【中古のVWゴルフを買うなら】永遠の人気モデル「VWゴルフ」の第5世代から第8世代目までをチェック&レポート!
2025年6月5日

VWゴルフ5、6、7、8の中古車チェック。VWゴルフの最新の2世代は中古車市場で人気があるが、一部は非常に高価で欠点も少なくない。一方、ゴルフ5とゴルフ6も中古車として依然として魅力的だ。以下、4世代ゴルフのチェック結果をお届け。
「フォルクスワーゲン ゴルフ」は、半世紀以上にわたり製造され続けている世界でも最も成功した車のひとつだ。1974年の発売以来、8世代にわたり、合計3,500万台以上が販売された。しかし、すべての世代が顧客から同じ人気を博したわけではない。特に2003年から販売された5代目モデルは、丸みを帯びたモダンなデザインがゴルフの購入者に受け入れられず、苦戦を強いられた。
約6年間の生産期間と低迷する販売台数を背景に、大幅な改良が不可欠となり、「ゴルフ6」が華々しく登場した。「ゴルフ6」は「ゴルフ5」と同じプラットフォームをベースにしているため、現在でも「ゴルフ5のフェイスリフト版」と呼ばれることがあるが、より特徴的な形状と数多くの改良が、「ゴルフ」の人気を回復させた。
2012年から生産開始された「ゴルフ7」は、モジュラー横置きプラットフォーム(MQB)を採用し、より大きく、広々としたインテリアながらも軽量な構造を実現。その汎用性から、現在もほとんどのVWモデルに採用されている。8代目も前世代のプラットフォームを改良したバージョン(MQB evo)を採用しているため、「ゴルフ6」同様、完全な新開発ではない。サイズはほとんど変更されていないものの、コクピットのデジタル化が大幅に進んだため、「ゴルフ8」は大きく変化し、大規模なフェイスリフトではなく、新しいモデルのように見える。
ゴルフ8:ソフトウェアは一部未完成だが、それ以外は最高レベル
・生産期間:2020年~
・出力:90~333馬力
・推奨エンジン:1.5 TSI 131馬力
・テスト燃費:19.6km/ℓ
・価格:15,000 ユーロ(約247万円)~
外見は昔なじみのデザインで、ヘッドライトとテールライトに若干の改良が加えられているが、内装はまったく別物となっている。「ゴルフ」は、何世代にもわたって、その操作に慣れている人々を魅了してきた。そのため、フォルクスワーゲンはこれまで、あらゆる変更に慎重な姿勢を示してきた。しかし、今回、「ゴルフ」のオーナーたちは、完全に新設計されたコックピットという構造上の変更に直面することになった。彼らは、2つのディスプレイと大幅に減らされたボタンを備えた完全デジタルコクピットに慣れるだけでなく、数多くの不具合にも直面した。ソフトウェアは最初からスムーズに動作せず、ディスプレイ周囲の安っぽいプラスチックや照明のないエアコンスライダーなど、ハードウェアも未熟な印象だった。

