たったの3台しか作られないハイパーカー パガーニ ウアイラ トリコロール 全情報
2020年12月26日
イタリアの三色旗、トリコロールにちなんで、3台のみの限定生産ウアイラは、ハイパーカーメーカー、パガーニからの最強のモデルだ。
ハイパーカーメーカー、パガーニ最強の特別仕様モデル登場! パガーニは40台限定生産モデル、「ウアイラ ロードスター BC」に続き、パガーニ ウアイラ トリコロールを発表した。この特別モデルは3台限定で、価格はなんと1台655万ユーロ(8億3千万円超)!だ。
パガーニから新たなスペシャルモデルが登場!2010年のゾンダ トリコロールから10年後、パガーニは「ウアイラ トリコロール」を発表した。これは、イタリアのエアロバティックチーム「フレッチェ トリコローリ(Frecce Tricolori)」の60周年を記念して作られるモデルだ。「ウアイラ トリコロール」は超限定生産で、3台のみが製造される。価格は税抜き550万ユーロ(約7億円)。ドイツの税込みではなんと654万5000ユーロ(8億3千万円超)となる。
40台限定生産モデル、「ウアイラ ロードスター BC」の後、すでに発表されている「ウアイラ R」の公式プレゼンテーションの前に、パガーニはメディア向けにサプライズで特別モデルを公表した。ウアイラ トリコロールは、「フレッチェ トリコローリ」の有したアエルマッチ(Aermacchi) MB-339 A P.A.N.機へのオマージュとして、彼らに敬意を表して発売されたものだ。そんな背景はさておき、一言で説明するなら、「ウアイラ トリコロール」は「ロードスターBC」をさらにパワーアップさせたものであり、サイドボディにイタリア国旗の「トリコロール」ラインを備えたものだ。
ウアイラ トリコロールのスペシャルディテール
しかし、よくよく見てみると、トリコロールには、パガーニとしては、他のモデルとは一線を画すユニークなディテールがいくつか見て取れる。といっても、我々は、決してリデザインされたフロントエプロンやフロントスプリッターといった、より優れた空力を提供することになっていることについて話しているのではない。また、我々は新しいデザインの部分的に青く塗られたホイールや、ロードスターとしてのみ利用可能なウアイラ トリコロールの「ルーフスコープ(Roofscoop)」エアインテークについて話しているわけでもない。
それは、飛行機で速度を測定するために使用される、ボンネット上のいわゆるピトー管(pitot tube=流体の流れの速さを測定する計測器で、航空機の速度計や風洞などに使用される)のような、小さくて、愛情のこもった詳細についての話であり、この部分がもっともウアイラ トリコロールで特徴的な部分といえよう。
ノットで測定可能な速度
インテリアでは、細部へのこだわりは限界を知らないかのようだ。例えば、すべてのアルミ部品は、特殊な航空宇宙用合金で処理されており、小さなトリコロールのアクセントがインテリアの至る所に隠されている。ホワイトとブルーのシートは、すでに10年の歴史を持つ、これまた3台しか製造されなかった「パガーニ ゾンダ トリコロール」へのオマージュである。すべてのアヴィエーションファンにとってのハイライトは、先に述べたようにダッシュボード上の風速計で、ボンネットに取り付けられたピトー管と連動してノット単位の速度を表示する。
「ゾンダ トリコロール」同様に、ウアイラは、ブルーフルカーボンのみで入手可能となっている。
作られる3台のモデルには、それぞれに、曲技飛行隊のそれぞれのソリスト(飛行士)を記念する、異なる番号(0、1、10)が付けられている。パガーニはまた、「ウアイラ トリコロール」を性能面でもさらにレベルアップさせている。メルセデスAMGで開発された6.0リッターのパガーニV12を搭載した「ウアイラ トリコロール」は、840馬力を発揮する。これは、「ウアイラ ロードスター BC」よりも30馬力以上多い。また、イタリア車は、2000~5600rpm間で1100Nmの最大トルクを発揮し、その乾燥重量は1270キログラムとなっている。
正味550万ユーロ(約7億円)のベースプライス
40台限定ですでに完売している「ウアイラ ロードスター BC」と比較すると、「ウアイラ トリコロール」はさらに高額だ。基本価格は550万ユーロ(税込み655万ユーロ=8億3千万円超)で、「ロードスター BC」の税込み価格274万ユーロ(約3億4,800万円)よりはるかにプレミアムな(約5億円も高い!!)金額だ。これにより、「ウアイラ トリコロール」は、5台限定のウアイラ イモラよりも高価になっただけでなく、パガーニで2番目に高価なモデルとなった。ちなみに一番高いのは、1,500万ユーロ(約19億円)の「パガーニ ゾンダHPバルケッタ」で、これはまた別の次元での価格設定となっている。しかし、「ウアイラ トリコロール」は、長い目で見れば、その希少性と併せて特別なコレクターズバリューを持っていることは明らかだ。それは、同じく3台限定モデルの「ゾンダ トリコロール」が、「ゾンダ チンクエ」とともに、ゾンダの最も人気のあるモデルの一台であるという事実が、そのことを証明している。
パガーニというハイエンドスーパースポーツカーの世界は、かなり認知され確立されたものとなっていることは確かである。だがパガーニに乗った人、あるいはちゃんとフルテストしたという記事を見かけることは極めてまれで、街で見ることもほとんどない、そんなクルマがパガーニでもある。普通のパガーニだってそんな希少で超高価な自動車なのだから、今回の「ウアイラ トリコロール」ともなると、世の中の大半の人が実物を見ないで終わることになるだろう。そもそも3台じゃあ、ああだこうだと、クルマの解説をしたところであんまり意味を持たないし、ベースになったウアイラ BCよりも5億円(!)も高いという、その理由も正直よくわからない。ピトー管を使ったスピードメーターと、ちょっとしたチューニングで5億円も高くなるのか、というとそんなことはまったくなく、つまりこれは希少性に対しての投資と考えたほうが良いだろう。
そうは言ってもこういうハイエンドスーパースポーツカーを購入するような人にはそんな部分はどうでもよく、とにかく人とは違った、特別な一台を欲しい、でもワンオフみたいなクルマではなく、メーカーの設定した限定モデルであることが必須、そんな顧客が対象なのではないだろうか。そう考えると、わざわざ3台だけとはいえ、ちゃんとメーカーの限定ラインナップモデルに「ウアイラ トリコロール」を加えたことも、それが3台ということにも意味がある。そしてこういう超絶なクルマというものは、いつの時代であっても、ちゃんとニーズもマーケットも存在しているのである、
我々は幸運にも40台限定モデルのウアイラ ロードスター BC(すでに完売)に試乗させてもらった。そのリポートは下記の通り。
Text: Jan Götze
加筆:大林晃平
Photo: Pagani