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【レトロな車】ドイツ旧車市場高騰か?

2020年11月28日

10台中9台がドイツ車

ドイツ自動車産業協会(VDA)が算出する、クラシックカーの最新価値は?

 多くのクラシックカーオーナーは、常に自分の車の価値に細心の注意を払っている。そのため、ドイツ自動車産業協会(VDA)は1999年から毎年、「ドイツ・オールドタイマー指数(DOX)」を算出し、クラシックカーの価値の変動傾向を公表している。これは、代表的な88台の車両を選定し、登録番号に基づいて、クラシックカーの専門家やアナリストが分析評価するというもの。ちなみに、いわゆるスーパーカーである「エキゾチックな車両」や、レースカーやプロトタイプなど「独特の歴史のために高価な車両」は除外されている。
それでは、価格が上がったもの、下がったものの代表例をご紹介したい。

 この10年間に急騰続きの後、しばらくの間沈静化して旧車市場だが、2019年には再びクラシックカーの価格がわずかながら上昇し始めている。この統計は2016年から2020年現在までの価格推移となっているが、なんと上位10台のうち9台がドイツ車という結果になった。

BMW 323i

 価値上昇車種中「トップ3」にはBMWが並んだ。1位は、2016年から4年の間になんと61%も値上がりしたBMW 3シリーズ(E 21)だ。2016年には平均8500ユーロ(約106万円)だったものが、今や約13,700ユーロ(約171万円)にまでアップている。
 日本では、バブル経済絶頂期に、六本木や表参道にあふれていた3シリーズも、今やヴィンテージカーの仲間入りをし、値段が上がっているとは…。とは言え、まだまだ手の届く範疇なのはほっとする。

BMW 3.0 CSi(E9、1971~1974)

 CSシリーズは57パーセントの価格上昇を記録している。2016年には約43,000ユーロ(約537万円)だったものが、今や67,500ユーロ(約843万円)もの投資が必要となっている。
 程度の良い個体も減少しているので、さらに入手は難しくなるかもしれない。

Photo: Angelika Emmerling / AUTO BILD

BMW 2002(1968~1976)

 BMW 02シリーズ。2016年にはまだ約16,900ユーロ(約211万円)だったが、4年後の今や、購入するには25,000ユーロ(約312万円)以上支払わなければならない。これは、価値が48パーセントも上昇したことを意味する。
 BMWの中でも名車の誉れ高い「マルニ」。Youtubeなどでは毎度新型にマルニのオマージュデザインのプロとモデルCGが現れることからも、その高い人気が伺い知れる。

Photo: Werk

トラバントP60(1958~1964)

 紙製のボディで名を馳せた、旧東ドイツ製のAWZトラバントも価値が上がりつつある。2,900ユーロ(約36万円)から3,600ユーロ(約45万円)へのジャンプは、24パーセントの価値の増加を遂げている。しかし、旧東側の遺産でもあり、そもそもタマ数が少なく、お手頃な値段ではあるが、程度の良い個体はまず手に入らないかもしれない。

Photo: Angelika Emmerling

アルファロメオ2000 GTVクーペ(1971~1977)

 唯一のドイツ車以外は、9位のアルファロメオGT/GTV/ジュニアは、それぞれ25%の値上がりを記録している。2016年にはまだ30,400ユーロ(約380万円)だったが、現在では38,000ユーロ(約475万円)となっている。最近のEV化やレストモッドでもベース車両となっていることからもその人気が伺える。

Photo: Harald Almonat

ヴァルトブルク353

 旧東ドイツのヴァルトブルク353(1975~1988)は、31パーセントの価値の上昇を獲得した。2016年には4,200ユーロ(約52万円)、2019年には5,500ユーロ(約68万円)にまでアップした。  このあたりになると、日本ではまずご存じの方のほうが少ないだろう。とにかく値上がり率は高いそうだ。

価格下落の負け組TOP3

メルセデス・ベンツ SL(W113〜パゴダルーフ)

 クラシックカーを投資と見なしている投資家には悲報だが、乗って楽しみたい人たちは喜ぶかもしれない。なぜなら、最も下落率の高い3台の車は、いわゆる「ドリームカー」と呼び声の高い人気車両だ。
 その一つ、下落率第三位はパゴダルーフが人気のメルセデス(W113)。2016年に96,000ユーロ(約1,200万円)と記載されていたが、現在では86,000ユーロ(約1,075万円)と、10パーセント以上もの下落だ。

Photo: Markus Heimbach

メルセデス・ベンツ 190SL(1971)

 縦目以上に人気の71年型メルセデス190SLが第二位。2016年に12万7,000ユーロ(約1,400万円)との評価だったが、4年後の現在は10万ユーロ(約1,250万円)と、21%も下落している。

Photo: Andreas Lindlahr

フェラーリ328GTB(1989)

 下落率ナンバーワンとなったのはフェラーリ328。10万ユーロ(約1,250万円)から74,000ユーロ(約925万円)へと26%の下落を記録している。
 人気車両ゆえの価格の推移かもしれないが、お金の問題以前に、いずれも程度の良いものを探すとなるとなかなか骨の折れる作業になることは間違いない。

Text: Lars Hänsch-Petersen
加筆:大林晃平
Photo: AUTO BILD