1. ホーム
  2. ニュース
  3. これぞSUPER GT!最終LAPで大逆転!No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 松田次生/名取鉄平が勝利を飾る

これぞSUPER GT!最終LAPで大逆転!No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 松田次生/名取鉄平が勝利を飾る

2025年10月2日

宮城県のスポーツランドSUGO(1周3,586m×84周)で が2025 SUPER GT Rd.6 SUGO GT 300km レースが9月21日(日)に行われた。

魔物が住んでいると言われるこのスポーツランドSUGOであるが、今回もアクシデントが発生し赤旗中断となり、残り30分のスプリントレースでの最終LAPにNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 名取鉄平が劇的大逆転でレースを制した。

雨なのか曇りなのか、ドライで走れるのかそれとも終始ウェットコンディションになるのか、各天気予報サイトもコロコロと数日前まで予報が変わり、予選、決勝日ともにどんなコンディションとなるのか、なかなか読めずに始まった今回のレースであった。

予選日の午前に設定されているフリー走行時には早朝まで降り続いていた雨は止んでいたものの気温が上がらずハーフウェット状態。

そのセッションでのGT500クラスのトップはブリヂストン(以下BS)を履くNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 塚越広大/小出峻 でタイムは1’10.240だ。2番手はダンロップを履く1’10.251を叩き出したNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT 伊沢拓也/大草りき。3番手はBSを履くNo.3 Niterra MOTUL Z 佐々木大樹/三宅淳詞であった。

続いて当日の午後に行われた予選は、完全にドライコンディションとなり、予選はQ1、Q2と設定されているが、レギュレーションで同じドライバーがドライブする事が出来ず、GT500クラスでQ2に進出できるマシンはQ1でのタイム上位8台のみとなる。

Q1の結果は、ダイナミックな走りで何と1’09.365のGT500クラスのレコードタイムを叩き出し、2位とのタイム差も0.5秒程の差を広げてトップとなったのが、NO.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛だ。2番手はNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 大津弘樹。3番手にNo.3 Niterra MOTUL Z 三宅淳詞となり、タイヤは全てBSユーザーとなる。

8番手スタートながら着実に順位を上げ、3位フィニッシュを果たしたNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 塚越広大/小出峻

Q1のタイム順上位8台で争われたQ2の結果は、2番手だったNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 佐藤蓮が1’09.122 のタイムを叩き出して、Q1でNo.39関口が出したコースレコードを塗り替えてポールポジションをゲット。2番手はNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra S.フェネストラズで1’09.568。3番手はこちらもQ1で3番手タイムを叩き出した1’09.586でNo.3 Niterra MOTUL Z 佐々木大樹となった。ここまで見ただけでもマシンの性能をフルに引き出せる各ドライバーの凄さがお分かり頂けるだろうか。

特記すべきは4番手に入ったNo.1au TOM’S GR Supra 山下健太だ。サクセスウェイト100kgを搭載していたにもかかわらずQ1では坪井のドライブで7番手であったがQ2で1’09.692のタイムを叩き出せる能力はとてつもない力であり、すでに今シーズンのSUPER GTを語るような熱い戦いが予選から始まっていた。

予選Q1のぶっちぎりのタイムでトップタイムを叩き出したNO.39 関口選手の予選の走りを応援するTGR TEAM SARDのレースアテンド達 まさにファミリーの様なチームだ

そして迎えた翌日の決勝であるが、スタート時は時折晴れ間は覗くものの終始曇り空のドライコンディションで気温は23℃。前戦の灼熱の鈴鹿との気温差は10℃以上もありレース観戦にはもってこいの条件であったが、この条件が各チームが狙っていたコンディションを想定したタイヤを持ち込んでいたかどうかも勝負の分かれ目となってしまう。

スタートの火蓋が切られ、ポールポジションスタートNo.16ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16大津と2番手スタートのNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口がその後続を引き離していくがNo.16の背後にはNo.39がぴたりと迫る。

