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ジムニーJB64に乗るすべての人にお薦めしたい APIOの「トツゲキECU」を試す その2

2025年10月31日

ジムニーを普段使いする:アウトビルトジャパンスタッフが所有する“素のジムニー(JB64)”をデイリーユースに適した状態へモディファイする企画。第一弾は「More Power!」を実現するべくアピオ(APIO)でECUチューンをお願いした。

ジムニーとマツダロードスター

神奈川県綾瀬市の田園地帯に位置するAPIOの社屋の周囲には、もう数え切れないほどのジムニーが並んでいる。APIOのコンプリートカーもあれば整備中のものや、スタッフの自家用車などなど千差万別ではあるが、とにかくジムニーがずらっと並ぶ光景は、壮観である。

そんな中に一台だけ、APIOのマークが張られたマツダロードスター(ND)が混ざっているのが妙にミスマッチでおかしいのだが、これも実はAPIOの新しい展開で、APIOロードスターとしてこれから発展していく予定のデモカーなのである。なんでもジムニーを持っている人がロードスターも同時に所有しているという方が多いらしく、かくいう僕もJB64と990Sを持っているので、なんだかAPIOの想定ドンズバのユーザーかもしれない。

これを見るとジムニーカスタム沼にはまりそう。

そんなJB64オーナーが普段の足にしているドノーマルのJB64(オートマティックトランスミッション)にトツゲキECUチューンを施してみた、というのが前回の話であった。今回はその続きとなる。

APIOの本社兼ショールームを訪れて実に気持ち良いのは、スタッフの皆さんの礼儀正しい接客ぶりと、整然としたショールームと工場の雰囲気である。こういうチューニングショップというのは、なんだか妙に怪しく近寄りがたい雰囲気になりがちだが(偏見さったらすいません)APIOは本当にその点がまったく心配ご無用な心地よさである。

デザイナー出身でカバンと文房具とウイスキーを愛する河野仁社長の影響もあってか、店内は本当にお洒落で楽しい小物やグッズにあふれているし(ついお財布のひもを緩めてしまうので危ない)、アピオオリジナルの文具や、横浜帆布店とのコラボレーションのカバン(と小物)など、他のチューナーとは一線を画すセンスの良い商品であふれている。

さらに驚いたのは、実に整理整頓されている工場にはエアコンが完備され、炎天下にもパリッと冷えていたことで、こんな真夏にも快適な整備工場はなかなかないのではないでしょうか。そんな美しい工場から生み出されるAPIOのコンプリートカーは一年間で80台から100台程度というが、センスや内容を考えるとジムニー版のアルピナのようなものかもしれない、と感じてしまったのは贔屓目が過ぎるだろうか。

さて前回はトツゲキECUチューンをインストールしてくださった佐藤俊鉱さんの運転で走り始めてみたら、助手席でも違いが感じ取れるほど違った、というところまで記した。では自分が運転してみたらどうだったか、というのが今回の話なのだが、とにかくさわやかで気持ちよく走るようになりました、というのがすべてと言ってよい。

今回お世話になったAPIOのクリエイティブサービスアドバイザーの佐藤俊鉱さん。ありがとうございます。

とにかくJB64のウイークポイントは眠く回らないエンジンで、JB23から乗り比べて一番がっかりしたのは、ものすごく穏やかでパワー感のないエンジンであった。特に夏にエアコンを入れて、頻繁にストップアンドゴーを繰り返すような状況や、上り坂が続く状況などでは右足にいくら力を込めたとしても、ヴゥゥゥーっと苦し気な音を発したまま、なかなか回転はあがらないし、本当にこれでインタークーラーターボなのかと訝ってしまうようなパワー感なのである。

今回のトツゲキECUチューンは、前回にも記したようにデイリーユースに主眼を置き、本来のエンジンの持っているパワーを100%できるだけ近く引き出すために開発されたものなのだが、15馬力程度のパワー向上が可能となるとのことであった。

走り始めてみると、確かに違う。エンジンの始動時やアイドリングなどはまったくいつもと同じなのだが、タイヤのひと転がり目の感じからしてなんだか軽い。そんなの気のせいじゃないかと言われそうだが、普通のJB64を2台(両方ともオートマティックトランスミッション)、トータルで7万キロほど乗った者がいうのだから信じていただきたい。最初のひと転がりからして明らかに違う、のである。

さらにJB64が最も苦手とする(と思う)上り坂を加速するような場面でも、今までの苦しそうにふんづまった感じが激減し、軽やかでさわやかと言ってもよい回転感をともなって加速するではないか。これは気のせいでも忖度では決してない。本来、こういう設定であるはずなのが、安全マージンを多く取りすぎた結果失ったものの多い部分を適切に補うことで、これほど改善するのか、と目から鱗が落ちるほどである。

エアコンのスイッチを切って、コンプレッサーを止めて乗るとなお一層エンジンは軽やかにさわやかに回るし、ECUチューン恐るべしである。そうはいっても、もちろん660㏄の軽自動車であるから限界はあるし、余裕しゃくしゃくというわけではないが、気持ちよくエンジンを回し、さわやかにJB64ジムニーを楽しみたい方には太鼓判でお勧めしたい、そう思う。

ジムニー仲間もECUチューニングを行った

後日、あらためてその違いを検証するべく、大柄な男性4人をわざわざ乗せた状態で、炎天下の横浜市内をもちろんエアコン最強状態で走り回ったり、横浜の山手近辺にある急な登坂路(アスファルト路面)を上ってみたのだが、確かに余裕はなくなるものの(660㏄なのだから当たり前だ)以前よりも明らかに力強く走れたことに同乗者4名ともおおいに感銘を受けた。けっしてプラシーボ効果などではなく、今回のECUチューンが効果的であることは間違えない。

より一層JB64の魅力を堪能したい方には、ぜひお勧めしたいAPIOのトツゲキECUチューンである。

購入したステッカーを貼っていただき、APIOを後に。後日、同じくモアパワーを求めていたジムニー仲間がトツゲキECUをインストールしたのは言うまでもない。

ジムニープロショップアピオ
TEL.0467-79-3732
神奈川県綾瀬市吉岡651
定休日:毎週火曜/水曜,祝日
営業時間:10時から18時
https://apio.jp/

ジムニー歴史館

ECUチューンを施していただいた当日は、その効能があまりに気持ちよく、心地よく走れるようになったので、APIO本社からほど近いジムニー歴史館を帰りがけに訪れてみることにした。ここはAPIO創業者で、現在は会長である尾上茂氏のコレクションを主とした歴史館で、「お心づけ」の1,000円を払えば、だれでも自由に一日のんびりジムニーの世界を満喫することのできる空間である。

APIOからほど近くにある「ジムニー歴史館」は必見。

こうして世界中の多くの国々で、数えきれないほどの人たちに、多種多様な形で愛され続けて来たジムニーの歴史を改めて振り返ると、これはまごうかたなき日本が世界に誇ることのできる自動車である、と心底思う。そしてそんな自動車を所有していることが、なんだかちょっと誇らしくなった。

ジムニー歴史館に行けばジムニーがいかに素晴らしい車かを体感することができる。APIO創業者の尾上さんに会えるかも?

ジムニー歴史館
https://sites.google.com/view/jimny/

Text:大林晃平
Photo:アウトビルトジャパン