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世界を震撼させた時速472.41km ― BYD「YANGWANG U9 Track Edition」が最高速記録を更新

2025年8月31日

2025年8月、ドイツ北部のパペンブルク試験場(ATP)で、BYDのハイエンドブランド「仰望(ヤンワン)」が世界に衝撃を与えた。「YANGWANG U9 Track Edition」が、電気自動車(EV)の最高速記録を更新し、472.41km/hという驚異的な数値を叩き出したのだ。

3000馬力超の怪物EV

U9 Track Editionの心臓部は、世界初の量産型1200V超高電圧プラットフォームを核にしたe⁴プラットフォーム。30,000rpmに達する高性能モーターを4基搭載し、総出力は3000馬力オーバー。1トンあたり1217馬力という、レーシングカーすら凌駕するパワーウェイトレシオを誇る。

さらにDiSus-Xインテリジェント車体制御システムが加わり、各輪のトルクを100Hz超で独立制御。極限の速度域でも車体の安定性を失わない。サスペンションは加減速やコーナリングに即応し、ロールやピッチを最小限に抑える。これは単なる「速いEV」ではなく、ドライバビリティを磨き上げたスーパーカーと呼ぶにふさわしい。

改良された空力と足まわり

U9 Track Editionには、カーボン製フロントスプリッターや専用のセミスリックタイヤが与えられた。タイヤは佳通タイヤ(Giti Tire)との共同開発で2024年のテストデータを基に改良され、グリップと耐久性を向上。時速470kmを超える走行にも耐える性能を得た。

ステアリングを握ったのは、昨年もEV世界最速記録を樹立したレーシングドライバー、マルク・バッセング氏。彼は「昨年が限界だと思ったが、新しい技術が記録を再び塗り替えた」と語り、U9の進化に驚きを隠さなかった。

サステナブル・スーパーカーの新基準

今回の記録は、単なるスピード競争を超えた意味を持つ。BYDは「サステナブル・スーパーカー」という新たな価値観を提示し、環境性能と走行性能の両立を実現した。誕生からわずか3年でここまで到達したYANGWANGブランドは、EVの未来像を塗り替えつつある。

472.41km/h。かつてガソリン車の領域と思われていた超高速の世界に、ついにEVが足を踏み入れた。

「YANGWANG U9 Track Edition」は、電動スーパーカーの歴史に新たな1ページを刻んだのだ。

Text:アウトビルトジャパン
Photo:BYD Japan