このコンディションに選択したタイヤがピタリと嵌っていたか、4周目には5番手スタートだったNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 松田がNo.1山下を1コーナーでパスして4位に浮上してきた。その後、こちらも6周目の1コーナー進入でNo.39がNo.16が華麗なオーバーテイクを魅せ早くもトップを奪う事に成功し2番手を引き離しに掛かる。

ペースの良いNo.24は9周目の1コーナーでNo.3をも捉え3番手になり、14周目にはNo.16をもオーバーテイクし2番手へ浮上。更には勢いの止まらないNo.24松田は24周目に入ったところのホームストレートNo.39華麗にオーバーテイクし遂にトップに躍り出る。

2位スタートから数周でトップに躍り出る事に成功し、速さを保ちつつタイヤマネジメントや燃費を稼ぎ素晴らしい活躍を魅せてくれたNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra S.フェネストラズの走行を関口雄飛が祈るように見守っていた

18周目にGT300クラスのマシンがコース上でストップし、フルコースイエロー(FCY)となるも、20周目に再開。No.39関口はNo.24の背後にピタリと着き、素晴らしいクリーンなバトルで26周目にはNo.24を抜き返し再びトップを奪い返す。また8番手スタートだったNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GTは着実な追い上げを魅せ4番手まで浮上していた。

その後、規定周回の1/3となる28周目に入ると、先行してピットに入って来たのがその4番手のNo.17であった。またトップを走るNo.39は関口の巧みな走りで好ペースを維持しそのまま周回を重ね後続車を引き離しに掛かる。

2位を走っていたNo.24は39周目にピットへ入り松田から名取にステアリングを託すが、交換したタイヤが温まらずNo.17,No.64に先行されてしまった。トップを快走し素晴らしい走りを魅せたNo.39関口は規定周回の半分を走り切り42周目にピットインをし後半をS.フェネストラズに託す。

2番手スタートから数周で関口の見事な走りでトップに躍り出る事に成功し、サッシャにドライバー後退し終始レースをリードしていたが、最終LAPにその座を奪われてしまい2位フィニッシュとなったNO.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛/S.フェネストラズ

その後、再度FCYとなるが47周目に解除となり、順位に変動はなかったが、翌48周に何と最終コーナー立ち上がりで、GT300クラスのNo.20シェイドレーシング GR86 GTと、No.777 D’station Vantage GT3のクラッシュが発生、レーススピードで走っていたNo.64 Modulo Nakajima Racing 大草が行き場がなくなった状態でピットレーン入り口のタイヤバリアに突っ込む大クラッシュが発生した。

幸いドライバーはマシンを降りて無事で何よりであったが、このクラッシュにより50周目に赤旗が提示となり、レースは一時中断となりマシンはホームストレート上に整列され、壊れたガードレール、クラッシュパッドの復旧が完了するまでレース再開を待つこととなる。

No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra S.フェネストラズ 持っているもの全てを出し切り戦っていたが、チェッカー目前でNo.24に先行され、悔しさのあまりしばらくの間、誰とも喋る事はなかった

約1時間が経過し、安全が確保されレースは午後4時に再開宣言されるが、規定周回は84周であるが、このレース開催のリミットは16時30分であり、残り34週を走り切るには時間が足らないことから、残り30分のスプリントレースに変更された。

これによって、中断前までにリードしていたものは全てリセットされてしまうため、ライバルをオーバーテイクするには絶好のチャンスであるが、裏を返せば今回の場合トップを快走していたNo.39には築き上げてきたマージンは無くなってしまう。気温が下がって路面温度も下がってきた事もあり混戦となることは必至。サクセスウエイトはトップのNo.39は58kg、2番手No.17は24kg、3番手No.24は1kgであることからNo.24の優位性は容易に想像できる。ただし、No.39のドライバーはサッシャ、No.17は塚越、No.24は名取で、いずれも百戦錬磨の強いドライバー故に誰がトップでチェッカーを受けるかはまったくわからない。

