ドイツ人の選んだ史上もっとも醜いクルマ40台 果たして日本車は何台、ドイツ車は何台選ばれたか? アップデート版 後編

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蓼食う虫も好き好き?はたまた、アバタもエクボ?(Beautiful is different)

美しさは観る人の目によって異なる。そして醜さもしかり。以下に我々の厳密にして主観的な判断を下す。これらは、史上最も醜い40台のクルマだ。どれもスタイルが恐るべきクルマたちである。オマケ: 我々、アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)が選んだアグリーな3台も最後にリストアップしている。

クルマのデザインは極端化する可能性があるのは理解できるが、一部のクルマに関しては、もう十分だ!と言いたい。
そしてあえて言う: 以下の列挙するクルマたちは醜くい上に怖い。
いや、けっして「不幸な出来事」でも、「下手なデザイン」でもないのだから、情けをかけたりする必要はない。
以下に過去数十年間でもっとも醜いクルマを列挙する。

もしそのクルマの見た目が購入の際の最大の理由ならば、なぜこれらのクルマは、これほどにもひどいのか?
際立って目立ち、競合他車と異なるデザインをというプレッシャーは、時として恐ろしい失敗につながる。
つまり、事故の損傷部分を下手に修理されたように見えるクルマや、ニコイチ、つまり2つのモデルの不幸な醜い合体のように見えるクルマだったりする。
我々の微笑みとウィンクとともに、我々の選んだもっとも醜い40台のクルマを以下にお届けする。
さあ、シートベルトをしっかりと締めて。
というか、笑って楽しんで!

第20位: シトロエン クサラ・ピカソ

前と後ろが対称的で丸い屋根。あまりにも多くの悲しみを身にまとったピカソは熱心な信奉者さえ作ることができなかった。

Photo: Werk

第19位: スズキX-90

1994年、浜松。楽しさのバロメーターであった、トヨタRAV4の驚くべき成功は、スズキを大きく動揺させた。「我々もこういうモデルを作るべきだ」。「もちろんもっとクールなかたちで」。開発陣はいっせいに奮起した。結果はそれまでになかったヒキガエルのようなモデルの誕生だった。ノッチバックでタルガの屋根を備えたミニSUV・・・。あまりのナンセンスさに人々は驚いた。ヒキガエルはたった1年で静かに、市場から姿を消した。そして誰も悲しまなかった。

※スズキにもこういうクルマを出す余裕、みたいなものがあったんだなぁ、と思う。今だったら絶対許されないだろうけれど、こういうものを作ってみようという遊び心というのは良いものだとも思う。この車をどうやって使うことが正しいのかは想像もつかないけれど(大林晃平)。

Photo:Wolfgang Blaube
Photo:Wolfgang Blaube

第18位: ウェバー ファースター ワン(F1)

沿岸部に住む人たちも、魚を食べる人たちも、きっと納得してくれるだろう。
2008年にスポーツカーメーカーの「ウェバースポーツカーズ」がサーキットに送り込んだこのスイス製ブガッティは、まるで車輪の上の塊のように見える。
非常に速く、スイス的な精密な仕事をしているが、あまり美しくない上に、キットパーツを引っ掛けたようなスポイラーが装備されている。
そしてリアは、おそらく誰かがヒラメの尻尾を切り落として取り付けたのだろう。

※正直こういうクルマが世の中にある事をしらなかったけれど、どうせ街で見かけることもないだろうから、知らないままでも良かったかもしれない(大林晃平)。

Photo: Werk
Photo: Werk

第17位: ホンダ インサイト

デザイナーは1999年にデビューした初代インサイトをデザインするにあたって慎重さというものを一切無視し、風洞実験の結果を全面的に優先したようだ。リアホイールまわりにはスカートをはいている。

※え、そう? ドイツ人には醜く見えるのかな? このインサイトそんなに悪くないじゃない、のかなぁ、と擁護したい。リアのスパッツ部分の処理も未来的でなかなかいいし、今のインサイトなどよりもはるかに夢があって独創的でいいと思うのだが(大林晃平)。

Photo: Werk

第16位: フォード スコーピオ

ギラギラと輝く眼と、石鹸のように滑らかなリア。あまりにも醜いのですでにカルトモデル化している可能性がある。

※フロントグリルがとにかくいけなかったんでしょうねぇ、この車は。なんだかまぬけな深海魚を連想させるライトとウインカーの関係とか、デザイナーはあえて威圧感をなくそうとしたのかもしれないけれど、それが裏目に出てしまったのでしょうか(大林晃平)。

