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【007祭り】プラモデルはやっぱり面白い Vol. 6 追悼ショーン コネリー

2021年10月1日

さらばショーン コネリー

2020年10月31日にショーンコネリーがお亡くなりになった、との一報が入った。
不謹慎ではあるが、ついにこの日を迎えてしまったかと瞬時に反応してしまった。
90歳の誕生日を既に通り越していたからだ。
中学生の頃より40年間以上007シリーズのファンを自負している私にとっては、非常にショッキングな訃報であった。
私が007のファンになった理由は、第一にジェームズ ボンド(以下JBと略す)役がショーン コネリーであったことは間違いない。
現在でも私にとってJB役はショーン コネリーであるのだ。
最近のJB役のダニエル クレイグも十分に魅力的である。
しかし映画でのJBのキャラクターを確立したのはショーン コネリーであり、ダニエル クレイグもその多くを承継していると言えるだろう。

「ジェームズ ボンド 007」と「オド ジョブ ゴールドフィンガー」のフィギュア。ポラーライツ製プラモデル 現在絶版中。
この伝説のヘリコプター、箱絵には「オートジャイロ」と記載されているが、映画では「リトルネリー」のニックネームで呼称されていた。
エアフィックス製プラモデル 1/24 
箱絵の右下に「スキル」と表示されているが、製作難度が分かるようになっている。 1から4まであるが数値が大きくなるほど製作難度が上がる。
エアフィックス製「ジェームズ ボンド&オド ジョブ」のフィギュアプラモデル 1/24ポラーライツ製のものよりコスチュームが断然良い。
ポラーライツ製のジェームズボンドを完成させたもの。何故このコスチュームで、この廃墟跡なのか理解に苦しむ。

ショーン コネリーは如何にしてジェームズ ボンドになったか

ショーン コネリーは1930年8月25日、スコットランドのエジンバラにて、トーマス コネリーとして生を受け、労働者階級の家庭で育った。
決して経済的には恵まれていたとはいえない環境のもとで、9歳の少年は家計の援助の為に牛乳配達の仕事に就いた。
どちらかといえば当時としても苦労人であった。
その後は英国海軍に入るなど数々の職業に就くが、ついに俳優業を開始し、1954年には「春のライラック」で映画デビューする。
しかし大きなチャンスにはなかなか恵まれず長い下積み期間が続いた。

コネリーが1935年から1937年まで通ったトールクロス小学校の旧友たち。幼き日のコネリーは前から3列目の右から3人目。
キネマ旬報社刊 「THE LIFE OF SEAN CONNERY」より

1962年「007」シリーズの第一作を映画化する準備の最中、JB役の候補にショーン コネリーも挙げられていたが、原作者のイアン フレミングはデビット ニーブンらを薦めていた。
ボンド役に要求される洗練された上級階級のイメージがショーン コネリーには不足していたのだ。
しかし第一作の監督を引き受けていたテレンス ヤングの推薦もあり、ショーン コネリーに決定した。

「ロシアより愛をこめて」の撮影現場での原作者イアン フレミング(写真左側)とショーン コネリー(写真右側)
キネマ旬報社刊 「THE LIFE OF SEAN CONNERY」より

テレンス ヤング監督はJBの役柄(洗練されたライフスタイル)をショーン コネリーに教え込むことになる。
その一例として仕立てた高級スーツを就寝時にも着用させた、との逸話もある。
従って本当のJBはテレンス ヤングであるとも言われた。

キネマ旬報社刊 「THE LIFE OF SEAN CONNERY」

JBとボンドカー

映画の中でJBが愛用する最初のボンドカーがアストンマーティンDB5である。
第一作の「ドクターノー」(007は殺しの番号)で、JBが運転するサンビームはレンタカーという設定、また第二作の「ロシアより愛をこめて」(007/危機一発)ではベントレーが登場するが、数秒間、車輌の一部が観られるだけである。

