【ガチンコ勝負!】希少価値が高まっている本物のコンパクトスポーツカー アウディRS 3とBMW M2の対決!果たしてどちらがより優れているのか?
2025年8月13日

アウディRS 3対BMW M2:パワフルなコンパクトカーの対決。本物のコンパクトスポーツカーであるアウディRS 3とBMW M2は希少価値が高まっている。サーキットでの最良の選択はどっち?
まだ存在している、本物のコンパクトスポーツカー、点火プラグとシリンダーを備えた車。そして、今日、その対決は「5対6」となった。
いや、BMW 5シリーズ対6シリーズではなく、ほぼ伝説的な5気筒エンジンを搭載した「アウディRS 3」対、最もパワフルな直列6気筒エンジンを搭載した「BMW M2」の対決だ。サーキットのために生まれた、これ以上ないほど素晴らしい2台のロードカーだ。
どちらもパワーとサウンドで魅了
リングに上がったアウディRS 3とBMW M2。レッドコーナーには、2.5リッターのエンジンから400馬力のパワーを引き出し、1-2-4-5-3という特徴的な点火順で独特の音色を生み出す「アウディRS 3」がいる。その深い唸り声は、少し荒々しく、大きく、若々しい印象を与える。しかし、RSスポーツエキゾーストシステムから響くその音は、あらゆるガソリンヘッドの原始的な本能を刺激する。

ブルーコーナーには、あらゆるチューナーが羨む「BMW M2」が立つ。3.0リッター直列6気筒エンジンを搭載し、驚異の480馬力を発揮。フラップ制御式排気システムから放たれる迫力のサウンドも特徴だ。ただし、EUの排ガス規制が厳しく、サウンド体験は大幅に抑えられている。
我々の対決では、両車はタイヤメーカー、コンチネンタルタイヤのテストコース「コンチドローム(Contidrom)」でその真価を競い合う。3.8kmのドライハンドリングコースで、「アウディRS 3」と「BMW M2」が対決する。しかし、その前に、0から100km/hまでの加速性能が試される。
スプリントではアウディがリード
サーキット走行での要求に応えるため、「RS 3」はピレリ製Pゼロ トロフェオRを装着。BMWは「M2」にミシュラン製パイロット スポーツ カップ2を優先採用している。80馬力少ないにもかかわらず、インゴルシュタットのコンパクトスポーツカーは最初の課題を3.7秒でクリア。一方、「BMW M2」は4.0秒を要した。

しかし、さらに加速を続けると状況は逆転する。200km/hに達するまで、「RS 3」は14秒を要する一方、「M2」は12.4秒でそのマークを突破する。それでもポイントはアウディに。なぜだろうか?スターティンググリッドにアウディとBMWが並んでいる状況を想像してほしい。信号が青に変わり、最初のコーナーまで200~300m。最初にコーナーに突っ込むのはどちらだろうか?正解は「RS 3」だ。これでBMWは次の追い越しチャンスを必死に奪わなければならない。
スペック
モデル | Audi RS 3 Sportback | BMW M2 Coupe |
エンジン | 直列4気筒DOHCターボ | 直列6気筒DOHCツインターボ |
排気量 | 248cc | 299cc |
最大出力 | 400馬力/5600rpm | 480馬力/6250rpm |
最大トルク | 500Nm/2250rpm | 600Nm/2650rpm |
最高速度 | 290km/h | 285km/h |
変速機 | 7速デュアルクラッチ | 8速AT |
駆動方式 | 全輪駆動 | 後輪駆動 |
タイヤサイズ | F265/30ZR19 R245/35ZR19 | F275/35ZR19 R285/30ZR20 |
タイヤ銘柄 | ピレリP Zero Trofeo R | ミシュランPilot Sport Cup 2 |
燃費 | 10.6km/リットル | 10.2km/リットル |
燃料タンク | 55リットル | 52リットル |
荷室 | 282~1104リットル | 390リットル |
全長/全幅/全高 | 4381/1851(1984)/1418 mm | 4580/1887(2068)/1403 mm |
ホイールベース | 2631mm | 2747mm |
テスト車両価格 | 76,500ユーロ(1315万円) | 91,500ユーロ(1574万円) |
M2には純血のスポーツカー精神が搭載されている
確かに、ハンドリングに関しては、「M2」の方がサーキットツールとしての能力を備えている。アウディとは対照的に「M2」は純血のスポーツカーだ。後輪駆動で、Mディファレンシャルを搭載し、後輪間の回転数を無段階かつ可変に調整するロック機構を備えている。この構造は、スリップによる駆動トルクの損失を全力で防ごうとする。エンジンとアクセルの特性曲線を設定した後、ステアリングホイール上のMボタンを押すと、600ニュートンメーターの最大トルクが後輪に猛烈な力で伝達される。