Photo: Christoph Börries / AUTO BILD
装備の豊富さ、走行性能、スペース、快適性において、「ゴルフ8」は依然としてその名にふさわしいクラスでトップクラスの位置を維持している。技術面では、新しいマイルドハイブリッドガソリンエンジン(1.0と1.5 eTSI)が採用されたが、DSGとの強制的な組み合わせのため、中古車としても高価なモデルとなっている(約17,000ユーロ=約280万円から)。最大200馬力のディーゼルエンジン(Alltrack、GTD)に加え、電気走行距離最大100kmのプラグインハイブリッドモデルも複数用意されている。さらに、「GTI」の装飾を省いたパワフルな2.0 TSIエンジンを搭載した190馬力バージョンもラインナップされている。オプションの「4MOTION」四輪駆動システムを搭載すると、このコンパクトカーは1.7トンという驚異的な牽引力を実現する(ステーションワゴンも用意されている)。Alltrackは2トンもの牽引力がある。楽しさを追求するモデルとしては、「GTI」、「GTIクラブスポーツ」、「ゴルフR」、「Rパフォーマンス(245~333馬力)」がある。「E-Golf」だけが「ID.3」に置き換えられた。
弱点:操作性は、2024年のモデルチェンジで「MIB4(モジュラーインフォテインメントビルディングキット4)」が採用されてから、ようやくある程度洗練されてきた。このシステムは、メルセデスやBMWのシステムにも匹敵する、大幅に改善された音声アシスタント機能を備えているだけでなく、スムーズに動作するソフトウェアと、より大きく、高解像度の、繊細な金属の縁取りが施された中央ディスプレイも備わっている。エアコンスライダーもようやく照明付きになった。これにより、モデルチェンジ前のモデルは魅力が薄れてしまったが、モデルチェンジ後のモデルは中古で21,000ユーロ(約340万円)以下ではほとんど見つけることができない。モデルチェンジ前のMIB 3ソフトウェアはVWによって改良され、インストールされているバージョンは(メニュー、セットアップ、システム情報)で確認でき、まだインストールされていない場合は、VWから無料でインストールできる。2022年以降のモデルには、より反応の良いチップとグラフィックカードが搭載されている。
「ゴルフ8」は、TÜV(Technischer Überwachungs-Verein=技術検査協会)の検査で意外な弱点を露呈した。フットブレーキの機能不全が、検査官から著しく頻繁に指摘されたのだった。
ゴルフ7:リスクは低いものの、中古価格は高め
・製造期間:2012年~2021年
・出力:85~310馬力
・推奨エンジン:1.5 TSI 130馬力
・テスト燃費:16.9km/ℓ
・価格:4,000ユーロ(約66万円)~
新しい奇跡のモジュール式プラットフォーム「MQB」は、最初の「ゴルフ7」が発売される前から話題になっていた。この新しいプラットフォームは、より広いスペースを確保するだけでなく、軽量化と効率の向上も実現していたからだ。全長4.30m未満という寸法は、比較的控えめだ。しかし、比較テストでは、他のコンパクトカーがこのようなスマートな空間利用を実現しているものはほとんどないため、競合他車はほとんど後塵を拝した。
さらに、7世代目はより静かで快適になった。特に、マルチリンク式リアサスペンション(122馬力以上の出力)を搭載したモデルでは、オプションのDCCサスペンションを装備しなくても、非常に安定した走行性能と優れたサスペンションの快適性を発揮する。インフォテインメントシステムは、最良で最も高速なシステムではなかったが、特に後継モデルの「ゴルフ8」と比較すると、操作が簡単で比較的安定していた。年月を経て、天然ガス、ハイブリッド、電気駆動を含む多くのエンジンバリエーションが発売された。

Photo: Tobias Kempe
弱点:粗いDSGは長らく課題だったが、フェイスリフト(2016年末)以降、トランスミッションの動作が滑らかになった。
ゴルフ6:明らかに人気が高く、成熟したモデル
・製造期間:2008年~2012年
・出力:80~270馬力
・推奨エンジン:1.4 TSI、122馬力
・テスト燃費:14.7km/ℓ
・価格:5,500ユーロ(約90万円)~
「ゴルフ6」は、大規模な改良が施されたため、非常に快適になった。VWはサスペンションを最適化し、ゴルフに初めて調整式ダンパーをオプションで採用した。断熱性能も向上し、前輪のフェンダーなどに追加された断熱フォームや効果的なドアシールにより、車内はより静かで快適になり、コンパクトなゴルフは長距離ドライブにも最適なパートナーとなった。また、最初からより使いやすく設計された人間工学に基づいたインテリアも特徴で、ダッシュボード、ステアリングホイール、多くのスイッチ、そしてシートも一新され、「ゴルフ5」の面影はほとんど残っていない。

Photo: Roman Raetzke
弱点:残念ながら、ガソリンエンジンにはこの点は当てはまらない。「EA111」の不安定なタイミングチェーンは依然として問題となっている。それでも、1.4 TSIを推奨する。調和のとれた効率的なターボは、チェーンが持てば本当に快適だ。定期的なオイル交換で予防することができる。これが不安な場合は、1.6リッターエンジン(タイミングベルトと吸気マニホールド噴射システム搭載)を選択することをおすすめする。
厄介なことに、フェンダー内の発泡スチロールのウェッジが水を含み、フェンダーとの接点に錆が発生する可能性がある。同様の問題は、フロントとリアのホイールハウスとサイドシルとの接合部にも見られ、汚れが溜まりやすい。最も修理代が高額になる弱点は、1.8 TSI(160 馬力)とGTI(211 馬力)に搭載された「EA888」エンジンだ。オイルリングの不良が極端なオイル消費を引き起こす可能性がある。修理費用はすぐに3,000ユーロ(約50万円)に達する。
ゴルフ5:エレガントではないが、非常にモダン
・製造期間:2003年~2008年
・出力:75~250 馬力
・推奨エンジン:1.6リッター 102馬力
・テスト燃費:13.3km/ℓ
・価格:2,900ユーロ(約47万円)~
顧客は、丸みを帯びたやや太めのデザインが特徴の「ゴルフ5」に慣れるのに苦労した。そのため、販売台数は期待を下回った。しかし、技術的には「5シリーズ」は評価に値するモデルだった。例えば、従来の複合リンク式リアサスペンションに代わって、複雑な4リンク式リアサスペンションが採用され、走行性能とサスペンションの快適性が新たなレベルに高まった。そして、「ゴルフ5」が堅実な車であることは、インテリアの高い仕上げ品質だけでなく、我々の耐久テストでも証明された。このテストでは、通常の2倍の距離を走行しても、目立った欠点は見られなかった。

