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【動画付き】580馬力新型マセラティ クワトロポルテ トロフェオを初テスト その評価は?

2020年12月15日

580馬力のマセラティ クアトロポルテ トロフェオでサーキットを走る。レヴァンテに続き、クアトロポルテにも3.8リッターV8ツインターボを備えた改良モデルが登場。我々は早速、580馬力のマセラティをレーストラックで試してみた。

ついに、クアトロポルテにも当然備わっているべきパワーユニットが採用され、搭載された。
すでにSUVのマセラティ レヴァンテに最強のブーストパワーを与えているV8エンジンが、マセラティのフラッグシップモデルであるクアトロポルテのフェイスリフトモデルのエンジンルームにも搭載された。
数字的には、この3.8リッターV8の性能は、580馬力(427キロワット)と730Nmというものだ。
これにより、シックなスポーツセダンと見なされてきたクアトロポルテは、高性能セダンと言うにふさわしい性能を持つに至った。

エンジンは改良前のGTSにすでに備わってはいたものの、今回、異なるピストンとコネクティングロッド、インタークーラーを含む新しいツインスクロールターボチャージャー、変更されたカムシャフトとバルブを含む新しいシリンダーヘッドというアップグレードを経た、V8ツインターボパワーユニットを備えることによって、マセラティ クアトロポルテは、スポーツセダンの最高峰の性能をマークするに至った。
4.5秒で0から100km/hまで加速し、最高速度は326km/hに達する。
シャシーに関しても、フロントには2本のウィッシュボーンを持つアクスル、リアにはマルチリンクアクスルを採用した、マセラティの代表的な「アダプティブ スカイフック ショックアブソーバー」が装備されている。
リアドライブ アクスルには、ダイナミックなパフォーマンスを発揮するリミテッドスリップデフが装着されている。
さあ、理論解説はここまでにして、クアトロポルテをかっ飛ばしてみよう – サーキットで。

2トンの重さをレーストラックで感じる

センターコンソールのボタンで最速のクアトロポルテにセッティングをする。
最初に「スポーツ」、次に「コルサ」(レーストラック)、これによって、クアトロポルテは、よりスポーティで、「タイト」なダンパーにセットアップされる。
レーストラック、「オートドロモ モデナ」は2トンクルーザーには決して相応しい場所とは言えない。
その車重は走行中にも明らかに感じられる。
しかし、それもつかの間のことで、すぐに我々の車重に対する先入観はどこかへ吹き飛んでしまう。
3.8リッターV8ツインターボは、高級セダンへの配慮などまったくなく、もの凄い勢いで強力にプッシュし始める。
その一方で、クアトロポルテは、決してトロフェオの弟モデルで、よりスポーティなギブリのように、カーブの組み合わせを軽快にクリアするというというわけにはいかず、調子に乗ってスピードを出しすぎると、前輪の動きを乱してしまう恐れがある。

エンジンは常に自然に反応する

だが3.17メートルというホイールベースは、大きなマセラティにある種の安定感をも与えている。
ダイナミックドライビングプログラムでは、エンジンは8速オートマチックと相互作用して積極的にシフトを行う。
評価できる点は、ドライビングプログラムが顕著に異なるところだ。
これはシャシーにも当てはまる。
イタリア北部のセニョーレ、「クアトロポルテ」はとても柔軟で優れた足回りを備えている。

モアパワー: トータル580馬力で、最も強力なクアトロポルテは、4.5秒で0から100km/hに到達する。

購入に興味のある人はチェックアウト時に勇気が必要となる

一方、サーキットではなく、一般道路上ではさまざまなアシスタントシステムによってアシストされている。
例えば、アクティブドライビングアシスタントシステムは、カメラとレーダーセンサーの助けを借りて、クアトロポルテの速度を145km/hまで維持し、古典的なアダプティブクルーズコントロールシステムは210km/hまで機能する。
これらのシステムは、ブラインドスポットアシスタントシステムや道路標識認識システムなどで補完されている。
インテリアはシックで、職人技も向上しているとはいえ、残念ながらドイツのプレミアム競合モデルのレベルにまでは至っていない。
クアトロポルテ トロフェオは、161,530ユーロ(約2,050万円)という価格に見合った、新しい10.1インチのタッチスクリーンを備えた改良されたインフォテインメントシステムを取得しており、ナビゲーションシステムの能力は以前の4倍に増加している。
クアトロポルテのエンターテイメント技術は絶望的に他の高級セダンに後れを取っていたので、これはまた、緊急に必要とされていたアップグレードだ。
スマートフォンは、Apple CarPlayとAndroid Autoを介してネットワークに接続することができるようになっている。

インテリアはよりシックなものになり、仕上がりやインフォテイメントも大幅に改善された。

前のモデルが魅力的すぎたからか、現行のクアトロポルテはややそれほどの人気と評価を得るまでにはなっていない、と思う。その理由のひとつはかなり大きくなってしまったボディサイズと、やや切れ味の悪くなったボディデザイン、そして弟分であるギブリの存在、というところなのではないだろうか。
今回の大幅マイナーチェンジでは、エンジンをより高性能でパワフルなものにし、正直言って遅れていた電子デバイスを一挙にアップデートし、内外装を魅力的にブラッシュアップするという手段をとり、人気向上を図ることになったようだ。
今回のマイナーチェンジで、よりマセラティらしくなったことは確かであるし、まだまだ魅力的なクルマであることは間違いない。このクラスの高性能セダンを求める人にとっては、内外装ともにイタリアンでかっこよい、チョイワルなクルマだろう。今後マセラティもハイブリッドシステムを搭載したり、EVになっていったりするのだろうと予想されるが、マセラティユーザーが必ず求めるであろう「音」の演出、これをどうするのかが個人的には一番興味がある部分である。

Text: Wolfgang Gomoll
加筆:大林晃平
Photo: Maserati S.p.A.