いよいよレース再開となり、51周目から各車猛追のバトルが始まるも、すぐさまGT300車両のアクシデントが発生、この日2回目のFCYが宣言される。58周目に解除となった。3番手を走るNo.24の名取が巧みなオーバーテイクで60周目の1コーナーでNo.17をアウトから抜き去って2番手になると、ついにNo.39に迫る。

大荒れのレースの最終LAPで大逆転勝利を果たしたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 松田次生/名取鉄平

路面温度低下でタイヤのグリップが上がらないNo.39サッシャはこれぞプロと言わんばかりに巧みなラインで何度も仕掛けてくるNo.24名取を抑え続けて制限時間ギリギリまで踏ん張っていたNo.39サッシャだが、後にリスク承知であそこで行くしかなかったと答えたNo.24名取がラストラップのバックストレートに続く馬の背コーナーで並びかけ、そのままアウトからオーバーテイクに成功する。その瞬間、グランドスタンドにドヨメキが走った。名取はそのまま最終コーナーを立ち上がり、劇的なフィニッシュでGT500クラス初優勝を飾った。2位はNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra、3位はNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GTとなった。

Rd.6 SUGOの終了時点でのドライバーランキング
1位:9位のNo.1 au TOM’S GR Supra 坪井翔/山下健太 60.5P
2位:7位のNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/福住仁嶺 52.5P
3位:2位となり6位から3位になったNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛/S.フェネストラズ 44P
4位:5位のNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra 笹原右京/G.アレジ 43.5P
5位:11位でノーポイントとなったNo.38 KeePer CERUMO GR Supra 石浦宏明/大湯都史樹 43P 

GT500クラス表彰台

次戦のRd.7オートポリスではサクセスウエイトが半減される。

GT300クラスはドライバーズポイント上位の3台がまさかのアクシデント!

前戦での幻の優勝だったNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GTが見事優勝を果たすことに!

GT300クラスはパレードラップを終え、そのまま全車スタートと思っていた矢先に23番手スタートとなったNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTがピットインしタイヤ交換を行うというアクシデントでレースが始まる。

GT300レーススタートシーン スポーツランドSUGO独特の高低差がわかるだろうか

前戦鈴鹿での勝者であり好調でポールポジションを獲得したNo.7 CARGUY Ferrari 296 GT3のザック・オサリバンがクリーンにスタートを決める。2番手スタートのNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GTの吉本が2位をキープ。その後いきなりNo.87 METALIVE S Lamborghini GT3の松浦がNO.52 Green Brave GR Supra GTの野中と接触してしまいピットへ向かい勝負権を失う事に。

4位フィニッシュとなったが、ドライバーランキング3位となったNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口信輝/片岡龍也

その後、No.7 CARGUYフェラーリのペースが上がらず7周目にはNO.60 Syntium LC500の吉本がベテランらしいオーバーテイクを魅せトップに躍り出る。17周目には、3コーナーでドライバーズポイントリーダーのNo.65 LEONと No.45 PONOSFERRARI 296のケイ・コッツォリーノが接触し、No.65がスピンを喫してしまう。

9位スタートから見事3位フィニッシュを果たしたNo.666 seven × seven PORSCHE GT3R 近藤翼/H.キング

さらにこのアクシデントを避けようとしたドライバーズポイントランキング3位だったNo.2 HYPER WATER INGING GR86 GTの平良響、No.52Green Braveスープラと接触しアウト側にマシンを止め万事休す。そしてこのアクシデントによりフルコースイエロー(FCY)が導入となる。FCYが解除され24周を過ぎた頃からこのクラスもミニマムでピットインを行うチームが現れてきた。

