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ランクル250の足元をリフレッシュして「もっと旅するクルマに」

2025年6月3日

これまで少し古めのヨーロッパのクルマに乗ることが多かった筆者。今回ご縁があってトヨタの「ランドクルーザー250」を新車購入、乗るたびに新鮮な発見をもたらしてくれていて早くも大変気に入っています。そんなランドクルーザー250のタイヤとホイールを交換することにしました。

当初よりは少し早まったとはいえ、ラインオフまでに8カ月、納車までには10カ月ほどかかりました。発表直後にオーダーしたので、デモカーを見て試乗して購入などできませんでしたし、しかしだからといって買うのをやめるということにもなりにくい状況での発注となりました。しかし、とりあえず事務的な注文手続きのあと「まだかなあ」「どんなクルマかなあ」など日常のふとした瞬間にまだ見ぬ愛車に想いを馳せる時間がときどき訪れる。このようなことはこれで楽しく、この「支払い義務の発生する前の時間」はおトクな時間だなあと感じるにいたったほどでした。まだ来ないけど、やがてくるというこの時間。一般的にはあまり歓迎されていない納車待ちの時間も、これはこれでいいものだなあと思ったものです。

そして実際に納車されてみたら、ランドクルーザーに対して持っていたイメージを覆されました。想像より遥かに軽やかでしなやか。諸元表の数値を見ると、かなりの重量級でふだんのアシとして乗って回るにはやや気が重くなる色々の幅や長さに対して「それを感じさせない」とまでは言わないまでも、真っ直ぐ向き合えて、なおかつそれらが足枷になるようなことのない取り回しの良さ。建て付け剛性のおかげもあって良好な乗り心地。4気筒エンジンを採用していていることでの鼻先の軽さ。フレーム構造の乗用車ですので、ものすごく斬新なイメージではないものの、それでも鷹揚で全体的にゆとりに満ちた、オーセンティックな箱型自動車という構造のクルマとして最新設計のクルマという点で、たちまち気に入ってしまいました。

他方、世の中では納期がかかることなどから、なかなか値段が下がらないことにあてこんで、納車早々売却して、ということを画策する御人も出てきており、そのようなことは厳に控えてほしい旨、ディーラーからは特に言われたりもしました。でも、いざ乗ってみると、早々売却とかいう選択肢はかなり遠のき、少しでも長く一緒に過ごしたいし、その間にもっと遠くへ行ってみたいという気持ちにもなる。やはりランドクルーザーの名は伊達ではない。ボディ形状、体が触れる部分、サイズ形状操作感覚など、どこをとってもありのままをしっかりとドライバーが読み取ることができて、長距離を走るクルマというキャラクターでは屈指の出来栄えであると感じたのでした。

けれども、だからこそ、なんとなく“ランドクルーザー”というイメージからすると全体的にも淡白な印象も拭えないのです。その一因がホイールにあるというのは納車前から感じていました。ハンドリングや乗り心地の良好さ、静粛性。そんなことを担保する素晴らしいバランスを実現したものであることは早々理解しました。でも見た目が少し華奢な感じがするのです。もちろん見た目に関しては、運転していれば外観を目にすることはありません。

クルマというものは、車庫に出向いてクルマに乗り込んで出かける前に自分のクルマの外観を目にしながら歩み寄っていく瞬間があります。そんな時に「今日もよろしく」とか「うん、なかなか良いじゃないか!」とか、出発前のささやかなこういうひとときが結構大事だし、すでにドライブは始まっている。そんなふうに思うのです。そういう短い時間の印象がもう少し主張があっても良いのではないか。特にランドクルーザーのような、存在そのものに旅するクルマのワクワク感を求めたくなるような車種の場合、この点できればなんとかしたい。もちろん本質的に支障があるわけでもないけれど、不満なわけでもないけれど、なんとなくこの点がモヤっとするのでした。

このようなおりにチョイスしたのは、TOYO TIRESの「OPEN COUNTRY R/T TRAIL」。サステナブル素材を採用し、オフロード性能とアグレッシブなデザインを併せ持つ新たにラインナップに加わったタイヤです。それとホイールはOZ Racingの「Rally Desert TGR-WRT」を組み合わせました。