さらに、トラクションコントロールをマイルドから超シャープまで10段階で調整できる機能が加わっている。つまり、ペッパー、パプリカ、チリから選べるということだ。ちなみにパプリカでも、リアが振れ始めるまでアクセルペダルの踏み込みはミリ単位の勝負になる。だから面白い!
「M2」のステアリングは、事実上ニュートラルポジションがほとんどなく、滑らかさとしっかりした操作の両方が求められる。これは公道ではやや過剰なほどだが、サーキットではコーナーにわずかに車を傾けられる利点があり、リアが明らかに振りすぎた場合でも、最小限の操作で素早く修正できる。
コーナリングが速い「BMW M2」はコンチドロームの3.8kmを1分30秒22で走破し、最高速度は222km/hに達した。総合的には「アウディRS 3」を1秒以上上回った。
性能
モデル | Audi RS 3 Sportback | BMW M2 Coupe |
0–100 km/h | 3.7秒 | 4.0秒 |
0–200 km/h | 14.0秒 | 12.4秒 |
60–100 km/h | 1.9秒 | 1.8秒 |
80–120 km/h | 2.4秒 | 2.1秒 |
ラップタイム | 1:31.76 | 1:30.22 |
車重 | 1594kg | 1731kg |
前後重量比 | 59/41% | 52/48% |
回転直径(左/右) | 12.3/12.2 m | 11.8/11.8 m |
シート高 | 500mm | 520mm |
制動距離(100km/hから) | 32.6m | 33.1m |
制動距離(200km/hから) | 127.5m | 128.3m |
航続距離 | 575km | 485km |
RS 3はコースを軽快に周回
「アウディRS 3」は、最高速度212km/hで1分31秒76のタイムを記録した。この記録の差は、アウディの走りに対するアプローチの違いにある。「BMW M2」はサーキットでは「ハードワーク」を要求するが、「RS3」は驚くほど簡単に操縦できる。ステアリングはより軽く安定志向で、手首の回転量が少なくて済むが、「M2」と同様に正確な操作が可能だというのがテストチームの一致した意見だった。

さらに、全輪駆動とカスタマイズ可能な設定、そしてESCをオフにできる機能を備えたRS 3は、アウディがこれまでに作ったクワトロの中で最も俊敏かつコーナリング性能に優れたモデルといえるだろう。これは、トルクスプリッターによるリアホイールへの完全可変トルク配分、電子制御スタビリティコントロール、アダプティブダンパー、RSスポーツサスペンション、そしてトルクベクタリングと呼ばれるホイール単位の制動介入が組み合わさった結果である。
これらすべてが、「RS 3」に非常に繊細なコーナリング性能をもたらしている。しかし、これらはまた、コンチドロームのようなコースで車を横滑りさせることを防ぐ。適切なステアリング角度によって、駆動力が実質的にリアホイールとフロントホイールの片側にしか伝わらない瞬間もあるが、いずれ前輪が押し出される形になり、スロットルを抑える必要が出てくる。
純粋な後輪駆動の「M2」とは異なり、「RS 3」には、コーナーを素早く抜けるための(軽い)オーバーステア傾向という走行ダイナミクス上の利点が欠如している。ただし、「RS 3」はサーキットでははるかに簡単に高速走行が可能だ。
タイムアタックはパドルシフトで
両コンパクトスポーツカーのATはサーキットで限界に達する。BMWは8速ステップトロニックトランスミッションで、アウディの超高速で1速少ないDSGよりも多くのポイントを獲得する。しかし、ラップタイムを追求するには、両車のステアリングホイールに装備されたパドルシフトで自ら変速操作を行う必要がある。
なぜなら、両車とも減速時にコーナーに差し掛かると自動的にシフトアップする傾向があるからだ。そのままでは、コーナー出口でアクセルを踏んでシフトダウンさせなければならず、このシフトダウンによる無駄なタイムロスを避けるためシフトパドルを使ってコーナリング中にギアを固定してコーナーを駆け抜ける。「M2」のパドルは、ステアリングホイールのどの位置からでも非常に操作しやすい設計だが、「RS 3」ではやや小型で積極的なパドル操作には向かない。

