【このクルマなんぼ?】クラシック911から996まで13台のポルシェ 911 価格チェック
2020年12月28日
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コロナ禍でポルシェ911の値段が下がった? チェック、チェック、チェック あの911の現在の市場価格をチェック!
多くのポルシェファンのドリームカー&憧れ的、中古のポルシェ911の市場分析と価格チェック。現在、ポルシェ911が最大7万ユーロの値崩れ! 市場の低迷がポルシェ911までも完全に捉えたか? しかし、その一方で高値安定のクルマもいる。以下に13台のクラシック911の分析結果と価格の推移についてレポートする。
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ピークは2017年だった。
そして、現在クラシック911の市場からは、かつての勢いが大きく欠け落ちているという。
「クラシックデータ」によれば、ほぼすべてのモデルが、2019年と比較して価格が下がったとのこと。
クラシック911の中でも、911愛好家からもっとも切望されていたのが、初期のFモデル(1963年~1973年)で、コンディション2の130馬力の911クーペ(1965~67年)は、2019年になっても20万ユーロ(約2,500万円)の市場価格が付けられて売買されていた。
現在、Fモデルの価格は、「たったの」13万ユーロ(約1,650万円)にまで下がってしまった。
911カレラ2.7 RSツーリングは最近大幅にその価値を失った
クラシックカー市場のオブザーバーである「クラシックデータ」によれば、価格下落の影響を受けるのは主に高価な投機対象モデルだという。
彼らは、市場が今、コロナ禍による世界的不況を受けて、投機目的の過去の不合理な価格上昇を修正している局面にある、と分析している。
主な敗者は、「ダックテール」のカレラRS 2.7だ。
2015年以来、カレラRS 2.7はその市場価値の4分の1を失っており、現在は45万ユーロ(約5,700万円)前後で取引されている。
しかしそれでもなお2013年の2倍の高値だ。
「クラシックデータ」によれば、スポーツモデルや希少なモデルが全体的に価格低下の圧力を受けているという。
例えば、「コレクターズアイテム」コンディションのポルシェ964 RSは、2019年よりも2万1000ユーロ低い、「たったの」15万4000ユーロ(約1,950万円)で、リストアップされている。
また、1989年モデルの「911スピードスター」(現在13万ユーロ=約1,650万円)の価格も同様にかなり下落している。
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ポルシェ911(996)の時価は3分の1上昇
しかし、中には勝ち組もいる。
最初の水冷911である996シリーズは、最も価格が上昇した1台だ。
コンディション2で、2019年には18,000ユーロ(約228万円)で購入可能だった996は、現在29,200ユーロ(約370万円)と30%以上値上がりしている。
コンディション3でも、すでに19,900ユーロ(約252万円)となっている。
しかし、最初の水冷911と最も手頃な価格の空冷911、1980年代のSCモデルとの間には、まだ大きな価格差が存在する。
911 SCタルガ(1980~83年)は、以前の価格を維持しているため、市場評価の勝者の一台となっている。
市場価格もわずかに上昇し、コンディション2の911 SCタルガの市場価値は現在44,000ユーロ(約560万円)だ。
しかし同シリーズ(1983-86)のカレラは、コンディション2で、まだ54,000ユーロ(約685万円)を要するものの、それでも2019年に比べて、23,000ユーロ(約290万円)安くなっている。
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原理主義者的なポルシェファンは頑なに伝統に固執する。
つまり911は空冷でなければならないし、可能な限りオープンでないほうを選ぶ。
そんな中でも、スピードスターだけは例外で、コレクターズアイテムになる傾向がある。
全体的に、クーペはオープントップモデルよりも高価だ。
ここにもクラシック911の市場には独自の法則が存在しているようだ。
さあ、果たして、コロナ禍がおさまった後に、再びクラシック911のブームは訪れるだろうか?
