【テスト】レクサスLC500コンバーチブル  果たしてその気持ちよさは?

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先ごろ登場したレクサスLC500カブリオレは、V8と464馬力によって、運転の喜びが明らかに優先されている。

危うく良心の呵責に駆られそうになる。
ハイブリッド化、電動化と、政治的に正しい装備がなされつつある真っ只中に、レクサスが完全に時代遅れと思われるガソリンエンジンで、しかも天候に左右されるコンバーチブルを我々に送り込んできたからだ。
新しい旗艦のボンネットの下には、464馬力と最高速度270km/hを備えたパワフルな5リッターV8パワーユニットが搭載されているのだ。
数年間の開発を経て、10年ぶりのレクサスコンバーチブル、史上初のファブリックトップを装着したレクサスは、喜びの旅に我々を誘う。
視覚的にも技術的にも、レクサスは妥協をしない。
電気駆動はおろか、ハイブリッドのようなものもない。
レクサスは次のように述べている。
「私たちは信念のある人々を探しています」、と。

よろしい、それならば私がボランティアとなって、試してみよう。
スタンダードなタイプのスターターボタンでエンジンを起動する。
そしてここからが本番だ。
シートは素晴らしく、ボルボのような無重力感と包み込むような揺りかご的心地よさを備え持っていながら、サポート力も抜群だ。
ステアリングホイールはヘビーすぎず、椅子と同じように高級感のあるレザーで覆われている。
触れるものすべてが、このクルマは、地平線を目差して全力で加速するクルマではなく、適度な速度で滑らかに走行を楽しむクルマであることを示している。

LC500コンバーチブルは、他のライバル車ほど速く目的地にたどり着くことはできないものの、存分に旅を楽しむことができる。
もちろん、V8を全開したいという誘惑に負けてしまったときには、レスポンスは素晴らしく、瞬時に、そしてスムーズに加速する。
3,000~5,000rpmの回転域でのサウンドは、まるでハチミツのようにスイートだ。
10段階のギアをパドルシフトで操ることも可能だが、ギアボックスはオートにしておこう。
ゆったりとグランドツーリングを心の底から楽しむことができる数少ないクルマだから。

LCコンバーチブルは、Fun to Driveの極み。
ステアリングは、ドライブトレインの特性にぴったりとマッチした美しいピンポイントのウエイトを持っている。
コーナーではフロントエンドがリアよりも先にトラクションを発揮し、乗り心地を壊さない21インチのホイールを装着したレクサスの完成度の高さに感嘆しながら、カーブを流れるように駆け抜ける。

これは非常に良いロードスターで、ルーフを下げた状態でさえ、時速70km/hで普通に会話をすることも可能だ。
4層構造のルーフはとてもよくできていて、ルーフを上げたときのバタつきも全くない。
それはソフトトップシステムとしてのお手本ともいえる優秀さだ。

官能的なコンバーチブルの愉しみ: 運転するのが楽しく、LC500の出来栄えは素晴らしい。

テクニカルデータ: レクサスLC500コンバーチブル
● エンジン: V8、フロント縦置き ● 排気量: 4969cc ● 最高出力: 464PS@7100rpm ● 最大トルク: 530Nm@4800rpm ● 駆動方式: 後輪駆動、10速AT ● 全長×全幅×全高: 4770×1920×1350mm • 乾燥重量: 2450kg ● トランク容量: 149リットル ● 最高速度: 270km/h ● 0-100km/h加速: 5.0秒 ● 平均燃費: 8.5km/ℓ ● CO2排出量: 275g/km ● 価格: 114,976ユーロ(約1,437万円)より

結論:
さて、このレクサスは決して全世界を救うことはできないものの、すべての暗い冬の日に太陽を輝かせることはできる。
幸運な少数の人のための完成度の高いエキゾチックなモデルだ。
AUTO BILDテストスコア: 2

レクサスLCはなんだかいつの間にかSUVばかりとなってしまったレクサスのラインナップの中で、街でたまに見かけても魅力的に感じるクルマである。
そのスタイリングの良さは白眉であると思うし、各部の仕上がりや魅力的なボディカラーなども魅力を引き立てている要素なのだと思う。
そんなLCのコンバーチブルがいよいよ発表となり、世の中に出てきたわけだが、これもまたなかなかエレガントでいい感じの、高級感を自然と感じさせてくれるレクサスなのではないだろうか。
ライバルはずばりBMW 8シリーズカブリオレあたりだろうが、決してスタイリングで負けていないばかりか、こちらのほうがビバリーヒルズや銀座などでは、高級でスタイリッシュに見える、そんなデザインである。特に女性が運転する場合などは、迫力を通り越して威圧感さえ感じさせるBMW 8シリーズより好適なのではないだろうかとさえ思う。

Text: Tomas Hirschberger
加筆:大林晃平
Photo: Toyota GmbH