【サーキット走行】ブガッティ シロン ピュールスポールその実力は?
2020年12月7日
「純粋にスポーティ」という名のシロンをサーキットでテスト:このクルマをスローダウンさせることができるのは悪天候だけだ。我々は、この350万ユーロ(約4億4千万円)のブガッティ シロン ピュールスポール(Bugatti Chiron Pur Sport)をレースコースで味わい尽くした。
60台限定のスペシャルモデルである、この「ピュールスポール(純粋なスポーツの意味)」は、フロント、リア、サイドのデザインが美しく洗練されていて、つい目を奪われてしまう。しかし、それ以上に魅力的なのは、壮大なドライビング・ダイナミクス、つまり、圧倒的な性能がもたらす「走る歓び」なのは間違いない。
大型のフロントスプリッターを備えたフラットなフロント、パワフルなエアインテーク、印象的なホイールアーチベンチレーション、延長されたディフューザー、幅1.90メートルの固定式リアウィングが、ダウンフォースを大幅に向上させている。また、50kgの減量にも成功している。
シロン ピュールスポールのシャシーは、ノーマルのシロンから大幅に改良されており、まさにコーナリングアーチストと呼べるほどに仕上がっており、ドライバーは最高のエクスタシーを感じることができる。だから、ウェットな路面でも、ほぼアンダーステアを出すこともなく絶妙なリアエンドコントロールとともに、最終ヘアピンからグランドスタンド前のメインストレートを、轟音を立てながら駆け抜けていく。当日冷え込みも何ら問題なく感じるほどだ。ちなみにこのマシンの価格は350万ユーロ(約4億4千万円)だ。
さらに強化された中間加速
ピュールスポールの8リッターW16エンジンは、標準モデルのシロンより200rpm高い6700~6900rpmの回転域で、1500馬力と1600Nmの最大トルクを発揮する。さらに、デュアルクラッチトランスミッションは、作動時間も15%短縮されており、0-100km/h加速は標準モデルの2.4秒から0.1秒速い2.3秒になった。0km/hから200km/h加速はコンマ6分の1秒速い5.5秒で到達する。ちなみに、最高速は350km/h。もちろん自主規制による最高速度だ。
ピュールスポールは俊敏性とハンドリングに妥協なきチューニングを加えたモデルともいえる。新しく導入された、ESC Sport+ドライビングプログラムは、ステアリングホイール上のノブで制御され、タイトコーナーでも、極めてコントローラブルなスライドコントロールが可能だ。
もちろん、シロン ピュールスポールは高速道路でも輝きを放ち、市街地では車内で問題なく会話できるが、このクルマの生きるべき場所はサーキットやワインディングロードであることは疑いようがない。
あたかも雷鳴のようなサウンドともに高速で走り去り、罪深いほど高価なスーパーカーは、シロンの他にも何台か存在する。しかし、こうした凶暴とも言えるダイナミズムを持ちながら、カジュアルな日常をこなすユーティリティを兼ね備える一台となると、ブガッティ シロン ピュールスポールの他にあるとは思えない。
Text: Stefan Grundhoff