マラネロ初の電気自動車 フェラーリは初の電気自動車「フェラーリ エレトリカ(Ferrari Elettrica)」の開発に全力を注いでいる 初公開は2026年!
2025年10月15日

フェラーリ エレトリカ(Ferrari Elettrica):フェラーリ初の電気自動車(BEV)。フェラーリは、駆動装置と性能に関する具体的な詳細を初めて明らかにした。初公開は2026年だ!
早とちりだった!数か月間、2025年10月9日がフェラーリ初の電気自動車の発売予定日としてインターネット上で噂されていた。しかし、発表は2026年になることが明らかになった。それでも、我々はマラネロを訪れ、ワークショップで電気自動車フェラーリの技術に関する具体的な情報を入手した!
マラネロ初の電気自動車は、その開発がはるか昔にさかのぼるこのブランドにとって、画期的な出来事だ。フェラーリが電動化に取り組んだのは、2009年にF1から派生したハイブリッドソリューションの開発を開始したときからだった。2013年には、499台限定生産のハイパーカー「ラ・フェラーリ」が、初のハイブリッドモデルとして発売された。高性能ハイブリッドモデル「SF90」および「296」のおかげで、2024年には、販売されたフェラーリの51%が電動化されたモデルだ。799台限定のニューハイパーカー「F80」と、最近発表された「SF90」の後継モデル「849テスタロッサ」により、この数字は今後さらに増加するだろう。

しかし、純粋な電気自動車は、跳ね馬をシンボルとするこのブランドにとっては未知の領域だ。社内で「エレトリカ」と命名したこの最初の作品に全力を注ぐのも当然だろう。
フェラーリが電気自動車戦略に真剣に取り組んでいることは、モータースポーツへの取り組みだけでなく、2024年6月に「e-Building」がオープンしたことからも明らかだ。この新しい複合施設には、同ブランドの研究、開発、製造プロセスが集中している。フェラーリは、電動モーター、バッテリーモジュール、コンバーターなど、すべてのコンポーネントをマラネロで開発、試験、製造しているからだ。

「e-Building」で開催された技術ワークショップでは、量産準備が整った「エレトリカ」のシャーシが披露された。すでに明らかになっていることは、各車軸に2基の電動モーターが搭載されていることだ。電動式フロントアクスルは210kW(286馬力)のパワーを発揮し、いつでも切り離して後輪駆動に切り替えることができる。切り離しは、必要に応じてわずか0.5秒で実行される。ほとんどの走行状況では、「エレトリカ」は四輪駆動で走行することになる。ここで、合計620kW(843馬力)の2基の電動モーターを搭載した電動式リヤアクスルについてご説明する。
1000馬力以上、最高時速310km
この最初の作品は、合計1,000馬力以上のパワーを発揮し、静止状態から2.5秒で0から100 km/hまで加速し、最高速度は310km/hに達する予定だ。さらに、47/53パーセントというほぼ最適な重量配分も期待されている。乾燥重量は約2,300kgと発表されている。
電気自動車の特徴である低重心も備わっている。バッテリーはシャーシに直接組み込まれており、15個の個別モジュールで構成されている。そのうち13個は車両床下に、2個は後部座席の下に設置されている。特筆すべきは、個々のモジュールは、故障時だけでなく、今後数年間でバッテリー技術が急速に進歩した場合にも交換できることだ。
フェラーリは、これにより、「エレトリカ」が長期的に「最新の状態」を維持し、長く道路を走り続けることを保証したいと考えている。結局のところ、これまでに製造されたフェラーリの約90%は、今でも走行可能な状態なのだ。

800ボルトのテクノロジーを搭載
バッテリー容量は122kWhで、セルは韓国のサプライヤー、「SK On」社から供給されている。800 ボルトのテクノロジーにより、最大350kWの急速充電も問題ない。最大走行距離は約530kmで、これはかなりの距離だが、驚異的な数値というわけではない。
バッテリーモジュールの交換は、90%がリサイクルアルミニウムで構成された独立したリヤサブフレームによって可能となっており、これはフェラーリとしては初めての試みだ。内燃機関がないため、車内の振動や騒音が最小限に抑えられる。
同時に、「エレトリカ」は、もちろん、走行ダイナミクスにおいても、真のフェラーリであるべきだ。この点では、「プロサングエ」および「F80」で知られ、さらに進化した48ボルトのアクティブサスペンションシステム(Active Suspension Management)と、リヤアクスルステアリング(最大2.15度)が役立つはずだ。さらに、この電気自動車のために、3社のパートナーと共同で、転がり抵抗を15%低減したタイヤも開発された。
本物の電気自動車のサウンド
感動も損なわないよう、フェラーリはサウンドにも特別な工夫を凝らしている。「エレトリカに」は、V8やV12を模倣するサウンドジェネレーターは搭載されていない。その代わりに、本物の電気自動車のサウンドを約束している。このために、電動式リヤアクスルに高感度センサーが取り付けられ、周波数を感知して増幅し、車内に再生する。フェラーリは、この機能をエレキギターと比較し、2023年にこの技術を特許登録した。革新的なサウンドだが、まだ試聴できないのが残念だ。

フェラーリによると、独立したリアサブフレームは、従来なら内燃エンジンの騒音によってかき消されていたはずの車内のノイズや振動を最小限に抑えるために必要だったという。同時に、このサブフレームは走行ダイナミクスの向上にも寄与している。
デザインに関してはまだ具体的な情報はないが、フェラーリは、量産モデルには短いオーバーハングが採用されることをほのめかしている。これは、かつてのミッドシップエンジン搭載の「ベルリネッタ」を彷彿とさせるものだ。さらに、シート位置は大幅に前方に移動するとされている。「エレトリカ」のホイールベースは2.96mで、「プロサングエ(3.02m)」よりもわずかに短いだけだ。
また、デザインプロセスでは、フラヴィオ マンゾーニ氏率いるチームが、デザイン集団「LoveFrom」の支援を受けていることも明らかになっている。この集団の創設者であるジョニー アイブ氏は、長年にわたり、Apple(アップル)で働いていた。
依然として厳重にカモフラージュされたプロトタイプからは、「エレトリカ」はクロスオーバー車のようなものになることが示唆されている。ただし、「SUV」という言葉は使われないだろう。確かなことは、このニューモデルは4ドア車になるということだ。
量産モデルは 2026年に発表予定
しかし、潜在的な顧客はもう少し辛抱する必要がある。「エレトリカ」の発表は2026年前半に行われる予定だ。その時点で、正式なモデル名も発表される予定だ。なぜなら、「エレトリカ」は現在のところ、この車のコードネームに過ぎないからだ。
価格についても、フェラーリは現時点ではまだ明らかにしていない。しかし、マラネロ初の電気自動車は、50万ユーロ(約8,750万円)前後になるだろうと見られる。
結論:
フェラーリが初の電気自動車を発表することは、マラネロで内燃機関車が製造されなくなることを意味するわけではない。それどころか、ハイブリッドモデルのラインナップはさらに拡大される予定だ。いずれにせよ、「エレトリカ」の最終的な量産モデルがどのような外観、そして何よりもどのようなサウンドになるか、非常に興味がある。
Text: Jan Götze
Photo: Ferrari S.p.A.