新型「BMW M3」登場!高い人気を誇るBMW製コンパクトスポーツモデルがフェイスリフトされた その中身は?
2025年8月17日

BMW M3(G80):後輪駆動が継続されている点は評価できるが、新しいステアリングホイールとヘッドライトが大幅な価格上昇を正当化するかどうかは、各々の判断に委ねられるだろう。
2021年から販売されている「M3」のG80世代は、議論を呼んできた。主な理由は、XXLサイズのダブルキドニーグリルだ。また、オプションの四輪駆動システムの導入も、すべてのBMWファンに歓迎されなかった。
一方、M社は新たなボディバリエーションでファンを喜ばせた。2022年から、長年待ち望まれていた「M3ツーリング(G81)」が発売されたからだ。これは、最もスポーティな「3シリーズ」がステーションワゴンとして初めて登場したモデルだ。
フェイスリフトで四輪駆動コンペティションの性能向上
BMWは2024年に、セダンとツーリングの両モデルにフェイスリフトを施した。これにより、四輪駆動のトップモデル「コンペティション」のパワーが向上し、新しいヘッドライトとステアリングホイールが採用された。
価格:フェイスリフトによりM3の価格が大幅に上昇
フェイスリフトに伴い、すべてのモデルで大幅な値上げが行われた。後輪駆動のベースモデルでも、価格は95,100ユーロ(約1,620万円)からとなっている。
30馬力増(480馬力から510馬力)の「コンペティション」モデル(後輪駆動)は、101,300ユーロ(約1,725万円)から。「コンペティション」セダンに四輪駆動システム、「xDrive」とさらに20馬力を追加する場合、価格は106,200ユーロ(約1,810万円)からとなる。同じ性能で1,000ユーロ(約17万円)追加すると、ツーリングバージョンも選択可能だ。
551馬力と多くのカーボンを採用した限定スポーツステーションワゴン、「M3 CSツーリング」は、大幅な追加料金で入手可能だ。価格表では152,900ユーロ(約2,600万円)からとなっている。
デザイン:新しいヘッドライト
外観では、BMWは「M3」を控えめに変更し、新しいLEDヘッドライトを採用した。やや矢印形のライトシグネチャーは、2024年初頭に採用されたクーペモデルの「M4」から継承されている。オプションでマトリックスLEDも選択可能で、青いインサートが視覚的な違いとなっている。

CSツーリング:印象的なトップモデル
限定モデルの「M3 CSツーリング」は、フレームレスのダブルキドニーグリルとルーフエッジスポイラー、後部のエアインテークに赤いアクセントが施されている。これらのアクセントはインテリアにも続き、ブレーキキャリパーも鮮やかな赤色だ。
フロントスプリッター、フロントのエアインテーク、ミラーキャップにはカーボン素材が露出している。4本のチタン製エキゾーストパイプはマットブラック塗装だ。そして、GTレースカーをモチーフにしたLEDヘッドライトの黄色いライトグラフィックが、この車がパフォーマンスモデルであることを明確に示している。これはパフォーマンスカーだ!
サイズ一覧
セダン:
全長:4794mm
全幅:1903mm
全高:1437mm
ホイールベース:2857mm
トランク容量:480リットル
ツーリング:
全長:4801mm
全幅:1903mm
全高:1446mm
ホイールベース:2857mm
トランク容量:500~1510リットル
駆動:四輪駆動M3のパワーアップ
四輪駆動の「コンペティション」には、フェイスリフトにより20馬力のパワーアップが施され、530馬力を発揮する。トルクは変わらず、データシートには引き続き最大650Nmと記載されている。
この出力向上は、セダンとツーリング(四輪駆動のコンペティションのみの設定)では、0から200km/hまでの加速時間のみに表れている。両ボディタイプとも、この加速時間が0.5秒短縮され、セダンは11.8秒、ツーリングは12.4秒となっている。
エントリーモデルは引き続き後輪駆動の「M3」で、「コンペティション」の四輪駆動モデルと同様、出力はフェイスリフト前と同じだ。直列6気筒エンジンは480馬力と550Nmを発揮する。ベースモデルの「M3」は引き続きマニュアルトランスミッションだ。
インテリア:新しいステアリングホイール、ボタン削減
インテリアには小さな変更のみが施されている。通常の「3シリーズ」同様、フェイスリフトモデルでは標準装備の自動温度調整の操作パネルが廃止された。温度、シートヒーター、ステアリングホイールヒーターは、音声コマンドまたはタッチ操作で設定される。

フェイスリフト後も、ディスプレイレイアウトは12.3インチのデジタルコクピットと14.9インチのインフォテインメントディスプレイの組み合わせを維持している。裏側では新しいソフトウェア、オペレーティングシステム8.5が動作している。ヘッドアップディスプレイは引き続きオプションだ。
ステアリングホイールは、BMWが大幅にスポーティにデザインし直した。下部がフラットで、赤い12時位置のマークが付いている。初めて、同じデザインのアルカンターラ製ステアリングホイールがオプションで用意された。ステアリングホイールヒーターはオプションで、標準装備のスポーツシート(統合型ヘッドレストに照明付きM3ロゴ入り)のシートベンチレーションもオプションだ。
オプションでM3を25kg軽量化
「M3」を特にスポーティに仕上げたい場合は、オプションの「M-Race-Track-Paket」を選択できる。これにより、セダンとツーリングにカーボンセラミックブレーキ、電動調整式およびヒーター付きカーボンシェルスポーツシート、同素材のトリムが装備される。スポーティな外観に加え、最大25kgの軽量化も実現している。さらにカーボンを多用したエクステリアパッケージも用意されており、フロントインサート、リアディフューザー、ドアミラーキャップ、セダン専用リアスポイラー(CFK製)が装備されている。
「M3」は、標準で混合タイヤを装着している。後輪駆動の2つのバージョンは、フロントに18インチ、リアに19インチのホイールを装着している。四輪駆動モデルでは、フロントアクスルに19インチ、リアアクスルに20インチのホイールが装着されている。フェイスリフトに伴い、BMWはホイールラインナップに19インチと20インチの鍛造ホイールを追加し、シルバーカラーも選択可能になった。
限定特別モデル:M3 CSツーリング
M社が2018年と2023年に「M3」セダンに「CS」アップグレードを施した後、今度はM3ツーリングの番だ。このステーションワゴンは、エンジン出力、軽量化、空力性能など、すべてがスポーティなドライビング体験のために最適化されている。

「CSモデル(CSは「Competition Sport」の略)」には多くのカーボンが採用されている。しかし、重量の削減はそれほど大きくなく、標準の「M3ツーリング(1,940kg)と比べて、わずか15kg軽くなっている。

最高速度の差はより顕著だ。「M3 CS」は300km/hに達し、標準の「M3」モデルより50km/hも速い。ただし、オプションの「Mドライバーズパッケージ」を装着すれば、セダンは290km/h、ステーションワゴンは280km/hまで引き上げ可能だ。
結論:
「フェイスリフト」は、M3が受けた変更を表現するには大袈裟な言葉だ。ボタンレスのエアコン操作は、すべてのユーザーに好まれるとは限らない。後輪駆動が継続されている点は評価できるが、新しいステアリングホイールとヘッドライトが大幅な価格上昇を正当化するかどうかは、各ユーザーの判断に委ねられるだろう。

Text: Katharina Berndt and Konstantin Seliger
Photo: BMW Group