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【新着情報】レクサスからついに完全電動SUV登場 レクサスUX 300e その実力は?

2020年12月22日

レクサスから待望のE-SUV登場 我々は早速その高価なプレミアム電動SUVを試乗&徹底評価 全情報をお届けする。

新型レクサスUX 300eは、トヨタのプレミアムブランド初の100%電気自動車だ。フル充電時の航続距離は315km。われわれは、テストを通じて新型E-SUVの長所と短所を徹底検証、すべてを明らかにする。

トヨタの高級ブランドは過去15年間に世界で180万台を売り上げた。
しかし、電気自動車は一台もなく、それらは、ガソリン車の他には、ハイブリッド車やガソリンエンジンにe-アシストを備えた車たちだった。
そして今、レクサスはついに、ブランド初となる電気自動車、UX 300eを市場に投入した。
購入すれば、バッテリーに10年、または総走行距離100万kmの保証が付いてくる。
単純計算で、10年間に100万kmを消化するためには、1日に274km走行しなければならない!
そして、UX300eなら、1回の充電で、1日分である274km以上の走行が可能だ。

まずは、車を詳しく見てみよう。
レクサスUXは2019年に、まずハイブリッドとして登場した。
そして今回、フル電動SUVへと進化した。
車の床と後部座席の下に設置された54.3kWhのバッテリーは、288個のバッテリーセルで構成されている。UXのシャシーは、7センチの低重心化のおかげでさらにスポーティになっている。
一方、ウイークポイントとして、後部座席はやや狭く、後ろに乗るのは、窮屈だ。
レクサスがこれだけの床面積を確保しているのに、後部で足を曲げなければならないこと、足がシートの下に収まらないことはどう考えても納得がいかない。

UX 300eの航続距離は315kmで、54.3kWhバッテリーの80パーセントは50分で再充電できるようになっている。

315kmという航続距離

だが、フロントシートのほうが乗り心地はいい。
ドライブを開始しての第一印象は、上品だということで、その点は、さすがはレクサスUXと言える。
どこに触れても、すべてに手触りが良く、革シートは手縫いされており、軋み音など一切なく、レクサスがプレミアムリーグでプレーしたいと思っていることがよくわかる。
しかし、指で操作しなければならない悩ましいタッチパッドが備わっている。
このタッチパッドははっきり言って運転中に操作するのは面倒で、難しい。
さらに残念なことに、代替手段としてのボイスコントロール(音声制御)は用意されておらず、このクラスの競合他車の現状に比べて、一歩遅れていると言わざるを得ない。
ドライビングに関して言えば、電動レクサスは204馬力を持ち、高速道路で、トップスピード160km/hで運転している時以外は、かなり楽しい。
これは、1.8トンという、電動SUVとしては比較的車重が軽いという事実にも起因している。
しかし、スロットルを踏み過ぎると、フロントアクスルが悲鳴を上げ、最大300Nmというトルクに対応できなくなる。
そう、UXは前輪駆動車であり、全輪駆動車ではないのだ。
それにもかかわらず、レクサスが最大航続距離として約束する315kmは、競合他車とは異なるバッテリーの冷却方法による、抑制されたシステムによって可能となっている。
昔のVWビートルやポルシェ911のエンジンのように、UX 300eのバッテリーシステムは、水ではなく空気で冷却されている。
レクサスは、「空冷を採用することで、パフォーマンスとバッテリー寿命が共生可能となる」と語る。

一方、レクサスEVの購入にはそれなりの覚悟が必要とされる。
寒冷地での航続距離の急落を防ぐために、個々のバッテリーモジュールにヒーターを装備しているものの、航続距離の315kmは、今や世界標準からは遅れおり、他のEVモデルはもっと長い航続距離を有しているのだから。
そして、充電能力だ。
0から100パーセントまでの再充電に自宅の通常のコンセントで24時間、6.6kWのウォールボックスでも8時間以上かかってしまう。
だが、急速充電ステーションでなら、レクサスは50kWで、50分で0から80パーセントまで再充電できるという。
そして、車の価格は?
少なくとも47,550ユーロ(約600万円)以上である。
我々のテストしたUXは、レザー、カーナビ、LEDランプ、ヘッドアップディスプレイが含まれている、59,800ユーロ(約750万円)の豪華なバージョンだった。
非常に少ないスペースと短い航続距離のための多くのお金。
現状のままでは残念ながら、欧州リーグでは苦戦することが予想される。

テクニカルデータ: レクサスUX 300e
● エンジン: 三相同期モーター ● バッテリーサイズ: 54.3kWh ● 最高出力: 150kW (204PS) ● 最大トルク: 300Nm ● 駆動方式: 前輪駆動、無段変速 ● 全長×全幅×全高: 4495×1840×1545mm • 乾燥重量: 1785kg • ラゲッジコンパートメント容量: 367~1840リットル ● 最高速度: 160km/h ● 0-100km/h加速: 7.5秒 ● 燃費: 16.8kWh/100km ● 航続距離: 315km ● 価格: 47,550ユーロ(約600万円)より

結論:
レクサスUX 300eは、日本の高級ブランドとって、エレクトロモビリティのスタートとなる。
新型電動クロスオーバースタイリッシュだが、航続距離が少なく、充電時間が長い。
そして価格は47,550ユーロ(約600万円)からと高価だ。
今のままでは苦戦は免れまい。
AUTO BILDテストスコア: 3

満を持して投入されたレクサスの(ということは、トヨタの)E-SUVだが、ドイツ人の評価はなかなか厳しいものとなっている。これは、もはやEVも他の内燃機関の自動車や多くのハイブリッド車のように、普通に他車と比較され、客観的に批評される商品となったということでもある。
今後はますますこのように比較テストされるだろうし、消費者も冷静な目で判断してEVを選ぶ時代となるだろう。そう考えると今回のUX 300eは航続距離の面、充電時間の面、スペースユーティリティ(特にリアシートやラゲッジスペース)などで他車に及ばない部分が減点対象になったのだろう。
だが、このようにして技術も磨かれ、より良い商品になっていくのだからこれは決して悪い話ではない。せっかくプレミアムブランドのレクサスなのだから、EVに加えて一足とびに水素モデルもレクサスのラインナップに加えたほうが、注目も価値も上がると思うのだがどうだろうか。

Text: Andreas May
加筆:大林晃平
Photo: Toyota GmbH