「フィアット600」は可愛いフェイスのしっかり者 500を愛しているがスペースを最大限に活用したい人にお薦め!
2025年9月15日

フィアット600(第2世代):伝説のファミリーの大物。「フィアット500」を愛しているが、そのスペースを最大限に活用したい人におすすめ!テストを含む全情報をお届け!
我々のお気に入り
・500より手頃なエントリー価格
・親しみやすく遊び心のあるデザイン
不満な点
・ハイブリッドの調和が良くない
・センターコンソールのカバーが実用的ではない
カルト的な人気を誇るファミリーの大物
5ドアで丸みを帯びたSUVのような外観の「フィアット600(フィアット セイチェント)」は、イタリアの伝説的な車、「500(チンクエチェント)」の、大きくて少し落ち着いた兄貴分として一際目を引く。両モデルは同じ二分割の丸いヘッドライトから夢を見ているような表情を浮かべ、フロントにはフィアットロゴではなくモデル名が刻まれている。リヤにも、有名な垂直型テールライトを彷彿とさせるデザインが採用されている。
しかし、大きいからといって必ずしも高価というわけではない。「500」は現在純電気駆動のみのため、最も安価なハイブリッド「600」は、弟のベースモデルよりも安い!ただし、これは長くは続かないだろう。なぜなら、フィアットは2025年に内燃機関搭載の「500」の復活を発表しているからだ。
600eのスポーツ仕様
引き続き純電気駆動:「アバルト600eトゥーリズモ」は、フル電気駆動の「フィアット600e」をベースにしている。240馬力のパワーで、0から100km/hまで6.2秒で加速する。

限定1,949台生産の「アバルト600eスコーピオニッシマ(Abarth 600e Scorpionissima)」は、さらに40馬力アップ。生産台数はアバルトの設立年を象徴している。
価格:ベースモデルは約25,000ユーロ(約435万円)から
「フィアット600」には、2つのマイルドハイブリッドモデルと電動モーター搭載モデルが用意されている。最も手頃なマイルドハイブリッドモデル(110馬力)は25,490ユーロ(約445万円)から。よりパワフルな145馬力エンジンは27,490ユーロ(約480万円)から。純電気自動車は33,490ユーロ(約585万円)からとなっている。
アバルトは、240馬力のパフォーマンス重視の「600e」と、1,949台限定生産の280馬力バージョンを販売している。ボンネットにスコーピオンのエンブレムが付いたこのモデルは、最低44,990ユーロ(約785万円)からで、限定生産のトップモデルは48,990ユーロ(約855万円)からだ。
デザイン:イタリアのフォルム
フィアットが、カルトモデルである「500」の成熟したバージョンとして、ドルチェ ヴィータ(甘い生活)のライフスタイルを損なうことなく、「600」を発売したことは一目瞭然だ。5ドアモデルも、愛らしい曲線と2分割のヘッドライトが魅力だ。
「500」と「600」の橋渡し役となるのは、2024年まで製造されていた「500X」だ。しかし、「600」は、ますます大型化する自動車の流れに逆行し、「500X」よりも10cmほど短い車長となっている。
スポーツモデルの「アバルト600e」は、当然ながら派手なデザインと自信に満ちた存在感を放っている。フロントフェンダーにはネオングリーンのスコーピオンの装飾が施され、ボンネットには黄色と赤のロゴ、その下にはアバルトの文字が刻まれている。

フロントとリヤのバンパーには目立つ装飾バーに斜めのストリップが施され、リヤにはアバルトのスコーピオンが際立つエンブレムが刻印されている。スポーティなデザインを完成させるのは、ブラックのサイドミラーとブラックのルーフスポイラーだ。
サイズ一覧
・全長:4,171~4,187mm
・全幅:1,779~1,981mm
・全高:1,523~1,557mm
・重量 1,280~1,625kg
・トランク容量:385~1,256リットル(ハイブリッド); 360~1,231リットル(BEVバージョン)
駆動:2つの駆動、5つの出力レベル
「フィアット600」はCMP2プラットフォームを採用しており、ステランティスグループの他の多くのモデルと共通している。このミニSUVは、マイルドハイブリッドまたは純電気自動車として販売されている。ベースグレードでは、内燃エンジンと電動モーターの合計出力は110馬力だ。ハイブリッドのより強力なバージョンは145馬力、電気バージョンは156馬力を発揮する。
ハイブリッドバージョンには、6速デュアルクラッチトランスミッション、電動モデルは1速減速ギアボックスが搭載されている。すべてのモデルは前輪駆動だ。
「600e」の全モデルに搭載されているバッテリーの容量は51キロワット時で、メーカーによれば、エンジン仕様に応じて航続距離は321~404kmとなる。理想的な条件下では、バッテリーは20%から80%まで約30分で充電可能だ。
フィアットのカスタムチューナーであるアバルトのスポーツバージョンは、最大280馬力を搭載している。
装備:フィアット600のオプション
「フィアット600」には、3つの主要な装備バリエーションがある。ベースモデルは「600ハイブリッド」というシンプルな名称だ。16インチのホイール、フルLEDヘッドライト、4つのスピーカー、フロントのUSB-AおよびUSB-C充電ポート、リヤパーキングセンサー、レインセンサーが装備されている。さらに、車線を維持し、ドライバーの注意を監視し、緊急時には自動的にブレーキをかけるアシスタント機能も搭載されている。7インチのインストルメントディスプレイと 10.25インチのインフォテインメントシステムに加え、下部がフラットなソフトタッチのマルチファンクションステアリングホイールにシフトパドルも標準装備されている。
基本仕様は不必要な部分を節約
ただし、ベースグレードには後部座席中央のヘッドレストが欠如している。これは、次の上位グレードまたはフル電動式「600e」のエントリーモデルから搭載される。このグレードは「アイコン(Icon)」と呼ばれ、自動クライメートコントロール、自動調光式室内ミラー、センターアームレスト、電子式パーキングブレーキ、ハイビームアシストが装備されている。

