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見た目はフツウ、中身は悪魔 メルセデス・ベンツ190EにV12を搭載!?

2020年12月6日

6.0リッターV12を搭載したお馴染みのメルセデス190が売りに出されている。コンバージョンに3年半の歳月がかかった190は新しいオーナーを探している!

 現在のCクラスに相当する、元祖小型ベンツ(今からは想像もできないが、かつてメルセデスは中型以上のモデルしか存在しなかった!)190(W201)シリーズ。
「最善か無か」などと随分な物言いだった高級車メーカーメルセデス・ベンツは、初の小型となるこの190にも最上位機種と変わらぬクオリティを投じ、モータージャーナリストはもちろんマーケットからも大いに歓迎されヒットしたモデルだ。ちなみにバブル時代、イケイケのお兄様方がSやSLで夜の街を闊歩する中、「小ベンツ」と呼ばれた時代もあった…。今ではすっかり日本では見かけることもなくなったが、近頃のレトロな車ブームのせいか、おしゃれな若者が乗っていたりもする…。

 そんな190だが、オランダで魔改造を受けた一台が話題になっている。一見するとなんの変哲もない190に見えるのだが、その心臓部にはメルセデス600SELの巨大な6.0リッターV型12気筒(M120)が移植されているのだ。完成までに、要した時間はなんと3年半!

 製作者のヨハン・ミューター氏はこのプロジェクトの全貌を、自身のYouTubeチャンネル「JMSpeedshop」に動画をアップしている。
 我々アウトビルト誌は、以前にもこのヨハン氏のプロジェクトを詳細にレポートしているのでぜ下記の記事もご参照いただきたい。

 ヨハン氏が毎日の足として使っていたこの190は、1984年式で走行距離はおよそ29万キロ。日々のアシとして愛用していたこの車に、ある日彼は突如巨大なV12を移植することを思いついたという。

 そのために彼はメルセデス600 SEL(W140)を購入し、そこからエンジンやドライブシャフト、および様々なシャシーパーツを小型の190に移植しはじめた。しかし、当然ながら事は簡単に進むわけもなく、当初の想定範囲を超えた膨大な時間を要したという。

 ちなみにこれが彼のTODOリストである。

● メルセデス600 SEL(W140)のV12エンジン(テストベンチ上の性能: 424馬力&最大トルク585Nm)およびステアリングシステム一式を移植
● 1989年式190Eの改造フロントスポイラーの装着
● CL600の5速オートマチックトランスミッションの移植(そのためにカルダントンネルを改造し、このトランスミッション用のスペースを作成)
● BMW(E36)用のBCコイルオーバーサスペンションの装着
● SL500(R129)のホイールハブ装着
● S600(W220)/CL 600(C215)の18インチホイールを装着
● エキゾーストシステムの製作
● 1987年式190 2.3-16のレザーインテリア一式の移植
● 後期型フェイスリフト版の見た目に変更
● ブルーブラックメタリック(純正カラーコード199)による全塗装

見た目には、何の変哲もないおとなしい190だ。新しい塗装を施された現在の姿は、とても良く見える。

 この壮大なプロジェクトのシメには、インテリアの全面改装やボディやホイールのリフレッシュも行い、ついに2020年3月に完成と相成った。ちなみにボディカラーは、DTM(ドイツツーリングカー選手権)用に開発された190のレースバージョン「190 2.5-16 EVO」に採用されていた「ブルーブラックメタリック」(カラーコード番号199)を用い、それに合わせてエプロンやトリムも純正で採用されている「アルトグラウ」で塗装した。
 実に3年半、1500時間をはるかに超える作業時間を要したという。

 このユニークなV12エンジン搭載の190との蜜月を、さぞヨハン氏は楽しんでいるのだろうと思いきや、なんと彼はこの車を売りに出している。というのも、次なる新プロジェクトに専念するためだという。
 彼の希望価格は68,950ユーロ(約868万円〜公道走行を正式認可されている)。外観は新しいオーナーの好みに合わせて変更可能というオプションも提示している。
 例えば、このホイールが新しいオーナーの好みに合わない場合は、相談の上、別のホイールセットに変更することも可能ということらしい。ヨハン氏によれば、190エボIやエボIIのボディキットも考えられるとのこと。(我々としては、せっかく「さり気なさ」が台無しになってしまうと思うが…。)
 ともかく、ヨハン氏はこのモンスターベンツが良い人の手に渡ることを祈っているという。

240km/hまでのスピードメーターでは足りない。ヨハンは、GPSによるとすでに250km/hを記録しているが、理論上は310km/hが可能なはずだとのこと。

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 気になる次のプロジェクトだが、ヨハン氏はすでにM113型の5リッターV8を購入したという。
 しかし、このエンジンの出力は306馬力。今回のV12が424馬力なので、さらにターボを追加することも視野に入れているという。なかなか興味深い。
次回のレポートをお楽しみに!

 *豪快なサウンドと走りをYouTube動画でお楽しみください。

Text: Jan Goetze
Photo: JMSpeedshop