Photo:Sven Krieger
Photo:Sven Krieger

第15位: 日産エスカルゴ

1989年~1992年生産の日産車は、名前はそのデザインに準じているのか、あるいはデザインに準じてその名を付けたのか…。
マイクラをベースにしたミニトランスポーター、S-Cargo(エスカルゴはもちろんフランス語で「カタツムリ」の意味だ)は、小さな這って歩く動物のように見える。
その珍妙なデザインのおかげで、長い間カルト的な存在となっている。

※変わっているかといえば文句なく変わってはいるけれど、醜いかと言われれば、そんなにひどくないのではないか、と反論したくなるパイクカー。商用車をお洒落にというコンセプトには大賛成だし、今の技術でこんなクルマを出してみても、決して日産にバチは当たらないと思うが…(大林晃平)。

Photo: Nissan
Picture: Aleksander Perkovic / AUTO BILD

第14位: 三菱コルトCZC

思い切ってキュートで小さなハードトップコンバーチブルに飛び乗ったつもりが、すぐに大きな間違いだったことに気づく。衝突実験直後の初期のプロトタイプのようなプロポーション。

※基本的に通常4座のオープンというのは優雅でリッチなモデルになるのだが、この車にはその辺の香りがまったくしない。特にルーフを上げた姿はあまりにもバランスが悪い(大林晃平)。

Photo:Uli Sonntag
Photo:Mitsubishi

第13位: BMW 7シリーズ

このクルマはそれまでのミュンヘンの統一的フェイスに終止符を打った。デザインボスだったクリス・バングルは、急進的なカットラインを選択した。強烈なシェイプとシャープなラインという彼のミックスされたスタイリングは、抗議を巻き起こしたが、BMWはそのことを後々になるまで気づかなかった。その後、バングルのラインはソフト化され、デザイナーは解雇された。

※この車が世の中に出た時にはずいぶん非難されたことを覚えている。グリルの感じとかトランクリッドの処理などなど、ひと世代前までの7シリーズの持っていたスマートさは消え去り、「ちょっと変わったメガネをかけた変なおじさん」のようになってしまったのは衝撃であった(大林晃平)。

Photo: Werk

第12位: メルセデスRクラス

ステーションワゴン、SUV、ワンボックス、バンといったすべてのモデルがRクラスのプログラムには存在した。しかしメルセデスに必要だったのは、その中庸的なモデルだった。そして、それが師範型Rクラスの中途半端な外観として現れた。

※日本ではフェンダーに補助ミラーがついたこともあり、その印象はますます強まる。その結果この車の下取り価格は悲惨な状況になったのであった(大林晃平)。

Photo:Daimler AG
Photo:Toni Bader

第11位: タンゴT600

幅わずか99センチの電気自動車タンゴは、他のモデルとのビジュアル的な比較はほぼ不可能だ。映画 「ダーリン、私はスマートをペッチャンコにしたの」の主役だ(笑)。

※こういうヨーロッパの「虫」のような超小型車はどれも似たように不細工だが、これはその中でもトップクラスだろう。幅が狭すぎることが原因だが、サイドビューは意外とまともに見えるのは私だけだろうか(大林晃平)。

Photo: Werk
Photo: Werk

第10位: メルセデス SLR レッドゴールドドリーム

この改造SLRは単純に悪趣味だ。
高級アスリートは、趣味の悪いDIYチューニング仕事の犠牲者のように見えて、600個のルビーと数キロの金が使われていても、人々をまったく惹き付けない。
提案: 改造して個々のパーツを売り払おう!

※まあこのSLRはカタログモデルじゃないから、大目に見てあげましょう。もっと趣味の悪い改造モデル、星の数ほどもありますから。とは言ってはみたものの、オリジナルのメルセデスベンツ SLRも異様に長いボンネットをはじめ、決して格好良くみえない(大林晃平)。

Photo: Bernd Hanselmann
Photo : Bernd Hanselmann

第9位: サブレ シックス テン

このボディシェルの下には、90年代のフォード マスタングがあり、ミニ(ヘッドライト)、ジャガー(グリル)、ボルボ(テールライト)のパーツでロードスターに編み上げられている。
その結果、前後のパーツがまったくマッチしていないアンバランスなものになってしまっていて、文字通りゴチャゴチャした感じになっている。
哀れ。

※一瞬モーガンかと思ったが、そういうちゃんとしたものではなく、改造モデルの一台らしい。人と違うことを目指したことは理解できるし個人の勝手ではあるが、ここまで変異してしまうと、いいですねぇとは決していえない。ベースにされてしまったマスタングが不憫でならない(大林晃平)。

