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SUPER GT最終戦でau TOM’S GR Supra 坪井、山下コンビが優勝を飾りSUPER GT史上初のシリーズ3連覇を飾る!!

2025年11月12日

栃木県のモビリティリゾートもてぎ(1周4,801m×63周)で今シーズンの最終戦である 2025 SUPER GT Rd.8 MOTEGI GT300km RACE GRAND FINAL決勝レースが11月2日(日)に開催された。サクセスウエイトゼロのガチンコレースの中、トップチェッカーを受けたのはNo.1 au TOM’S GR Supra 坪井 翔/山下 健太 。これによりSUPER GT史上初の3連覇を達成した。GT300クラスのチャンピオンはNo.65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥/菅波 冬悟。

GT500 タイトル争いは5チームに絞られた

GT500クラスはレース前時点でのポイントリーダーNo.1 au TOM’S GR Supraが2番手スタート、トップから6ポイント差で2位につけていたNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraは何と13番手スタートなり、8.5ポイント差で3位につけていたNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTは7番手スタート。そして9.5ポイント差で4位につけ、今回のレースでGT500を降りてしまう石浦の乗るNo.38 KeePer CERUMO GR Supraが見事ポールスタート。優勝すればタイトルに手が届くNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraが12番手、No.37 Deloitte TOM’S GR Supraは14番手スタートのポジションから最終戦のスタートの火蓋が切られた。

GT500クラス スタートシーン。ポールポジションスタートのNo.38 KeePer CERUMO GR Supra 石浦が好調なスタートダッシュを決めたのだが。

ポールポジションスタートのNo.38 KeePer CERUMO GR Supra 石浦はタイヤ特性の違いか1周目の3コーナーで2位スタートのNo.1 au TOM’S GR Supra 坪井、No.12 TRS IMPUL with SDG Zのベルトラン・バゲットにパスされ、いきなり3番手まで落ちる。

2位スタートから確実な走りでトップチェッカーを受け、見事3連覇を飾ったNo.1au TOM’S GR Supra 坪井 翔/山下 健太。

トップに立ったNo.1 au TOM’S GR Supraは、後続のNo.12 TRS IMPUL with SDG Zに一定の距離を保ちながら快走を続け始める。一方下位スタートとなったNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra 福住は7周目には13番手から9番手まで浮上してきた。

3番手スタートから2位フィニッシュとなったNo.23 MOTUL AUTECH Z 千代 勝正/高星 明誠。

その後、規定周回数の1/3を過ぎた時点でアンダーカットを狙うチームが続々とピットインを行う。注目は2番手を走るNo.12 TRS IMPUL with SDG Z、3番手のNo.38 KeePer CERUMO GR Supraが入り、ピットアウト時にはNo.38 KeePer CERUMO GR Supra 大湯がNo.12 TRS IMPUL with SDG Zより先にピットアウトに成功する。がしかし、大湯はその周に大きくでコースアウトしてしまう。

7番手スタートからタイヤ無交換作戦で攻め、3位入賞を果たしたNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 山本 尚貴/牧野 任祐。年間ランキングは2位となった。

翌周にはトップを快走するNo.1 au TOM’S GR Supra、3番手スタートだったNo.23 MOTUL AUTECH Z、No.14 ENEOS X PRIME GR Supraがピットイン。更にその翌周には7番手スタートであったNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTがピットイン。するとGT500では前代未聞の牧野へのドライバー交代のみのタイヤ無交換作戦を実行し、ピットアウト時にはトップを走るNo.1 au TOM’S GR Supraよりはるか前方10秒ほど前に出る事に成功しトップに躍り出た。

ポールスタートながらコースアウトを喫してしまったが、今シーズンでGT500を去る石浦の為に懸命にポジションを上げるべく懸命に走ったというNo.38 Kepeer大湯の走り。

しかしながら路面温度は低く、タイヤへの攻撃性は少ないもののNo.1 au TOM’S GR Supraとの差はみるみるうちに無くなり、29周目にはNo.1 au TOM’S GR Supra山下がNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 牧野をオーバーテイクしてトップを奪い返す。そしてNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTは後続のNo.12 TRS IMPUL with SDG Zの平峰、No.23 MOTUL AUTECH Z 千代にもパスされてしまい4番手まで落ちてしまった。