ドライバーの車への一体感に関しては、Mカーボンシェルシートを装備した「M2」のほうが優れている。このシートは、シートの傾斜角度を調整できるだけでなく、ドライバーの背中の形状に合わせてサイドサポートを調整することも可能だ。ただし、14,000ユーロ(約238万円)のM-Race-Trackパッケージを追加購入する必要がある。
一方、RSシェルシート(2,000ユーロ=約34万円)は比較的高く位置しており、車との一体感は「M2」ほどではないと感じられる。人によっては最適なドライビングポジションが見つからないと感じる場合もある。
ブレーキは両車とも調和が取れている
鋭い制動性能:時速100kmから、BMWは暖まったブレーキシステムで、33.1mで停止し、アウディはさらに0.5m早く停止する。

アウディとBMWのブレーキはどちらも制動力は高く、調和が取れている。オプションのRSセラミックブレーキシステムを搭載した「RS 3」は、100km/h時と200km/h時からそれぞれ「M2」より0.5メートルとほぼ1メートル早く完全停止する。これはM-コンパウンドブレーキシステムを搭載した「M2」よりも優れた性能だ。
要約すると、「BMW M2」は純粋なスポーツカーであり、少しでも速く走りたいという気持ちを駆り立てる。サーキットで存分に走りを楽しみたい人にとって、ミュンヘンの車は第一の選択肢だ。しかし、総合評価では「アウディRS 3」が勝利を収めた。
17項目の評価ポイントと合計
モデル | Audi RS 3 Sportback | BMW M2 Coupe |
ボディ剛性(15点中) | 12 | 11 |
品質感(10点中) | 7 | 7 |
シート/ポジション(25点中) | 19 | 22 |
装備(10点中) | 10 | 10 |
エンジン特性(20点中) | 15 | 16 |
運動性能(50点中) | 41 | 39 |
ギア/ギアシフト(20点中) | 16 | 17 |
サウンド(10点中) | 8 | 7 |
快適性(10点中) | 8 | 6 |
安全性(20点中) | 18 | 16 |
ハンドリング(30点中) | 20 | 23 |
ラップタイム(50点中) | 38 | 41 |
ステアリング特性(20点中) | 15 | 16 |
ブレーキング特性(30点中) | 23 | 21 |
メインテナンス性(10点中) | 9 | 7 |
燃費性能(20点中) | 14 | 12 |
価格(50点中) | 35 | 32 |
合計(400点中) | 308 | 303 |
アウディは価格と日常使いの利便性で勝利
そして、それはサーキット以外の日常使いの利便性で実現されている。これは、大幅に広くなったホイールベースから始まり、5ドアと大きなトランク、そして低価格まで及んでいる。BMWが「M2」のベースモデルで77,500ユーロ(約1,320万円)を請求する一方、アウディは「RS3」で66,000ユーロ(約1,125万円)のみを請求している。

測定した燃費は、「RS3」はリッターあたり10.5kmで「M2」のリッターあたり9.3kmよりも優れている。さらに、Vmax解除オプションを購入すれば、「RS 3」は最高速度290km/hまで延びるので、BMWを5km/h超える。
結論:
日常使いに適したコンパクトスポーツカーで、最高の楽しさと控えめなデザイン、そして最大速度を求めるなら、「アウディRS 3」が最適だ。インゴルシュタットの車は、すべてを最高水準でこなす。汗を流すスポーツマシンでチューナーの雰囲気を求め、極限領域でも妥協を許さないなら、「BMW M2」を選ぶべきだ。
フォトギャラリー:アウディRS 3とBMW M2のサーキット走行




















Text: Mirko Menke / Holger Preiss
Photo: Christoph Börries / AUTO BILD