Photo: ebay/lmartins1
Photo: ebay/lmartins1

第8位: トヨタ ヤリス・ヴァーソ

事故の報告。豊田市で、ヤリスが倒れた電話ボックスと衝突し、修理されずにそのままショールームに並んだ。堕ちたのはブランドの評判だけだった。

※このヤリス ヴァーソこと、日本名ファンカーゴ、僕はもっともバランスよくデザインも進んだトヨタの小型車じゃないかと、今でも思っているのだけれど、ダメでしょうか?? 今のヤリスなどよりもラインや基本的な形、そしてパッケージなどなどずっと良いのではないでしょうか?? 中身だけアップデートして、このまま作ってくれてっもいいのにと個人的には思っている(大林晃平)。

Photo:Toyota
Photo:Uli Sonntag

第7位: トヨタ プリウス

輪郭が少なく、明確なシルエットもない。初代プリウスが生まれて20年以上たつが、彼らは依然、街中を走りまわっている。

Photos:Roland Sassen

第6位: サンヨン ロディウス

家屋と車の融合に対する韓国からの回答。出窓を備えた初のSUV。巨大なロディウスはジャンクなプレスにだけ受けている。

※シンガポールでこの車のタクシーと遭遇したことがある。あの車に乗るのはイヤだなぁ、思っていたら、そういう時に限って僕が乗るタクシーはこの車になった。乗ってみれば室内は広く、ちゃんとエアコンも効いて快適だったが、目的地について降りてクルマを振り返ると、この車で移動したのか、とちょっと複雑な気持ちになった(大林晃平)。

Photo: Martin Meiners
Photo: Martin Meiners

第5位: ホンダ不夜城

何これ? クラッシュしたケーブルカーのキャビン? アスファルト用の鉄?いえいえ、不夜城は、クラブからクラブへの移動でティーンエイジャーが夜に使用する車であるローリングディスコボールでありたいのだ。しかしこれはあくまでコンセプトに過ぎない。しかし、デザイナーは、閉鎖的な地下鉄ではなく、「明るいバスのように見える楽しいタクシー」みたいなパッケージを提供できなかったのだろうか?

※東京モーターショーのコンセプトカーであり、今でもこの車を会場で見たことを覚えている。そういう意味では人の記憶に残る一台として、正解だったのかもしれない。そもそもモーターショーのもコンセプトカー(おそらくちゃんと走らないドンガラ)なわけだし、ある意味「トーキョーモーターショー」っぽくて面白いと思うが(大林晃平)。

Photo: Werk

第4位: プジョー1007th

この小さなドアはスライディング式だ。酷いプロポーション、高いボディ形状、スローなドアの開閉、プジョー初の高価なシティカー、デビュー間もなく終焉を告げた。むろん、スライディングドアには将来に向けて大いなる希望が存在するが…。

Photo: Werk

第3位: フォード Ka

技術的には、フォード Kaは、新しい靴を履いた旧フィエスタに過ぎない。それにもかかわらず、初代Kaは、極端な曲線、下品ともいえる派手な色、そして後のフォードの新しいデザイン(フォーカス)を彷彿させる大胆なカットを有する偏ったデザインのモデルだった。にもかかわらず、このふっくらとしたフォードは、あらゆる場所で商品として生き続けている。

※フォードKa、わが国でも発売され、なかなか評価の高い一台だった。黒のプラスチックのままのバンパーだって、色を塗りたくられ、軽くこすっただけで高額なペイント費用を請求されるカラードバンパーよりずっと実用車として好ましい。愛嬌のある顔も、威圧感のあるミニバンのあふれる世の中には一服の清涼剤ともいえる(大林晃平)。

Photo:Toni Bader

第2位: フィアット ムルティプラ

フィアットは再びすべてを異なるやり方でやりたかったのだ。
垂直な壁のようなボディ、高い窓、前に3つの座席、後ろに3つの座席。
しかし、不安は残る。
このカモノハシの姿でやっていけるのだろうか?
それにこのクルマはどこから見ればよいのか?
上から?
それとも下から?
フィアットは2004年、ついにそのノーズを全面的に変えたが、「時すでに遅し」だった。
だがこの「カモノハシ」には世界中に熱狂的なファンが存在するカルト的なモデルであることも事実だ。

※これぞイタリアンデザイン。こんなクルマドイツ人や日本人には絶対にデザインできない、でしょう。内装もなんとも複雑怪奇なデザインで、すぐにプラスチックがとけてベタベタになってしまうことは残念だけど、イタリア車がイタリア車らしかった時代の最高傑作かも。ところが本国でも不評をかいまくり、マイナーチェンジでなんともつまらないルックスになってしまったのは残念。醜いというのなら、そっちの方が醜い(大林晃平)。