レース終盤、トップを走るNo.1au山下とそれを追うNo.12 TRS平峰のバトルは熱かった。

その後はトップのNo.1 au TOM’S GR Supra 山下をNo.12 TRS IMPUL with SDG Z 平峰が猛追して一旦トップに躍り出るもNo.1 au TOM’S GR Supra山下がすぐ様ラインをクロスしトップを死守。更ににその後方からはNo.23 MOTUL AUTECH Zの千代が迫り、緊迫したトップ集団のバトルが繰り広げられる事となりサーキットは大いに盛り上がる。

優勝したNo.1auとコンマ数秒の差で惜しくも2位チェッカーとなったNo.12 TRSだったが、衝撃的な事にレース後の車検で失格となってしまった。

一方でNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraのサッシャは大幅に順位を上げ5番手まで順位を上げ、4番手を走るNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 牧野に追いつき初めていた。そして残り6周の時点で6番手争いの抜きつ抜かれつの混戦していた集団の中を走っていたNo.14 ENEOS X PRIME GR SupraがNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTに追突し、左フロントにダメージ負ってしまう。

誰よりも早く山下のもとに駆け付けて3連覇達成を祝った坪井 翔。

No.1 au TOM’S GR Supraは後そのまま後続を抑え切る事に成功しトップでチェッカー受け、見事史上初の3連覇を成し遂げた。

2シーズンを走り抜いたHONDA CIVIC GTに変わり、来シーズンから走り出すプレリュードGTプロトタイプがお披露目された。

2位でチェッカーを受けたのはNo.12 TRS IMPUL with SDG Zであったが残念な事に、攻め続けた結果であろうかレース後の再車検でスキッドブロックの厚みが規定値を下回っていた事が分かり正式結果で失格となり、2位にNo.23 MOTUL AUTECH Z、3位にNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT、4位には12番手スタートのNo.39 DENSO KOBELCO SARDGR Supra 、5位にはNo.37 Deloitte TOM’Sが入る。一方No.38 KeePer CERUMO GR Supraは7位、No.14 ENEOS X PRIME GR SupraはNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTへの追突によるペナルティで14番手となった。

GT500クラス表彰台。2位フィニッシュを果たしたNo.12TRS IMPUL with SDG Zはレース後に規定違反により失格となったため2位にNo.23 MOTUL、3位にNo.100スタンレーとなる。

そしてドライバーランキングで王座に輝いたのは 80.5PでNo.1 au TOM’S GR Supra 坪井 翔/山下 健太、坪井はSUPER GTの最多記録に並ぶ自身4度目、そして史上初となる3年連続のチャンピオン獲得。山下は自身3度目、2年連続のチャンピオン。2位には63PでNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 山本 尚貴/ 牧野 任祐 、3位には56PでNo.38 KeePer CERUMO GR Supra 石浦 宏明/大湯都 史樹、4位は54.5PでNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/福住仁嶺、5位には52PでNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛/S.フェネストラズとなった。

GT300 タイヤ無交換戦略

ポイント僅差でタイトル争いが激しいGT300クラスは、見事予選でポールポジションを獲得したNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTの井口がスタートダッシュを決め後続への引き離しに掛かる。

GT300クラスのスタートシーン。

その後、中団で争っていたGT300の車両同士が接触コースアウトし、FCY導入となるが、この直前に3番手の No.52 Green Brave GR Supra GTは2番手のNo.5 MC86 マッハ号をオーバーテイク。FCY解除と共にNo.5 MC86 マッハ号とNo.52 Green Brave GR Supra GTによる抜きつ抜かれつのバトルが勃発。

2位スタートからタイヤ無交換作戦で見事優勝を果たしたNo.5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 塩津 佑介/木村 偉織。

そして僅差でランキング争いをしていたNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 平手が迫り、一方ランキング首位で最終戦を迎えたたNo.65 LEON PYRAMID AMG 菅波は14位番手スタートから怒涛の追い上げで10番手まで上がっていた。この時点ではNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 平手がタイトル獲得というポジションだった。

ポールスタートから1つ順位を落としたが、しぶとい走りで2位フィニッシュを果たしたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人/山内 英輝。

