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ドイツで最も権威ある自動車賞2020年度版が決定!

2021年5月11日

2020年度 ゴールデンステアリングホイール(The Golden Steering Wheel)賞

これらが2020年のベストカーだ。24台のファイナリスト中、13台が充電用プラグ付きの電動モデルだ。「ゴールデンステアリングホイール賞」審査員がこれらのニューエネルギー車を含む24台をドライブし、勝者を決定する。

ゴールデンステアリングホイール賞は1976年に始まり、45年の歴史を誇るヨーロッパで最大かつ最重要なカー オブ ザ イヤー賞で、ヨーロッパはもとより世界中からの注目を集めている。

わたしたちドイツの自動車雑誌『Auto Bild』(アウトビルト)と、新聞『Bild am Sonntag』(ビルト・アム・ゾンターク)の読者、ウェブのユーザーの投票によってノミネート車が選ばれ、最終選考に残ったファイナリストを国際的な審査委員会によって評価するというもの。
投票した人々の中から、抽選で3名に、2019年のベスト賞を獲得した、トヨタ スープラ、フィアット500ハイブリッド、ジープ コンパスの3台が贈られる。
最終選考は、毎年、テストコースに集められたファイナリストとなったクルマたちを、レーサーや評論家、TVコメンテーター、企業家、編集者等、各界から招かれた審査員たちによって、直接試乗され、評価された上で勝者が決められることになっている。
ゴールデンステアリングホイール賞はミシュランタイヤによってサポートされている。

各界から招かれた2020年度の審査員、午前8時から日没まで厳正なテストが行われた。

ゴールデンステアリングホイール賞には、もちろん独自の歴史がある。
最初の受賞車は、1976年のフォード フィエスタ、アウディ100、BMW 633 CSiだった。
この3つのメーカーは今年も金メダルを獲得した。
しかし、それ以外は(ほとんど)すべてが前年とは異なっている。
ソーシャルディスタンス、徹底した衛生、常時マスクと、今年の最終テストは、コロナウィルスによって、実施体制に大きな影響を受けた。
それでも、ラウジッツリンクのゴールドコースでの、ヨーロッパで最も重要な車の賞の第44回目の最終選考会はつつがなくおこなわれた。

Phot:Sven Krieger

8クラス24台が決勝で競い合う

太陽は一日の半分しか出ていなかった。
しかし、雨中のレースで圧倒的な強さを発揮したミハエル シューマッハのF1時代から知られているように、雨が降っている状況下でのテストでは、良いドライバーと良いクルマとは何であるかがより明確となる。
小型車からスポーツカーまで、8クラス各3台、合計24台のファイナリストが、読者・ユーザーからの投票で選ばれて、決勝に進出した。
多くのモデルのうち、予備の1台を含めて2台がピットレーンに入っており、合計50台近くが最終審査のために用意された。
それらの半分以上は、完全に、または部分的に電動なモデルだが、時世を鑑みるなら、今やそれほど驚くことではない。
各審査員は、それぞれ1台ずつ試乗し、ポイントシステムに応じて車を評価する。
一方で、ピットレーンに置かれたクルマのトランクを開け、荷台の床を上げ、カーペットを引っ張り上げ、後部座席を倒し、シートをテストする。
レザー、ファブリック、トリムを撫でたり叩いたり、バッテリーや馬力、価格、納期などについて、テストカーとともにテストコースを訪れたメーカー関係者に質問する。
そして厳正な審査の結果、各クラスの勝者が選ばれた。