アストンマーティンDB5 童友社製 1/24
童友社のアストンマーティンDB5のキットは2バージョン発売された。
車輌のみのバージョンと、「アストンマーティンDB5 ゴールドフィンガー」のバージョンである。
後者にはJBとオッド ジョブのフィギュアが付属し、車輌には「回転式ナンバープレート」や「上下可動式防弾版」などが備わっていて楽しめるようになっているが、前者にはそれらが付いて無い。

このキットはもともとスロットレーシング用に童友社が1960年代に発売したものを1995年に2バージョンとして再発売したものだ。
従ってかなり古いキットであるが、プロポーションはなかなか良い印象である。
共に現在絶版中であるが、ネット上に時々出回るので入手が全く不可能ではない。
因みにエアフィックス製1/32は現在も入手可能である。

アストンマーティン イマイ製プラモデル 1/32
「本キットは1960年代の金型を改良し、成形したスペシャルモデルです」と組立説明書に表示があり、当初発売は50年以上以前であることが分かる。
しかし、ゼンマイ動力には泣かされる。
「アストンマーティンDB5」、「007」とも表示されていないが、大人の事情であろうか。

トヨタ2000GT 童友社製 1/20
このキットはナガノ製の「トヨタ2000GTオープン」の金型を童友社が引き継いで、JBとボンドガール(浜 美枝さん?)のフィギュアを付属して、1995年に発売したものである。
エンジンも再現されておりプロポーションもなかなか良いと思う(多少、ボディーラインに抑揚不足が感じられるが)。

このキットも現在絶版中であるが、DB5と同様にネット上に時々出回るので購入希望者は気長に探してみて欲しい。
ところでDB5も2000GTも実車が高人気の割にはプラモデル化が少ない気がする。
特に2000GTは国内プラモデルメーカーにはキット化の義務があると思うのだが、如何だろうか。

「トヨタ2000GT オープン」 ナガノ製プラモデル 1/20
基本的にはこのプラモデルにフィギュア2体を付属させて童友社が後年発売した。

ベントレー4.5ℓ ブロワー エレール製 1/24
このキットは番外編となるが紹介させて頂く。
原作ではJBの愛用車はベントレーなのである。
映画「ゴールドフィンガー」でもベントレーからアストンマーティンDB5へ変更するシーンがある。
JB「おれの車は?」
Q「ベントレーは引退さ。」
JB「残念だな。」
Q「今回はアストンマーティンだ。DB5の改造車だよ。」
以後QがアストンマーティンDB5の特別装備を説明するシーンとなる。

このベントレーのキットの発売時は不詳であるが、製作してみてパーツ分割などから、かなり古いキットと思われる。
作り易さということをあまり考えていない感じを受ける。
部品分割もそうだが、接着後に強度が必要な箇所でも接着面が小さすぎるなどなかなか完成までに苦労させられる。
絶版中ではなさそうで、時々少量出回るので注意していれば入手可能と思われる。

最後に

ショーンコネリーが007シリーズに与えた功績は非常に大きいが、JB役を降板した後の活躍も見逃せない。
JB俳優としてのイメージが強くなり過ぎることを危惧したショーンコネリーは、JB役から去った後は様々な映画に出演した。
それらの映画を通して私が一貫して感じたのは、いぶし銀のように個性的な性格俳優としての存在感だ。
表面上は頑固で無口な愛想の無い中高年男だが、内面では優しくいつでも筋を通すような役柄が多かったような気がする。

そんなショーンコネリーにも強く私は魅了されてしまった。
もう新作での彼の活躍を目にすることは出来なくなってしまったが、私は未だに「ジェームズ ボンドのテーマ」を気付かないうちに口ずさんでいるし、今後も私の最高のヒーロー(軽々しい表現だが他の言葉が見つからない)であり続けるだろう。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

桐生 呂目男

「プラモデルはやっぱり面白い」Vol. 1からVol. 8はこちらをどうぞ。