ドアからドアまで伸びる楕円形のインストルメントパネルのインサートは、車体色と同色で塗装されている。「600e」では、ドライブモードスイッチで「ノーマル」、「レンジ」、「シェルパ」の3つのモードを選択できる。
技術的なギミックは、特に最上位グレードに充実している
最上位グレード「ラ プライマ(La Prima)」は、180度後方カメラ、360度「ドローンビュー」パーキングセンサー、ブラインドスポットアシストなど、多くのメリットを備えている。「ラ プライマ」では、アダプティブクルーズコントロール、渋滞アシスト、車線維持アシストにより、「フィアット600」は半自動運転が可能だ。
全グレードに標準装備の6ウェイ調整式ドライバーシートには、マッサージ機能も追加され、助手席シート同様、ヒーター付きだ。外付けミラーもヒーター付きで、自動で折りたたみ可能だ。車両がキーと所有者の接近を検知すると、自動的にロックが解除される。トランクは足元のジェスチャーで、自動で開く。6スピーカーのオーディオシステムが標準装備だ。
慈善目的のための特別モデル
フィアットは、「600e(RED)」という特別モデルを発売し、その収益の一部を、予防可能な病気の撲滅に取り組むグローバルファンドに寄付している。ただし、数千ユーロ(数十万円)安くなる「アイコン」バージョンの方が、より充実した装備が備わっている。
アバルト600eの2つの顔
スポーティな「アバルト600eツーリスモ」には、フィアット社の専属チューナーが「アイコン」の装備をほぼそのまま採用している。さらに、サベルトの布製シートと、アルカンターラ調のエンボス加工と12時位置のマークが入ったスポーツステアリングホイールも装備されている。Bピラーとダッシュボードのインサートは、サイドミラーと同様、すべてブラック塗装だ。
しかし、チューナーたちが、アバルトのデザインをフルに盛り込んだのは、限定モデルの「600eスコーピオニッシマ」だ:毒々しい緑色のブレーキキャリパー、アルミニウム製スポーツペダル、サベルト製レーシングシート。さらに、「ラ プリマ」で知られる技術的な補助装置も搭載されている。
テスト:フィアット600ハイブリッドのテスト
この車は決して巨大ではないが、「500」の大型バージョンのように見える。しかし、2台を混同しないように、「600」という数字が車内外に19個も、もちろんフロントにも目立つように刻印されている。フロントは広々としているが、リヤは背の高い乗客には膝が少し狭く感じる。しかし、上部は非常に広々としている。インテリアはカジュアルで、完璧さを追求したものではない。テスト車は最上位グレードの「ラ プリマ」で、数多くの技術的な補助機能を備えている。
インフォテインメントは少し分かりにくく、メニューの配置はもっと論理的に整理できるだろう。我々にとって気に入らない点の一つは、センターコンソールのカバーがタブレットのケースのように開く点だ。その直上にトランスミッションのスイッチがあり、カバーがぶつかる可能性がある。これは賢い設計とは言えない。電動モーターと内燃エンジンは発進時に理想的に連携せず、車は短い遅延の後で動き出す。ステアリングは都市交通向けに設計されており、操作は軽快だが、時折反応が鈍いことがある。
結論:
「600」は、「500」を愛しているが、そのスペースを最大限に活用したい人におすすめだ。デザインとインテリアは弟車と同じだが、ハイブリッドは私たちを完全に納得させるものではなかった。

フィアット600ハイブリッドDCT Auto Bildテスト評価: 3
Text: Jan Götze
Photo: Stellantis N.V.