GT500クラスのアンダーカットを狙うチームがピットインをするとGT300クラスもピットインを行う事に。注目すべきは2番手を走行してたNo.5 MC86 マッハ号で、早々にピットインすると、なんとタイヤ無交換作戦でピットアウト。

7位スタートから攻めに攻めた走りで3位フィニッシュをもぎ取ったNo.666 seven × seven PORSCHE GT3R H.キング/藤波 清斗。

その後はポイントリーダーNo.65 LEON PYRAMID AMGがフロントタイヤのみ交換、トップを走っていたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTは4輪交換、No.52 Green Brave GR Supra GTは前輪のみの交換を行うなどの各チーム思い思いの作戦を実行し、No.5 MC86 マッハ号、No.52 Green Brave GR Supra GT、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORTのトップ3の順位が構築された。

予選14位となり年間タイトルが危ぶまれるも気迫の走りで6位まで順位を上げて1ポイント差でタイトルを決めたNo.65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥/菅波 冬悟。

その後はペースが良いNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT 山内はNo.52 Green Brave GR Supra GTをパスすることに成功し、2番手となりトップを走るNo.5 MC86 マッハ号を追う展開に。しかしながらNo.5 MC86 マッハ号はタイヤ無交換ではあるが、逆にNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTとの差を広げていく。

3位に0.27秒差で4位となった結果、わずか1ポイント差で年間タイトルを逃してしまったNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R J.P.デ・オリベイラ/平手 晃平。激しいバトルで大いに観客を沸かせてくれた。

No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT、No.52 Green Brave GR Supra GT、そして後方から追い上げて来たNo.666 seven × seven PORSCHE、タイトルを争うNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rの4台で激しい2位争いが繰り広げられた。

GT300クラス表彰台。

サーキットを大いに盛り上げたのはNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 平手だ。3位に入れば、No.65 LEON PYRAMID AMGの順位次第でGT300のタイトル獲得となるが、この時点でNo.65は6番手まで追い上げて来ており、No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R オリベイラが3位フィニッシュ必須という状態だった。

GT300クラスドライバーズチャンピオンを獲得したNo.65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥/菅波 冬悟。

その後、トップを快走するNo.5 MC86 マッハ号は後続を寄せ付けず余裕のトップチェッカーを受け、2番手を走るNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTは今回でラストレースとなるEJ20エンジンのためにとポジションを死守し2位でチェッカー。注目の3位はラストラップでNo.52 Green Brave GR Supra GTを抜いたNo.666 seven × sevenが入った。最後の最後まで全力で追い上げてきたNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R オリベイラは3位に0.75秒差で4位でフィニッシュとなった。

今シーズン限りでGTを引退するNo.24リアライズ松田 次生とNo.64 Moduloの井沢 拓也へ花束贈呈が行われた。

そしてNo.65 LEON PYRAMID AMGが6位でフィニッシュしてGT300ドライバーチャンピオンを獲得した。No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 平手はとても悔しいランキング2位となった。

今シーズンのグランドフィナーレ。ファンへの感謝を伝えた。

なお、GT300ドライバーランキングの3位は今シーズンGT300を大いに盛り上げたNo.7 CARGUY Ferrari 296 GT3 Z.オサリバン/小林 利徠斗となった。

早いもので今シーズンのSUPER GTも終わってしまいましたが、特に今シーズンは各クラスともタイトル争いにドラマの様な展開が何度もあり、予選から毎戦ハラハラドキドキのレースを観ることができました。

別れはドライバーだけではなくレースアテンダント達の中にも。TGR TEAM SARDのななみんこと宮瀬七海さんも引退してしまう。

最終戦、全車ノーウエイトのガチンコレースの結果を見る限り、各車の実力差がかなり僅差になっているのが明白でしたが、来シーズンはいったいどうなるのか。GT500ではHONDAのプレリュードがデビューしますし、ドライバーの移籍もあるかもしれません。今から来シーズンが楽しみです。

誰もが予想できない激しいバトルが続くこのSUPER GT。是非とも来シーズンも見逃さず観に来て欲しい。

Text&Photo:Hisao.Sakakibara

【筆者の紹介】
Hisao Sakakibara
モータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。