本格的オフローダーとして人気の高いランドクルーザー250に組み合わせたのが、やはりオフロードタイヤとして圧倒的な人気を誇るTOYO TIRESのOPEN COUNTRY R/T TRAILと、OZ RacingのRally Desert TGR-WRT。

タイヤデザインはクルマ全体の印象をも左右させるアクセントにもなりうる存在。これを変えると結構印象に変化が出るもの。最近のTOYO TIRES、そういう意味でパフォーマンスでのアピールに加えて、フォルムで魅せる高い満足度を作り上げている印象でした。しかしこれだけ見た目にもアグレッシブなものだと、乗り心地は相当に悪化するのではないか。ノイジーで燃費への影響もかなり出るかも。かっこいいタイヤなぶん、それによる犠牲も少なくないかもと、かなりの不安に近い覚悟を持って迎えたのは事実です。

OPEN COUNTRY R/T TRAILとRally Desert TGR-WRTが、ランドクルーザー250の足元をワイルドに彩る。一方、その見た目とは異なり、快適な乗り味をもたらす。

しかし実際に走ってみての印象は、このアクティブなアピアランスを身につけたことを思うと、相当に軽微なレベル。車両の基本設計によるところもあるでしょうが、ハンドリング、静粛性ともに、ややワイルドになった印象はありつつも許容範囲内。燃費もあまり変化は見られませんでした。影響は最小限なのですが、愛車を目の前にした時の見た目も、また少しだけ大地と触れる部分は絶対的に拡大しているでしょうから、それによる、大地を蹴上げる感じもワイルドに。イメージしていた(おそらく旧弊なのであろう)ランドクルーザーのイメージ通りに近づいた印象です。

本格的なオフロード等に持ち出す機会こそいまだにないですが、それでも国道バイパスなども実は路面の荒れ具合はなかなかな箇所も少なくありません。しかしながら巡航速度はかなり速いものです。そういう場面でのアタリはノーマルタイヤ以上にしっかり受けてくれている感じもあります。勢いよく凹凸に侵入し、しゃがんでそのまま段差を越える際のしっかり感はさすがランドクルーザーといったところです。あくまでマナー良くサスペンションは動いて、フラットささえ感じさせるほど。そんな場面でさえ、快適性はしっかり保たれているのです。

OPEN COUNTRY R/T TRAILは新車装着タイヤと同じ275/70R18をチョイスした。

またサステナブルな素材の採用と、耐摩耗等へも配慮されているとのことで、「どこまでも走ろう!」という気持ちが、装着した後で増してきたなあという心理的な高揚感は増しましたし、そういうもののおかげで、少しでも遠くへ、少しでも長くこのクルマと旅がしたい。そんな気持ちにさせるタイヤだと思います。

今回このタイヤとともに組み合わせるホイールはOZ RacingのRally Desert TGR-WRT。タイヤとホイール径は、元々納車時に装着されていたものと同じサイズの275/70R18。色も標準装着ホイールもブラックなので同色ということになりますが、あまり変わりばえしないかもと思ったものの、いざ装着してみると、全体的にワイルドさを演出しつつ、タイヤによる存在感のボリュームアップに置き去りになることなく華やかさはアップしつつも、ある種の上品さはキープ。あまり粗野で雄々しさが前面に出過ぎておらず実にいいコンビネーションが実現した印象で、早速気に入ってしまいました。

ドライブ好きの筆者をロングドライブにいざなうランドクルーザー250。さて次はどこに出かけようか。そう思案する時間もまた楽しい。

せっかく買ったのに、しっかりと自分のものにできているかというと、納車されたままでは、味気ないというわけでもないのですが、今ひとつな物足りなさを感じていたランドクルーザー250。タイヤとホイールをお気に入りのものに替えるというのは、特にこのクルマでは有効だなあと実感しています。自分好みにキャラクターに仕立てて、しっかり使う、旅する。ホイールとタイヤを変えたところで、さて、次はどこに行こうかと色々と想いを巡らせる日々。できることならば、少しでも長く、このクルマと旅に出ることができれば、と思っているところです。

Text&Photo:中込健太郎