なぜ?ベルガーが愛車のフェラーリF40を売るのをやめた理由。

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元フォーミュラ1ドライバーで現在はDTMレースシリーズのボスでもある、ゲルハルト ベルガーは、サザビーズのオークションで長年所有していたフェラーリF40を売りに出していたが、結局出品を取りやめ、維持することにした。その理由は以下の通りだ。

セナの唯一無二の大親友
オーストリア人ドライバーのゲルハルト ベルガーは、F1ではベネトン、フェラーリ、マクラーレンなどで活躍した人気レーサーで、ミケーレ アルボレート、ナイジェル マンセル、ジャン アレジなどとチームメイトとして戦った。そして、アラン プロストの代わりにマクラーレン ホンダに入ってからは、アイルトン セナと仲良くなり、友人が少なく孤立しがちだったセナの唯一と言ってもいい大親友となった。
ベルガーは、F1リタイア後もレースの世界に貢献し続け、レッドブル レーシングのアドバイザーとして、レッドブルのF1進出と成功に一役買った。
そして、2017年からは、ドイツツーリングカー選手権(DTM)を運営する「ITR e.V」の代表を務めている。

あなたは億万長者ですか?
そして大のフェラーリファンですか?
それなら、DTMのボスであるゲルハルト ベルガーに連絡を取った方がいいかもしれない。
もしベルガーのお気に召せば、あなたは伝説のフェラーリF40の誇り高いオーナーになれるかもしれないからだ。
実はDTMのボスは、彼の所有する赤いレーサーを、つい最近までイギリスのオークション プラットフォーム「RMサザビーズ」で競売にかけていたのだった。
結局、最後のオンライン入札額は、925,000英ポンド(約1億3,400万円)だった。
しかしこの金額はベルガーにとっては納得のいかないものだった。
そのため、彼はオークションを終了し、彼のF40を自分の手元に回収したという。
ベルガーは明かす。
「自分が夢中になってしまったのは、ほんのちょっとした瞬間だけだった。それから考えたんだ。もう少し様子をみようと。今、F40はガレージに戻っていて、元の状態にある。今のところ、もう売りに出すことは考えていない。でも僕は気まぐれだから、気分次第で考えがまた変わるかもしれないけどね。もしかしたら明後日にはまったく違う考えになっているかもしれないな(笑)」と語った。
ベルガーがフェラーリのアイコンを購入したのは2019年5月のこと。
この時点でF40の総走行距離はわずか3万kmに過ぎなかった。
備わった証明書には、シャシーとエンジンがオリジナルの状態であることが保証されている。
唯一の変更点は、チタン製の「ルマン クイックシルバー」スポーツエキゾーストシステムだ。
基本的なバージョンでは、F40のV8ツインターボは478馬力を発揮する。
彼の購入時の価格は400,000ユーロ(約5,000万円)だった。

フェラーリF40は、1987年から1992年までマラネッロで製造された。
フェラーリの生みの親、エンツォ フェラーリが、フェラーリ創立40周年を記念して、このプロジェクトに自らインスピレーションを与えた。
F40は、コメンダトーレ(総統=エンツォ フェラーリ)の時代に開発された、最速かつ最後のレッドレーサーだった。
ベルガーは1987年に、エンツォ フェラーリ存命中に、フェラーリF1チームに加入した最後のドライバーであり、エンツォ自身にも可愛がられ、開発途上の「F40プロジェクト」をマラネロで直に目にするという貴重な体験もしている。

ゲルハルト ベルガーと彼の愛車、フェラーリF40

ベルガーの所有するF40の経歴も興味深いものだ。
文書によると、それは27台目にマラネッロの工場から出荷された。
文書によれば、その個体は1990年3月27日にマラネッロの工場を出て、シンガポールと日本を経由してハンブルクに来たとされる。
ドイツのハンザ同盟市にある、フェラーリのディーラーで、2017年に8万ユーロ(約1千万円)をかけてオーバーホールし、その後彼の手に渡ったという。

F40のファンはベルガーだけではない。
今期までフェラーリで活躍したF1レーサー、セバスチャン ベッテルも1台所有しており、このモデルを「もっともお気に入りのフェラーリ」と呼んでいるほどだ。
ベルガーの元チームメイトでもある、ジャン アレジは、息子ジュリアーノのフォーミュラレーサーへのキャリアの資金調達のために、2020年6月に彼の愛車であったF40を売却している。

F40は1,311台しか生産されていない。
ベッテルの主有するF40は以前、世界一のテノール歌手、ルチアーノ パバロッティが所有していたものだ。

F40はフェラーリの歴史の中でも人気の高いモデルであることは言うまでもなく、今後もその値段や価値は決して下がることはないだろう。さすがに250GTOのようなレベルの価格になることまではないとは思うが、それでも今の価格がいきなり下落することはあり得ない。
今回のベルガーのF40につけられた価格、1億3400万円決して安くはないが、高くもないような気もする価格だったが、ベルガーにはその価格は不満だったのだろうか…と理屈っぽく書いてはみたものの、これはそういう価格うんぬんの話ではないような気がする。
ベルガーにとっては金額面というよりは「やっぱり売りたくなくなっちゃったから、売るのや~めた」という程度の話なのではないだろうか(ベルガーにとっては、若干高く値段がついたところで、あまり関係ないだろう)。
つまりこれは、やはりF40を手元に持っておきたい、という彼の心変わりの話なのではないか、と私は思う。

※楽しいF40の話。こちらもどうぞ。
【動画付き】80歳になってもスーパーカー「F40」を乗りまくる英国人

Text: Bianca Garloff
加筆:大林晃平
Photo: RM Sotheby’s