【比較テスト】VWゴルフGTIとメルセデスA 250が一騎打ち 果たして勝者は?
2020年12月28日
サーキットではGTI完勝?気になるライバルの徹底比較
フォルクスワーゲン ゴルフGTIとメルセデス ベンツA250を比較試乗。レーストラックでは、ゴルフGTIがAクラスを簡単に抜き走る。1976年からVWゴルフGTIはスピードと楽しさの象徴だ。それはゴルフ8にも当てはまるのだろうか。サーキットでのメルセデスA 250との比較で明らかになる。
ため息とともに泣きたくなる。
37,607ユーロ(約470万円)は、すべての家族の楽しみのための車と同時に、スポーツマンなパパのための高価な出費でもある。
それが新しいVWゴルフ8 GTIにかかるコストだ。
もっともシンプルなゴルフは、その約半分の価格設定だ。
また、メルセデスとの比較においても、いろいろと悩ましいものがある。
Aクラスは、A 250 4MATICのコストとして、39,202ユーロ(約490万円)からとなっている。
うーんこれは価格的にも悩ましい。
VWとメルセデスのどちらが、より多くの自動車としての価値を有しているか、より速く、よりスポーティで、払ったお金に対してより多くの楽しみを提供してくれるか。
ストレートかつタフな我々の最初の比較テストが、これらを明らかにする。
GTIとA 250は走行性能の面では何の不満もない
A 250はオートマチックしかないが、VWも2021年まではゴルフのマニュアル車を投入せずDSGで現在生産を開始しているため、今回は両車とも、7速デュアルクラッチトランスミッションが変速を担う。
エンジンとシャシーのシステムも非常に似ている。
4気筒の2リッターターボガソリンエンジンが前輪にパワーを与える。
メルセデスのA 250は350Nmのトルクがトランスミッションを介して、VWは370NmのトルクがDSGを介して、それぞれタイヤに伝達される。
これは、両方のコンパクトカーを250km/hの最高速度まで強力にプッシュし、どちらのクルマもわずか6秒強で0から100km/hにまで加速することができるトルクパワーでもある。
同等の仕様や性能に関する解説はこれまで。
しかし実際ドライビングインプレッションでは、VWのほうがより優れている、少なくとも「スポーティさ」という観点からは。
ゴルフGTIはレーストラックでも素晴らしい
端的に言えば、GTIは、より頑固だが、より生き生きとしていて、よりフィットした楽しいスポーツカーだ。
なぜか?
なぜなら、VWは、19インチホイールとともに、レーシングカー並みの性能と性格を兼ね備えているからだ。
GTIのエンジンはメルセデスA 250の2リッターエンジンよりもパワーがあり、同時に活気もある。
最大トルクがA 250より200回転ほど低い1600回転時から発生するからだ。
A 250の4気筒エンジンは、ドライバーが容赦なくアクセルペダルを踏みこむ場合にのみ、レブリミットの6000rpmにまで達することができるが、GTIのエンジンは、自らが貪欲に7000rpmに向かって上昇し続ける。
その結果、フォルクスワーゲンゴルフGTIはA 250より、生き生きと走行するものの、その一方で残念ながら、VWのエンジンサウンドはやや人工的で、この硬質なハミングノイズには慣れる必要がある。
メルセデスが、いつも通り、より頑丈で、より静かで、よりスタイリッシュである一方で、VWからはよりライトウェイトで、よりカジュアルな感じを受ける。
完成度の高いGTI
A 250が4つのホイールとともに、若干ドリフト気味にコーナーをクリアするのに対し(素晴らしく予測可能ではあるが)、ゴルフGTIはより良くコーナリングをこなし、その限界性能も高い。
さらに、装着されているタイヤはわずかなアンダーステアでも驚くほど良いグリップを発揮する。
アクセルペダルを使用してカーブに入った直後にラインを理解し、こなしていく。
センセーショナルだ。
GTIが物理学的にレースの世界を説明してくれる。
それは非常に楽しい。
つまりGTIは完璧?
ほぼそうだ。
しかしその一方で些細なことが気になる。
例えば、ESP(素晴らしいスポーツモード)のコントローラーは、デジタルメニューの奥深くに隠されているし、モードによってはサスペンションのチューニングが、日常使用時においてはややハードに感じる場合もあるだろう。
400点満点中286点で第1位。VWゴルフGTI
非常に機敏で高性能なコンパクトスポーツカー。
パワフルなエンジン、強靭なシャシー、優秀なブレーキ。
素晴らしい!
400点満点中269点で2位。メルセデスA 250
日常生活におけるGTモデル。
絶対的に安全に運転でき、快適で、さらに経済的でもある。
だがゴルフGTIよりも全体的に限界が低く、総合完成度では及ばない。
結論:
メルセデスAクラスは、完璧なトラクション、コントロールのしやすいハンドリング、低燃費、そしてオールラウンドで滑らかなドライビングの快適性を提供する。
言い換えれば、メルセデスは日常的なGTだが、VWはより多くのことができるスポーツモデルと言えよう。
両モデルとも優れた224馬力でパワフルなドライビングを提供するものの、ゴルフのほうが、より「ファン トゥ ドライブ」で、生き生きとした感覚を持ち、ドライバーははるかに多くの楽しみを経験できる。
メルセデスは、スポーティというよりも、よりオールラウンダーなモデルだ。
レーストラックにおける我々の審査の結果?
コンパクトの王様がGTIだということは議論の余地がない。
昔からフォルクスワーゲン ゴルフGTIというのは、このクラスの自動車として、完璧な一台で、様々なライバルが数多く登場してきても、その牙城を崩されることなくその地位を守り通してきた、そんなオールラウンダーな一台だ。
ゴルフⅧとなった現在でも、その評価は変わらず、今回もやっぱりなあ、という結果でGTIの勝利になったわけだが、これはひとえにもとのゴルフの完成度が高かったから、と考えることもできる。
やはりフォルクスワーゲンにとってゴルフは会社そのものを支える根幹車種だし、その面でもメルセデスベンツAクラスは不利とも言えるが、メルセデスベンツもBMWもこのクラスはFFになってしまったのだから、ゴルフやGTIとの直接対決をせざるを得ない状況なわけだし、価格も拮抗している。そういう意味では比較テストされても文句はいえない、というのが2020年の状況である。
おそらく他の評価を聞く限り、BMW 1シリーズはGTIを凌駕するレベルとも聞くが、アウディS1やAMGバージョンのAクラスなども交えて、4台で比較したらいったいどうなるのか、大変興味あるところだ。はたしてGTIはその4台の中でも絶対王者でいられるだろうか?
Text: Jan Horn, Mirko Menke
加筆:大林晃平
Photo: Christoph Börries / AUTO BILD