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【この500SELなんぼ?】永遠のベンツ!メルセデスSクラス W126シリーズはメルセデスファンにとって、まさに純粋なラグジュリーの象徴だ!

2025年7月20日

メルセデス・ベンツ 500SEL(W126):このメルセデス500SELは特に安全性に優れている。外装はブラウン、内装はダットルカラーの高級感のあるカラーコンビネーションと低走行距離だけでなく、特別な機能も備えている!

永遠のベンツ!メルセデスSクラス W126シリーズは、多くのメルセデスファンにとって、まさに史上最も美しいセダンだ。1979年にW116の後継モデルとして発売され、1979年から1991年までに89万台以上(クーペバージョンのC126を含む)が生産された。そして、その後、堂々としたW140に置き換えられた。

「W126」は、1981年からドライバー用エアバッグを標準装備した最初の量産車であり、純粋なラグジュリーの象徴だった。現在では、状態の良い個体はそう簡単に見つからない。特に初代モデルの「W126」は希少価値が高い!

まさにそのような1台が、ハンブルク近郊のアールスブルクにあるディーラー「Hallier Classic Cars GmbH」で販売されている。1982年式の「500SEL」は、複数の点で特別な存在だ。まず、55,084kmという極めて低い走行距離が魅力だ。これは、5.0リッターV8エンジン(231馬力)がまだほとんど使い込まれていないことを意味する。さらに、外装の「マンガンブラウンメタリック」と内装の「ダットル」ベルベットの珍しいカラーコンビネーションも特徴的だ。80年代の雰囲気を存分に味わえる!

しかし、真のハイライトは、この「Sクラス」が特殊保護車両であることだ。一見するとオリジナルの豪華セダンだが、装甲が施されているのだ!残念ながら、広告文には装甲の等級が記載されていない。しかし、厚いサイドウィンドウを見ると、この車両には一切の妥協がなかったことが推測される。特に、この「W126」は新車としてサウジアラビアのジュネーブ領事館に納車されたことを考えると、なおさらだ。

43年間で55,000kmの走行距離は、年間走行距離がわずか1,281kmに相当する。そしてこのV8エンジンは問題なしとされている。

55,000kmのみ

その後、このベンツは、2度、所有者が変わり、現在はドイツに戻ってきて、ドイツのH(クラシックカーライセンスプレート)登録を取得している。写真では、「V126(内部での長距離仕様の呼称)」は、非常に手入れの行き届いた印象を与えている。装甲を除けば、「Sクラス」は改造されていないオリジナル状態だ。塗装は色あせがなく、ベロアの内装も傷んでおらず、43年(!)を経て、55,000kmを走った5.0リッターV8エンジンは、ほぼ新品同様の状態だ。

もちろん、この期間を経て、飛び石による傷などの小さな使用感はある程度残っている。センターコンソールの側面に、おそらく後付けの電話によると思われる不格好な穴があるが、これは小さな欠点として許容範囲内と言えよう。より深刻なのは、装甲ガラスに空気が入っている点だ。通常、この欠陥は修復が困難か、または非常に手間がかかるだろう。興味ある人は、この欠点を許容する必要がある。

後部座席と前部座席の電動シート、後部カーテン、サンルーフなど、W126の装備はかなり充実している。

W126の価格は39,900ユーロ(約670万円)

この「W126」は、4本のキー、全整備記録帳、新しい車検付きで販売されている。価格は39,900ユーロ(約670万円)だ。決して格安ではないが、低走行距離、カラーコンビネーション、歴史を考慮すると、興味深い車だ。

結論:
装甲がなくても、低走行距離と美しいカラーコンビネーションにより、この「W126」は注目すべき車だ。特殊保護車両であることは、さらに排他性を高めるが、日常使いのクラシックカーを求める人にとっては、逆に魅力が薄れるかもしれない。

大林晃平(AUTO BILD JAPAN):
今までのメルセデス・ベンツSで一番Sクラスらしいモデルはどれか、という議論(?)で必ず登場するのは、「そりゃあW126でしょう」という意見である。個人的にはW116の450SEL6.9あたりが大好きなのだが、完成度や先進性といった部分、そしてメルセデス・ベンツらしさという意味では、今回のW126 500SELは真っ先に登場するモデルであることに異論はまったくない。

サッコプレートに線が入った前期モデルに、これまた前期モデルの特徴であった、通称「サザエホイール」を履き、実にいい感じのベロアシートを持った今回のモデルは、確かにいい感じの、まごうかたなきメルセデス・ベンツSクラスである。それにしてもこのいい感じのベロア素材、もう21世紀の世の中ではほぼ見かけることがないのが寂しい。メルセデス・ベンツSクラスといえばこれだったし、BMW7シリーズもボルボ264TEもこれだった。そしてこの素材が僕は大好きだった。この暖かくソフトなマテリアルは、いったいどこにいってしまったのだろう。行ったことはないが、銀座の「お店」とかは、こういうベロア素材を、一本でも多くボトルを入れてもらうために、今でもお客様のために椅子に貼ってあるのだろうか。

さて今回のW126、当時の流行だった「エンブレムレス」のトランクリッドをはじめ、前述のベロア素材のシート、電動調整式のシート(オプションだったはず)、ヘッドランプワイパー(泣かせる)、オートマチッククライミットコントロール、手動式のランバーサポート、おそらくベッカーのステレオ、観光バスのような網のマガジンラック(そうそうこれだった)などなど、僕のツボにグサっとささる装備を持ち、低走行と価格的にも納得のいく価格を持っている。

だが……本文にも書いてあるように、この車は防弾装備がなされたアーマードカーで、コレクションにしたり、どこかの博物館に展示したりするのならともかく、毎日の使用にはかなり不便なのではないか、と推測される。フロントガラスに、本来着くべきの、緑色のぼかしがなかったり、妙にサイドのガラス部のメッキが太くごつかったりするのはなんとか目をつぶるとしても、フロントガラスが防弾ということは普通のガラスほどの透明度は期待できずいくぶん歪んで見える可能性もあるし、かなりごついドアの内装部分などを見るとリヤガラス等は降りない可能性も高い。

さらにもちろん重いから燃費は劣悪だろうし、サスペンションも車重に耐えるように固められてがちがち、タイヤも防弾(じゃないと意味ないでしょう)だから、本来のSクラスらしい走りや乗り味とは程遠い自動車ではないか、と思う。そういうことを考えると、この車を日本で日常の足に使うのはかなり難しいと思う。40年くらい前の、全盛期(?)の神戸で乗るのには、こういう装備だったらサイコー、という気がしないでもないが……。

それにしてもこのシンプルで使いやすいスタッガートゲートのオートマチックトランスミッションセレクターをはじめ、すべてがあるべきところに備わったインスツルメンツパネルなどを見ると、今のメルセデス・ベンツSクラスがいかに豪華絢爛で違う路線を驀進中であるかがわかる。こういう機能最優先のメルセデス・ベンツSクラスが買えたのは、もう43年も前のことなのだ。

フォトギャラリー:メルセデス・ベンツ500SEL(W126)

Text: Jan Götze/大林晃平(AUTO BILD JAPAN)
Photo: Hallier Classic Cars GmbH