Photo:Wolfgang Gröger-Meier

しかして栄えあるもっとも醜いクルマ、第1位は: ポンティアック アズテック

このポンティアックのクロスオーバーSUVは2001年から2005年の間に生産販売された。「一番強烈な印象を与える」のはフロントとリアで、諸悪の根源以外のなにものでもない。しかし、決してアズテックをあざ笑うことはできない。それは2008年からずっと、「画期的に酷いクルマシリーズ」で、絶対的カルトモデルに選ばれ続けているからだ(笑)。

※うーむ、これが一番か。この時代に存在したポンティアックのミニバンのほうがバランスは崩壊しているともいえるのだが、まあこの車が美しいとは言えないし、デザイナーも本当に心からこれを作りたかったのかといえば、どうなんだろう??(大林晃平)

Photos:Pontiac

なんとわが日本車からは4分の1、10台も選ばれている。
さすがは日本車?(笑)

ABJの選んだアグリーなクルマ×3台

というわけで?ここから3台追加で、わがアウトビルドジャパンが独断と偏見で選んだ、醜い日本車を3台選んでみた。
あくまでも個人的なチョイスである。

3位:三菱GTO
時はバブルのころ、なんでもイケイケな空気だったのだろう。
三菱が送り出したのは、フェラーリ テスタロッサにちょっと見えるような感じの、実際には普通の2ドアクーペだった。
昔の和の便器に用意されたフタのようなボンネットの飾り、実際にはガラスではないのに黒く塗って窓に見せかけたグラスエリア(といっていいのか)、これまた実際にはミッドシップではないからあくまでもこけおどしの空気取り入れ口。
そしてなんとも眠たそうなリトラクタブルヘッドライトの処理…。
そのすべてがギミックの集合体のような醜い自動車だった。

Photo: Werk

2位:インフィニティQ45
1990年といえば初代セルシオとR32のニッサンGT-Rとユーノス ロードスターが発表された、日本車のヴィンテージイヤーともいえる年、だったわけだが、ひっそり忘れ去られた大型新人もいた。
それがこのインフィニティQ45である。
ライバルはもちろんスーパーサイレントにして源流対策を誇るセルシオ。
一方のQ45もスペックは決して見劣りしないばかりか、V8エンジンにアクティブ油圧サスペンションを組み合わせ、ある面ではセルシオを凌駕していたといえよう。
ではQ45の何がいけなかったのか?
それはこのデザインだと断言したい。
高級車なのに果敢としてグリルレスであるとしたことは良しとしたいが、和洋折衷もいいところで、なんともはっきりとしない、あいまいで甘いボディラインとライト周辺の処理。
内装に漆を使い、金メッキのキーを用意し、インフィニティのエンブレムも唐草模様の七宝焼き(そもそも唐草模様は「和ではない」というつっこみはさておき)といったディテールには凝りまくったが、全体的なたたずまいがなんとも面妖であったのだから何をやってもダメなものはダメ。
セルシオ(レクサスLS)だって、メルセデスベンツSクラスのコピーだなんだと言われたが、結局はセルシオに惨敗してしまった。

Photo: Vicari Auction

1位:トヨタ プリウス(現行モデル マイナー前)
新型プリウスが発表された時、こりゃ何かの間違いなのかと思った。
それまでのプリウスは3代ともなかなか頑張ったデザインであり、街中にあふれても邪魔にならないばかりか、それなりに未来的でハイブリッドシステムであるということを形でも表現できていたと思う。
それがどうしたことか、フルモデルチェンジした4代目は形容しがたいフロントグリルと、グラスエリアとドアパネル部の切り方のラインが破綻し、外からドアパネルが丸見えという体たらくの理解不能なデザイン。
さらにどことなく鳥居のシルエットを連想してしまうようなリアのLEDライト処理などなど、どうしてこんなデザインにOKを出したのかまるで分らないほどの醜さだった。
基本的に同じラインを持つプラグインハイブリッドモデルのほうのプリウスは、この「普通の」プリウスと比べるとフロントグリルもリアデザインもはるかに真っ当で格好良いことを考えると、あえて「普通のプリウス」を買わないで、より高価なプラグインハイブリッドモデルを買ってもらいたいという、愛知三河の深慮遠謀なる作戦かと思うほどの違いである。
案の定、このデザインは大不評となり、大幅なマイナーチェンジを施されたが、大金を費やして登場させたそのマイナーチェンジモデルもはっきり言って醜いのは、いったいどういうことなのだろうか。

Photo: Werk

さて、お口直し(?)に、以下に我々の選んだ「自動車史上もっとも美しいクルマ100台」をご紹介しよう。