPURAを発表。暗い季節の憂鬱な寒さが、湿った重い朝霧のようにゆっくりと私たちを包み込む中、マセラティはMCPURAで私たちの心を温めてくれる。
マセラティは、迫り来る秋の憂鬱と戦うアルプス以北の中央ヨーロッパのクルマ好きたちを元気づけるべく、新型「MCプーラ(MCPURA)」を送り出した。情熱的なデザインと、オプションのスカイライトがあれば、どんよりした気分さえ明るくしてくれる。そして電子的なアシストを一切排した純然たるメカニカルなV6オーケストラは、独特のモデナサウンドで冬の憂鬱を吹き飛ばし、320km/h超のスピードで迫り来る冬を追い払う。

「MC20」から「MCプーラ(MCPURA)」へ名称が変更しているが「フェイスリフト」という言葉が大袈裟に思えるほどの変更に留まっていて、新しい車とは到底言えない。
しかし、フロント部分のわずかな化粧直し、コックピット内の滑らかなレザーからアルカンターラへの変更、「GT2ストラダーレ」スタイルの新しいステアリングホイールさえあれば、人生の追い越し車線でベラ フィグラ(美しい姿)を演出するのに十分だ。なぜなら、この2シーターのクラシックなプロポーションは時代を超越しており、ハードトップを収納した「チェロ(Cielo)」ではプロファイルのラインは途切れているが、それでも皆が振り返るほど人目を引く存在であることに変わりはない。
マセラティMCPuraは、ランボルギーニ テメラリオと同等のクラス
「ランボルギーニ テメラリオ」、「フェラーリ296」、「アストンマーティン ヴァンテージ」と同等の、トップクラスのスポーツカーにこれ以上改良の余地はほとんどない。特に、エンジニアがパワートレインに手を加える場合、ほとんどの場合が電動化されるのだが、「MCPURA」は、電気のペースメーカーを必要としない、熱い心臓を今も持ち続けている。「ネットゥーノ」と呼ばれるこの6気筒、排気量3リッターのパワフルなエンジンは、F1のバイターボと、いわゆるプレチャンバー方式、ダブルインジェクション、ダブルイグニッションを採用しており、エンジニアたちを魅了し、ガソリンヘッドたちを、ローリング ストーンズが全盛期に見せたような、ダーティで生意気なサウンドで楽しませてくれる。

しかし何よりも、エンジンは驚くほど早い段階で非常に強力なトルクを発揮する。ドライバーが「ターボラグ」という言葉を思い浮かべる前に、ネトゥーノはすでに三叉の矛を胃袋に突き刺し、「MCPURA」を地平線に向かって飛び出させる。630馬力と730Nmが1,500kgにも満たない車体に作用すると、質量の慣性は取るに足らないものとなり、時間は突然、非常に相対的なものになる。8段デュアルクラッチが、ほとんど気付かないほど素早くギアをシフトし、後輪がアスファルトに食い込むと、3秒も経たないうちに、デジタルスピードメーターに3桁の数字が点滅し、その後も勇敢にアクセルを踏んだままにしておけば、表示が330km/h近くまで上昇するのを見ることができる。
この美しいボディには、2つの心臓が鼓動している。妥協を許さないサーキットレーサーと、快適なグランツーリスモだ。センタートンネルにあるロータリースイッチで5つのドライビングモードのいずれかを選択すると、そのモードに応じて、どちらかの心臓がリズムを刻む。「スポーツ」や「コルサ」を選択したり、「ESCオフ」の位置に勇気を持って設定したりすると、「MCPURA」はトラックツールとして、アグレッシブな走りを披露する。アダプティブサスペンションは堅固で、ステアリングは繊細かつダイレクト、そしてエレクトロニクスは遠く離れたバックグラウンドで監視するだけの存在となり、直感的に操れるドライビングマシンとなる。ドライバーが「曲がろう」と思った瞬間にすでにコーナーを切り裂き、アクセルに足を乗せる前から次の加速へと移っている。

でも、ドライビングモードを「GT」に戻すだけで、マセラティは爪を引っ込めて、楽しいスポーツカーに戻る。ハンドルは2本の指で軽く握るだけ、驚くほど快適なバケットシートの背もたれを少し後ろに倒し、重厚でありながら決して派手ではなく、ましてや気まずさを感じさせることのないエンジン音に耳を傾けながら、この車は田舎道を軽やかに走り抜け、アペニン山脈の海岸沿いの山道にある凍結による路面の凹凸さえも滑らかに走り抜け、カーブを曲がるたびに口元がさらに上向きになる。
トライデントは容赦なく刺し貫く
遅くともその時点で、ガラス製の屋根を後部まで完全に倒し、トップレスで1日を楽しむために必要な数秒間の時間を、喜んで割くようになる。秋は、結局のところ、あっという間に、そして十分に寒くやってくるのだ。そして、人里離れた裏道の小さな道で、トラクターが現れたり、三輪トラックが峠を登ったり、おばさんが古い「パンダ」を運転したりしても、勇気を持ってアクセルを踏めば、トライデントは容赦なく刺し貫く。瞬く間に障害物を乗り越え、道は再び開かれるのだ。

もちろん、今回のモデルチェンジでは「表面的な変更」に留まり、実際には名称の変更以上の変更は行っていない。しかし、第一に、このような時代においては、それは決して悪いことではない。そうでなければ、電動化とデジタル化の脅威に常にさらされることになるからだ。第二に、V6スポーツカーには、そもそも改善すべき点などほとんどないのだ。結局、アスピリンも基本的な処方は今も昔も変わらない。そして、すべての鎮痛剤の源流であるアスピリンが、いつでもどこでも効果を発揮するように、「MCPURA」は、アクセルを踏んだ瞬間から、あらゆる悪い気分を癒やし、気分を明るくしてくれるのだ。
夏か秋か?灰色の空か青空か?MCPURAを数分走らせるだけで、心の中には太陽が差し込む。とりわけ「チェロ」ならなおさらだ。そして、これには処方箋もいらない。残念ながら健康保険も適用されないが。クーペが221,500ユーロ(約3,876万円)、スパイダーが256,350ユーロ(約4,486万円)となれば、少しくらい補助が出てもよさそうなものだ。
Text: Thomas Geiger
Photo: Maserati