The winners of the Golden Steering Wheel 2020

以下に、今年の受賞車をリストアップする。
受賞車のメーカーに対しても、業界で最も重要な賞を獲得したことを高く評価したい。

➤ スモールカー(小型車): オペル コルサ-e
➤ コンパクトカー: アウディA3スポーツバック
➤ コンパクトSUV: フォード プーマ 1.0
➤ ミディアムSUV: ポールスター 2
➤ 大型SUV: 起亜ソレント 1.6
➤ ミディアムSUVプラグインハイブリッド: VWティグアン eハイブリッド
➤ ミッドレンジ/アッパークラスハイブリッド: BMW 330e
➤ スポーツカー: ポルシェ タイカン
➤ 25,000ユーロ(約312万円)以下のベストカー: ヒュンダイ i20
➤ 35,000ユーロ(約437万円)以下のベストカー: セアト レオン
➤ モースト ビューティフル カー オブ ザ イヤー: ポルシェ タイカン
➤ 最も優れたイノベーション(技術革新): レクサスUX 300e

 今回はその中から2020年度「最も美しい車」部門、「イノベーション」部門、金額別となる「35,000ユーロ(約437万円)以下」そして「25,000ユーロ(約312万円)以下」のベストカーについてご紹介します。

「最も美しい車」部門の1位はポルシェ タイカン
Photo : Christoph Börries

「最も美しい車」部門: ポルシェ タイカン
 技術的なことやスペックにばかりに注目されがちな電気自動車。そんな理屈はさておき、ポルシェ・タイカンはただシンプルに「美しい車」としての評価を得た結果になった。
 多くの読者やユーザーが選んだ2020年の「最高のデザイン」は、たまたま同社初のオールエレクトリックポルシェとなったタイカンだったというわけだ。
 ちなみに、2位はフェラーリSF90ストラダーレ。3位には僅差で新型アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターが入った。

2位のフェラーリSF90ストラダーレ。経験豊富なテスターたちによる雨の中での審査用試乗。
Photo : C. Börries
「イノベーション」部門の1位はレクサスUX 300e

「イノベーション」部門: レクサスUX 300e
 世を取り巻く状況があまりに複雑なせいか、人々を納得させるにはシンプルなことが一番のようだ。
 レクサスは、同社初の電気自動車となるUX 300eのバッテリー(54.3kWh)に、100万km(または10年)の保証をつけた。
 これは、同車の航続距離は400kmをうたっているが、実に約2,500回の充電を保証するということになる。トヨタは、これまで生産した1,500万台以上のハイブリッド車の経験を活かしてこの仕組みを考え出したのだろうが、こうしたことが多くの支持につながったのだろう。

35,000ユーロ(約437万円)以下部門の1位はセアト レオン

「35,000ユーロ(約437万円)以下」部門: セアト レオン
 こちらも日本未導入のブランド「セアト」。現在はVWグループのいちブランドだが、元はスペイン生まれ。もちろん、すべての車両はVWのプラットフォームを共有している。特徴はカジュアルでスポーティ、やや若年層向けのマーケティングをしている。
 VWゴルフと同一プラットフォームを使用するレオンだが、独自の個性を打ち出すことに成功している。スポーティではあるがタイト過ぎではない。なによりVWよりも価格的にもお手頃という点が大きい。実は今回がスペイン車としては初の受賞となる。

25,000ユーロ(約312万円)以下部門の1位はヒュンダイi20

「25,000ユーロ(約312万円)以下」部門: ヒュンダイ i20
 日本には未導入のヒュンダイi20だが、 4.04mというコンパクトなサイズに大型車並みのテクノロジーやスポーティなチューニングが人気の一台だ。 
 加速時にエンジンをサポートし、燃料を節約する48ボルトのハイブリッド技術を用いているi20は、7速DSGと連動してスムーズな始動を行うスタータージェネレーターや、4人乗りのためのスペース、ダイレクトステアリング、張りのあるシャシーなど多くの魅力を備えている。やや硬いが出来の良いシートや、高いコネクティビティ性能も多くの支持を得たようだ。

 最近では国産車であれば、GRスープラやマツダCX30などが選ばれたゴールデンステアリング賞。車に厳しい欧州の目が一体どんな車を選ぶのか毎年楽しみではある。
 コロナ禍により、ますますマイカー需要が増える可能性もある昨今。こうした世界基準で高評価を受ける車が一台でも多く日本に導入されることを望みたい。