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自動車専門翻訳家がゆくドイツ自動車博物館の旅 その11

2025年6月19日

コラム ドイツの食事を楽しむ

正味6日間のドイツ滞在中、私たちはすばらしい料理を堪能した。ランチは主催者のJALパックツアーがあらかじめ手配してあったので、私たちはただ案内されたレストランのテーブルに着くだけ。ややこしいメニューを読み解く手間は一切なしで、日々異なるドイツ料理が目の前に並んだ。これは一種の贅沢だ。食事は旅の楽しみの大切な一部。ここでは写真を中心に、私たちを幸せにしてくれたごちそうを紹介しよう。

豚頬(ほほ)肉の赤ワイン煮込み。じっくり煮込んであるのでフォークを刺すだけでホロホロと肉の線維がほどける。コクのあるソースと相まって、とりわけ味わい深い一品だった。

ドイツではソーセージをヴルスト(Wurst)と言うのだそう。地域によって特色あるヴルストが作られ、その種類は1500ほどもあるという。ニュルンベルクで味わったこの一皿、付け合わせのザワークラウトとの相性も抜群だった。ちなみにザワークラウトは乳酸菌を使った発酵食品で、ビタミンCやBを多く含む健康食品なのを、今回の旅行で初めて知った。

やはりヴルスト(ソーセージ)は美味しかった。

巨大な骨付き豚肉にも挑んだ。正式な料理名は聞き漏らしたが、豚のすね肉をアップルワインに漬け込んで焼き上げた料理をシュヴァイネハクセと言うらしく、これもその一種だろうか。カリカリになった分厚い皮に阻まれて「解体」するのに一苦労。鋭いステーキナイフが欲しかったが、周囲の常連客とおぼしき地元の人たちは、刃のなまったナイフでガシガシ切り刻んでいた。とにかく彼らは(彼女たちも)力が強い。

巨大な骨付き豚肉を豪快に食した。

帰国を明日に控えたフランクフルトでは、一同揃って夕食のテーブルを囲んだ。主役はシュニッツエル。豚ロース肉を薄く伸ばして揚げたカツレツだ。

シュニッツェルはドイツの定番メニュー。

特徴はグリューネゾーゼと呼ばれるグリーンのソース(お皿の左上に添えてある)。ハーブを主体にサワークリームやマスタード、マヨネーズをミックスしたソースというから、超ハイカロリーなこと間違いなし。前半はクリスピーなカツレツとクリーミーなソースの組み合わせが美味しく夢中で食べたが、そのうち醤油が欲しくなった。

新鮮な野菜たっぷりのグリーンサラダが毎日出たのも嬉しかった。

食後のスイーツも絶品だった。ただ甘いばかりの大味なケーキを想像していたのだが、毎日供される様々なデザートはどれも繊細な味わいで、すでにメインで一杯のはずの胃にも楽々と収まった。

スイーツはどれも絶品。

新鮮な野菜盛りだくさんのサラダ、ドイツを代表するメイン料理、上等なデザート。舌の肥えた参加者一同を満足させるに充分なメニューだった。たぶん今回の旅の案内役Kさんとアレックスの知恵と経験が活きているのだろう。ドイツ料理の魅力を教えてくれた二人に、感謝したい。

Text:相原俊樹
Photo:相原俊樹ほか

【筆者の紹介】
相原俊樹:自動車専門の翻訳家・著述家。月刊の自動車専門誌向けに海外のロードインプレッションや新車情報などを翻訳。自動車関連の翻訳書多数。現在の愛車はポルシェ・ボクスター。趣味は60年代のカンツォーネと藤沢周平の時代小説。