次世代スポーツタイヤの完成形「コンチネンタル スポーツ・コンタクト 7(Continental SportContact 7)」をメルセデスAMG GLC 43でテストする
2025年10月7日

サーキットで磨かれ、街で輝く。「スポーツ・コンタクト 7」は万能のスポーツタイヤだ。コンチネンタルタイヤが誇るフラッグシップUHP(ウルトラ・ハイ・パフォーマンス)タイヤ。最新のトレッドパターンとコンパウンドを採用してドライ性能の鋭さとウェット性能の安心感を大幅に引き上げながら、快適性も強化されたのが最大の特徴。その性能をメルセデスAMG GLC 43 4MATICでテストする。
スーパースポーツタイヤは数あれど「スポコン」の愛称で名の通った「コンチネンタル スポーツ・コンタクト(Continental SportContact)」はその最右翼だ。初代「ContiSportContact」は1994年に誕生。それ以来、「スポーツコンタクト」は高性能スポーツタイヤの代名詞ともなっている。第8世代の「SportContact 7」は2021年に発売され、自動車メディアのタイヤテストでも高い評価を得ており、我々アウトビルトのAuto Bild Sportscarsではテストウイナーに輝いている。
現在、アウトビルトジャパンではコンフォートタイヤ「コンチネンタル ウルトラ・コンタクト UC7(Continental UltraContact UC7)」をテスト中だが、コンチネンタルタイヤのフラッグシップもテストしたいと予々チャンスを窺っていた。
テストにあたっては「スポコンセブン」にベストマッチなハイパフォーマンスSUV「メルセデスAMG GLC 43 4MATIC」を選択して、一般的な使用パターンでインプレッションをお届けすることにする。サイズはフロント255/45/20、リア285/40/20。全輪駆動なのにミックスタイヤが標準、しかも特殊なサイズなのか前後で同じ銘柄で揃えることができるモデルは限定される。
コンチネンタル スポーツ・コンタクト 7(Continental SportContact 7)」の特徴
アダプティブ・トレッドパターン
路面状況や速度域に応じて接地面剛性を変化。街中ではしなやかに、サーキットでは剛性感を発揮。
ブラックチリ・コンパウンド改良版
温度依存性を改善。低温から確実にグリップを立ち上げ、高温域では耐フェード性を確保。
ウェット性能8%向上
高速域での制動安定性は圧巻。アクアプレーニングへの耐性も強化。
サイズレンジ
19~23インチ。スポーツカーからハイパフォーマンスSUVまでを幅広くカバー。

エンジン音が聞こえるようになった
今更ではあるがフラッグシップモデルをインプレッションするのは難しい。なぜなら“いいのが当たり前”だからだ。ちょっとしたプレッシャーを感じながら、我々は“皮むき”を兼ねて高速道路での走行をメインに300キロを走った。
比較も兼ねて交換前の状態でも走り込んだ。交換前はオールシーズンタイヤを装着しており、大きなロードノイズと突き上げ感を伴う硬い乗り心地で悪い印象しかなかったのだが、幅広、低偏平率のタイヤだから仕方ないと諦めていた。
ワークショップで交換、いざ出発と東北方面へ走り出してすぐに、同乗者と共に出た言葉は“硬い!”だった。しかし、それは100キロを走行して一皮剥けたころからロードノイズは影を潜め、角が取れた優しい乗り心地へと嘘のように変化した。
乗り心地の変化に合わせて“エンジン音が聞こえる”ことに気づかされた。AMGならではの、ちょっとヤンチャな、でもいかにもハイパフォーマンスカーな快音が良く聞こえるようになったのだ。さらに大声を出さずともフツーに会話もできるようになった。このスポーツタイヤらしからぬ乗り心地と静粛性の高さには正直驚いた。

高速道路を降りてカントリーロードに入ると俄然やる気が増してきた。そこで感じたのは“ターンインの正確さ”。ドライバーのステアリング操作に対し、前輪が寸分違わず路面をとらえ、まるでスロットカーのようなライン取りが可能だ。グリップ限界に近づいても唐突なブレイクはなく、徐々にスライドへと移行する挙動は極めてコントローラブル。重量級のGLC 43がスポーツカーへ返信する。これは少々大袈裟だがコーナリングを楽しめるようになったのは事実だ。
ウェット路面
後日雨の中、深夜の高速道路で安全を確認した上で急ブレーキを踏んでみたが、ステアリングに修正を入れる必要もなく、安心してブレーキを踏むことができ、グリップの高さと排水性能の良さを実感した。ドライ状態と同様の直進性の高さは特筆モノ。ハイパフォーマンスタイヤによる安全性の高さはホンモノだ。

日常領域
一般道では、従来のスポーツタイヤにありがちな“硬さ”がまったくないことがわかる。路面の細かな凹凸をしなやかに吸収し、同乗者にも優しい乗り心地を提供。ロードノイズも明らかに減少し、長距離移動でも疲労感を感じさせない。この乗り心地の良さは果たして1000キロ走っても変わらないのであろうか。
性能評価チャート(編集部試乗テスト)
性能項目 | 評価(5点満点評価) | コメント |
ドライグリップ | ★★★★★ | ターンインの鋭さと限界域の粘りが秀逸。 |
ウェット性能 | ★★★★★ | 排水性とコンパウンド特性により雨天時も安定。直進性に安心感あり。 |
ハンドリング応答性 | ★★★★☆ | クイックすぎず扱いやすい。高速域での正確性が光る。 |
快適性 | ★★★★☆ | スポーツタイヤとしては異例の乗り心地。長距離移動も苦にならない。 |
静粛性 | ★★★★☆ | ロードノイズの低減が顕著。従来モデルより快適性向上。 |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ | 価格はプレミアムだが性能を考えれば納得感あり。 |
耐摩耗性 | 今後に期待 |

結論:
「スポーツ・コンタクト 7」は、単なる“ハイグリップタイヤ”ではない。サーキットでの鋭い走りを求めるユーザーから、日常域で快適性を求めるプレミアムカーオーナーまで幅広くカバーする。個人所有のクルマに履かせた「スポーツ・コンタクト 5」ではハードユーザー寄りだったキャラクターを、7代目では大きく進化させ、“万能型スポーツタイヤ”としての完成度を極めた。
次にスポーツタイヤを選ぶなら、「スポーツ・コンタクト 7」を候補に入れない理由はない。というのがファーストインプレッションだが、もう少し走ってまたレポートしたい。

Continental SportContact 7:https://www.continental-tires.com/jp/ja/products/car/tires/sportcontact-7/?pogSegment1MappingDTacs=passenger_car
Text&Photo:アウトビルトジャパン