トップを走るNo.60吉本のペースが上がらず、後続も追い付いて来たところの28周目にはピットへと向かう。No.60がピットインを行うと暫定トップに上がったNo.4GOODSMILE RACING & TeamUKYOと7番手スタートから追い上げてきたNo.56リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R平手がトップ争いを展開し大いにレースを盛り上げた。

7位スタートからしぶとい走りで見事2位フィニッシュを果たしたNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R J.P.デ・オリベイラ/平手晃平

10番手から4番手まで浮上していたドライバーランキング2位のNo.777 D’station Vantage GT3も30周を終えピットイン。2番手のNo.4は36周を済ませピットインを行い、No.56もピットインを行う。これで真っ先にタイヤ交換を行ったNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTがレースをリードするも、ピットインを既に行ったグループの中ではNo.60,No.56,No.777、そして真っ先にピットインしたNo.31 apr LC500h GTがトップ争いを展開する。

No.61はもう一度ピットインを行う必要があり、序盤のタイヤ交換作戦が功を奏すか見ものであった。すると、最終コーナー立ち上がりでトップ争いをしていたNo.777とNo.31が接触しNo.777号車がアウト側のガードレールにヒットし大クラッシュが発生。しかもそのクラッシュにNo.20 シェイドレーシング GR86 GT平中も巻き込まれ、GT500クラスのNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GTと共にピットロード入り口のタイヤバリアに当たり、大クラッシュが発生。赤旗となりレースは中断となった。

2番手スタートから鈴鹿の悔しさを見事に晴らしトップチェッカーを受けたNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GT 吉本大樹/河野駿佑

その約1時間後にレース再開されたが、ピットイン義務を果たしていないNo.61はピットイン、作業を終えピットアウトするも右リヤにトラブルが発生したために再度ピットインをしたために万事休す。

これにより再びNo.60がトップに返り咲く事が出来たが、背後にはNo.56 が迫りバトルが数周にわたって行われた。No.60河野は巧みなライン取りでNo.56オリベイラの攻めを見事に封じ込めて見事このバトルを制しチェッカーを受けた。3番手には9番手スタートからじわじわポジションを上げてきたNo.666 seven × seven PORSCHE GT3Rが見事入った。

そこでこちらも気になるのがGT300クラスのポイントランキングは以下の通りだ。
Rd.6SUGO終了時点でのドライバーランキング
1位:8位スタートからアクシデントにより11位フィニッシュとなりトップキープに成功した No.65LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥/菅波冬悟 69P
2位:2位入賞を果たしたNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 平手晃平 64.5P
3位:4位入賞でランキングも一つ順位を上げたNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口信輝/片岡龍也 60.5P
4位:残念ながらアクシデントに見舞われノーポイントとなったNo.777 D’station Vantage GT3 藤井誠暢/C.ファグ 56.5P
5位:8位となった No.7 CARGUY Ferrari 296 GT3 Z.オサリバン/小林利徠斗 53.5P

GT300クラス表彰台

早いもので今シーズンも残り2戦

次戦のSUPER GTは、大分県のオートポリスで3時間レースとして10/18-19で開催される。サクセスウエイトは今回のレースまではフルウェイトであったが、Rd.7のAUTO POLIS戦はサクセスウエイトが半分になり、最終戦のRd.8はノーウエイトのガチンコ勝負となる。

少しづつではあるが今シーズンのチャンピオン候補が絞られて来た感はあるが、何が起こるかは今回のレース同様に最後の最後まで何が起こるか分からない。

各サーキットで行われるTGRチーム監督トークショーの一コマ 脇坂寿一か監督を筆頭にあの話題この話題でいつも大爆笑に包まれ大人気のステージなので是非見に行ってほしい

言葉では伝えられない程の葛藤と悔し涙を沢山見た今回のレース。次戦も随所で白熱したバトルが見られるはず。誰もが予想できない様な激しいバトルが続くこのSUPER GT。是非とも生でこの素晴らしいレースを観に来て欲しい。

Text&Photo:Hisao.sakakibara