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ついに「アルファロメオ ジュニア」が上陸!ジュニア(Junior)の名にふさわしいアルファロメオだ!

2025年6月26日

去る6月24日、Stellantisジャパンは、東京・渋谷ヒカリエホールにて新型コンパクトSUV「アルファ ロメオ ジュニア(Alfa Romeo Junior)」のプレス発表会を開催、同日より全国の正規ディーラーにて販売を始めた。

その日、私は朝からウキウキしていた。アルファ ロメオが久し振りに放つコンパクトカーの発表会があるのだ。アルファ ロメオには様々な顔がある。P3を始めとする1930年代のグランプリレーシングカーもアルファだし、つい最近発表になった33ストラダーレのようなスーパーカーもまた然り。しかし私にとってのアルファは、1960年代のGT1300ジュニアに代表される、日常に密着したコンパクトなモデルにほかならない。そのアルファがコンパクトと自ら呼ぶニューモデルを発表するという。心も弾むはずだ。

アルファ ロメオ ジュニアの登場はドラマチックだった。プッチーニ作曲のオペラ『トゥーランドット』から『誰も寝てはならぬ』を高らかに歌いながら舞う男女ペアに迎えられて、静々とセンターステージにその姿を現した。

ドラマチックなオープニングでアルファ ロメオ ジュニアの発表会が始まった。
Photo:アウトビルトジャパン

発表会の席上、まず登壇したのは同社代表取締役社長 成田 仁氏。1910年6月24日に創業したアルファ ロメオの生誕日にちなんで、それから115年後のこの日にジュニアを発表することにしたと説明があった。成田氏はコンパクトカーの需要は以前から感じていたと明かし、このジュニアはまさに既存のラインナップを補充するモデルだと位置づける。次いで同社アルファ ロメオ事業部 事業部長の黒川進一氏が登壇。車両説明に移る。

塊(かたまり)感の強い外形ゆえ大きく見えるが、実際はBセグメントに属するコンパクトSUVだ。全長x全幅x全高: 4195 x 1780 x 1585mm。特に1.8mを切る全幅は都内の狭い道を抜けるときなど有り難い。
Photo:アウトビルトジャパン

ジュニアのパワーユニットには、2種類の選択肢がある。ひとつは1.2L直列3気筒DOHCターボチャージャー付エンジンと、16kWのモーターを内蔵する6速eDCTトランスミッション、そして48Vバッテリーの3要素で成立するマイルドハイブリッド。システム最高出力は145ps、最大トルクは230Nm。これはイタリア語でハイブリッドを意味するイブリダ(Ibrida)というモデルに搭載される。なお、イブリダにはベースモデルの「コア」と、上級モデルの「プレミアム」の2グレードがある。

イブリダが搭載する1.2L直列3気筒DOHCターボチャージャー付エンジン。マイルドハイブリッドのシステム最高出力は145ps、最大トルクは230Nm。モーター単体の出力は16kW、最大トルクは51Nm。
Photo:相原俊樹

もうひとつのパワーユニットは、54kWのリチウムイオンバッテリーを搭載し、WLTP基準で最長494kmの航続距離を謳うBEVのエレットリカ(Elettrica)だ。つまり新生ジュニアはアルファ ロメオ115年の歴史上、初めてのBEVとなる。モーターは最高出力115kW(156ps)と、最大トルク270Nmを発揮する。CHAdeMO方式の急速充電と普通充電の両方に対応可能。なお、イブリダ、エレットリカともに駆動方式はFWDである。

車両の概要説明につづいて登壇したのは、この日のためにミラノから来日したアルファ ロメオ チーフエクステリアデザイナーのボブ・ロムケス氏。トリノを拠点とするアルファ ロメオ・チェントロスティーレ(デザインセンター)の手によるエクステリアデザインは、随所にアルファ ロメオの伝統的なデザインを取り入れていると説明する。

ジュニアのリアエンドは“コーダトロンカ”(ショートテールを意味するイタリア語coda tronca)になっている。Cピラーにさりげなく描かれたビシォーネがわかるだろうか。
Photo:autobild.de

ジュニアは1960年代にアルファ ロメオがジュリアTZなどで先鞭をつけたデザイン手法“コーダトロンカ”(ショートテールを意味するイタリア語coda tronca)を取り入れている。空力特性を向上させる目的からテールエンドを断ち切ったこのデザインが、ジュニアのリヤスタイルの大きな特徴となっている。

ラゲッジルーム容量はイブリダが415L、エレットリカで400Lとクラストップレベルの収容力を誇る。
Photo:池淵 宏

「伝統と革新が息づくイタリアン・デザイン」と謳うジュニアのデザインで、伝統と革新のコントラストがもっとも端的に表れた一つがスクデット(盾)だろう。上級グレードには十字と“ビシォーネ(ヘビ)”が透かし彫りになった「プログレッソ・デザイン」が備わる。

一方、標準グレードには昔ながらの字体でAlfa Romeoと綴られた「レジェンダ」が備わる。アルファのクラシックレーシングカーの香りがする、趣のあるデザインだ。

スクデット(盾)は上級グレードには十字と“ビシォーネ(ヘビ)”が透かし彫りになった「プログレッソ・デザイン」が、標準グレードには昔ながらの字体でAlfa Romeoと綴られた「レジェンダ」が備わる。
Photo:Stellantisジャパン

インテリアはアルファ ロメオらしくドライバーを中心としたレイアウト。3本スポークのステアリングホイールや、かつてはアナログのスピードメーターとレブカウンターが収まっていた2眼メーターナセルも再現されている。

エアアウトレットの中心にも“ビシォーネ(ヘビ)”が見える。
Photo:アウトビルトジャパン

さすがに現代に登場した最新モデルだけに、運転支援装備も充実している。アダプティブクルーズコントロール(STOP&GO機能付)、ブラインドスポットモニター、レーンキーピングアシスト、360°パーキングセンサー、180°リヤカメラなどが全モデルに標準装備される。

左から右に。ステランティスジャパン代表取締役社長 成田 仁氏、同社アルファ ロメオ事業部 事業部長の黒川進一氏、アルファ ロメオ チーフエクステリアデザイナーのボブ・ロムケス氏。
Photo:Stellantisジャパン

今回の発表会に出席して、アルファ ロメオ ジュニアが大変な力作であることはわかった。もはやプラットフォームに旧PSA系のモジュラータイプ「eCMP」のアップデート版を使っていることや、エンジンが自然吸気ツインカムでないことを嘆くには当たらないことも頭では理解した。BEVの登場もアルファ ロメオというブランドが生き残るためには必須の条件であるに違いない。その意味で、私が朝に抱いたワクワク感が裏切られることはなかった。

ヨーロッパではナンバープレートの位置がセンターに移ってしまったが、日本仕様は伝統的なオフセット位置になっている。
Photo:autobild.de

しかしアルファを語るとき、その成否を握る決定的要素はズバリ「走り」である。これは時代を問わない。果たしてアルファが放つコンパクトSUVジュニアは「これぞアルファ!」と頷かせる走りを披露するのだろうか。私たちアウトビルトジャパンは早速、試乗の機会を捉えた。追って、当サイトではお馴染みの大林晃平がインプレッションをお届けする。ご期待いただきたい。

シンプルなデザインの新しいアルファ ロメオのエンブレム。
Photo:アウトビルトジャパン

メーカー希望小売価格は、ジュニア イブリダ コアが420万円、同プレミアムが468万円、200台限定のローンチ特別仕様の同スペチアーレが533万円。ジュニア エレットリカ プレミアムは 556万円(すべて税込)。

Text:相原俊樹