とりあえず、現在のクラシック「ポルシェ911」の相場を見てみよう。
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ポルシェ911クーペ(SWB)のピークもまさに2017年だった。コンディション2の1965年&1966年製911クーペは40%以上値が下がって、13万ユーロ(約1,650万円)となっている。
コンディション3の911クーペは、115,000ユーロ(約1,460万円)だ。
クラシックカーマーケットの原則として、車の価格は年代が旧いものほど高くなる。しかし、ロングホイールベース(69年モデルから)の911クーペの価格は5桁台にまで滑り落ちているというのが現実だ。
まだまだ高価ではあるが4割もの下落には驚く。
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ポルシェ912。高性能を重視せず、初期の911のフォルムに憧れていると、自動的に912にたどり着く。しかし、それさえも、もはや安くはない。2013年には23,200ユーロ(約294万円)という価格で出回っていたが、90馬力の4気筒ポルシェの非常にコンディションの良い個体(コンディション2)は、昨年よりじゃっかん下がったとはいえ、今では50,000ユーロ(約635万円)にまで価格が上昇している。
コンディション3だと、35,000ユーロ(約444万円)くらいから見つかる。
912は値ごろな感じもするが、良いコンディションのクルマに巡り合うのは難しい。
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ポルシェ911 T。2011年から2015年にかけて、ポルシェ911Tの価格は大きく上昇し、13万ユーロ(約1,650万円)前後まで上がったが、今回の市場分析では、コンディション2の個体で、10万ユーロ(約1,270万円)まで価格は下がっている。
コンディション3は6.6万ユーロ(約838万円)から市場に出回っている。
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スポーツ911として最も広く知られているカレラRS 2.7。1308台のトゥーリングバージョンと217台のスパルタンな100kgライトウェイトスポーツバージョンが生産され世に送られた。「ダックテール」カレラは、過去5年間で最も多大な価格下落を経験したモデルとなった。夢の70万~90万ユーロ(約8,900~1億1,400万円)というオークショネヤーや販売業者の夢は、今は淡くも消え去り、主に投資かコレクションのために高価な値札を付けた個体はショールームに長いこと置かれたままになっている。価格はこれからも下がる可能性がある。現時点(2020年末)で、コンディション2のRS 2.7は45万ユーロ(約5,715万円)で、コンディション3は32万ユーロ(約4,064万円)となっている。
やはりいつの時代もナナサンは高価なのだ。
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米国の厳しい安全基準を満たすための高い位置に備わったベローズ付バンパーと一体型のウィンカーが、1973年にデビューしたGモデルを象徴する。価格の面から言えば、80年代のポルシェ911 SCモデルは空冷911ワールドへのエントリーモデルとなった。
現在、市場評価の勝者は、少なくともその価値を維持することに成功したポルシェ911 SCタルガ(1980-83)だ。800ユーロ(約10万円)というわずかな価格上昇を獲得し、現在の市場価値はコンディション2で44,000ユーロ(約558万円)、コンディション3で31,000ユーロ(約393万円)となっている。
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中価格帯からのもう一台のバリュールーザー(価格面での敗者)は、クラシック911として長く認められてきた、231馬力を持つ1980年代初頭からの3.2リッター911カレラは、再び手頃な価格に戻りつつある。
コンディション2のポルシェ911カレラの価格は、2019年は77,000ユーロ(約977万円)と安定していたが、2020年のその価値は、54,000ユーロ(約685万円)と30%、23,000ユーロ(約292万円)も安くなった。
コンディション3であれば39,000ユーロ(約495万円)から市場に出回っている。
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ポルシェ911ターボ3.3(930)。930ターボも価格が下がりつつある。ターボ3.3のコンディション2は2019年には116,000ユーロ(約1,473万円)だったが、その市場価格は2020年末現在、107,000ユーロ(約1,358万円)にまで下がった。
コンディション3は77,000ユーロ(約977万円)から出回っている。
しかし、ターボは維持費がそれなりにかかることも忘れてはならない。
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テクノロジーの担い手。近年の80年代後半のスーパー911に対する価格の激しい変動は、市場がもはや合理的なメカニズムに従って機能していないことを明確に示している。
2005年当時、ポルシェ959の価格は依然下落していた。2010年には、レジスターターボと電子制御の全輪駆動を備えた450馬力のモンスターモデルは、20万ユーロ(約2,540万円)以下の価格で販売されていた。
しかしその後、959は100万ユーロ(約1億2,700万円)の大台を突破し、2015年には120万ユーロ(約1億5,240万円)にまで上昇した。
今、価格は再び下落し始めているが、それでも高額な78万ユーロ(約9,900万円)で、現在も取引されている。
さすがに希少なスーパーポルシェ、959は一億円を超えないと購入できず、これからもその価格は下落しないだろう。
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ザ スピードスター。1989年にデビューしたポルシェ911スピードスター(わずか2,012台しか作られなかった)も安くはなったものの、それほどでもない。
コンディション2の良い状態の個体であれば今日でも130,000ユーロ(約1,650万円)し、コンディション3でも80,000ユーロ(約1,016万円)はする。
スピードスターも911の中で希少性が高く、人気も高い。そのため価格は高値安定のままと思われる。
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ポルシェ911カレラ4(964)。純粋主義者たちはカレラ4を高く評価し、後輪駆動の964を好む。その兆候は現在、停滞を指しているように思われる。
コンディション2の個体は58,000ユーロ(約736万円)、コンディション3の個体は、37,000ユーロ(約469万円)という購入費用を要する。
964ももはや30年が経過し、立派なクラシック。このデザインと大きさを好む人も多い。
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希少価値を持つモデル。2015年には、1991年製のポルシェ964 RSに19万ユーロ(約2,413万円)をつぎ込んでいたファンもいた。
そんな時代は終わった。260馬力のレーサーの価格は、2020年末の現時点で、154,000ユーロ(約1,955万円)にまで落ち込んでいる。
コンディション3は、110,000ユーロ(約1,397万円)。
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最後の空冷モデル。ポルシェ911(993)のブームは続く。たとえコンディション3であっても、5万ユーロ(約635万円)以下では見つからない。7万ユーロ(約889万円)が、コンディション2の993空冷ポルシェの現在の価格だ。
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ポルシェ911カレラ(996)。水冷と目玉焼きのようなヘッドライト。多くのポルシェファンにとって、996は長い間、腫物のように扱われてきたが、近年、996のルックスを好む人が増え、人気も高まってきている。そして昨年からは価格が急上昇した。
2019年に18,000ユーロ(約228万円)だったコンディション2の996は、2020年には29,200ユーロ(約370万円)にまで上昇した。
コンディション3のそこそこの状態の個体は、現在19,900ユーロ(約252万円)前後で取引されている。
いつの時代も絶対的に911というのは人気が高い。「いつかは絶対に911」という人は私の周囲に何人もいるし、すでに911を所有している人は「最後まで911」といって手放さず、911の他のモデルに買い替えたり、増車したりを繰り返している。
個人的に911を所有したことがない人間には、その魔力を語ることなど許されないかもしれないが、乗せてもらったわずかな記憶を振り返れば、911はとにかくどれも911であったこと、が一番の魅力なのだとは思う。
中身はフルモデルチェンジを繰り返し、進化と成長を繰り返しながら、それでも911であり続けること。それが911なのである。
そんな911はバリエーションも膨大だし、そこに限定モデルや高性能バージョンを加えると、いったいどれを買ったらよいかの迷宮に入り込んでしまうが、それさえもポルシェのエンスージャストには楽しみであり、魅力の要素なのだろう。
兄弟車のボクスターやケイマンが、妥当な値落ち(とはいってもやはりかなり安定はしているが)を見せるのと比べると、ここ数年の暴騰も落ち着いたとはいえ、まだまだ911は高値安定だと思う。そしておそらくこれからも911は絶対的な存在のまま、多くのエンスージャストにとっての憧れの対象であり、目標となり続けるだろう。
史上もっとも高い金額で落札されたフェラーリ×16台
Text: Matthias Techau
加筆:大林晃平
Photo: Jens Mönnich