Photo: Werk
弱点:残念ながら、2005年末から一部ターボやコンプレッサーを搭載して登場した新しい「TSI」エンジンにはこの特徴は当てはまらなかった。これらのエンジンは、豊かなトルク特性で注目を集めたが、その後、特に頻繁に発生したタイミングチェーンの故障により、燃費効率とパワーを両立したダウンサイジングエンジンの良好なイメージに深刻な打撃を与えた。
この問題は現在も継続しており、さらに錆の問題も加わっている。すでに一部の「ゴルフ5」のフェンダーが錆で腐食している。ディーゼルエンジンでは、燃費効率とパワーに優れた2.0 TDIは、やや粗い走行特性(ポンプノズル噴射システム)に加え、オイル消費量が増加している点でも目立っている。
Text: Stefan Novitski
歴代のVWゴルフに関して
歴代のフォルクスワーゲンゴルフで一番がっかりしたのはゴルフ3で、近所のヤナセで乗った瞬間、あまりのゴルフ2との違いに愕然としたことを覚えている。今でも名車としての評価が高く、中古車市場でも高値安定のゴルフ2と比べると、ほぼゴルフ3は街でも中古車市場でも見かけることがなく、たぶん・・・みんなに愛想をつかされて土に還ったのではないかと考えられる。
ゴルフ3の何がそんなにいけなかったのかというと、豪華で洗練された内外装を持ってはいるものの肥大化した(とはいっても5ナンバーサイズではあったのだが)ように見えるデザイン、まるで日本車のような甘い感じのオートマチックトランスミッションや、妙に柔らかい乗り味を持っていたからで、多くの人がフォルクスワーゲンゴルフに求めるものとは、違っていたのではないか、と思う。ゴルフ2の糊が効きすぎてしまったかのようなパリッとした乗り味や、質実剛健さみたいなものがすっかりなくなったゴルフはやはり受け入れがたいものがあったのだろう。

Photo: AUTO BILD
そりゃあ1974年の登場から50年以上も経過すれば、自動車だって時代に合わせて紆余曲折して変化していくものだから性格が変化したり、開発したモノに当たりはずれも出たりしても、やむを得ないものではあるが、多くの人がゴルフに期待しているのは誰もが安心して購入することが出来る、間違いのないメートル原器のような自動車だし、フォルクスワーゲンにとってはとにかくゴルフこそが核だからこそ、その出来具合に間違いが許されない部分がある。そんなに期待されちゃゴルフ本人だって大変だが、とにかく世界中に認知されている無印良品のような自動車が本来のゴルフなのではないだろうか。

Photo: AUTO BILD
1997年に登場したゴルフ4は一言でいえば高品質を主眼に置いた、とにかく立派で見た目にもビシッとした自動車だった。亜鉛メッキ鋼板とか、レーザー溶接といった言葉を自動車雑誌から覚えたのはこの車の記事からだったと思うが、とにかくボディのチリの合い方や、インテリアの上質感は半端ではなく、この分野では定評のある日本車を置き去りにして、抜いたと評されたものである。

Photo: VW Group
そんな高品質のゴルフ4が生まれた背景には、当時全盛期であった、フェルディナンド ピエヒがいたからで、フェートンや円形の高層ガレージなどなど、とにかくイケイケで高品質こそが当時のフォルクスワーゲンの雰囲気であったと思う。
だがそんなフォルクスワーゲン4なのに多くのジャーナリストはこぞって、「こんなパッケージングや低い着座位置で堕落した車は、いくら高品質でもゴルフじゃない」みたいな文句の記事を書き、酷評されることも多かった。実は個人的にゴルフ4のGTI(にコックスが手を入れたモノ)の10万km以上走った中古車を購入し、乗っていたことがあるのだが、高速でビシッと走る感覚や、広いルームスペースと荷室など、そんなにコテンパンに酷評されるほど悪くはないと思うが、とにかく多くのモータージャーナリストにとっては豪華装備も、ベージュで統一された内装も、低い着座位置もゴルフとしては許しがたかったのだろうか。
そんな反省を込めてか否か、2003年に登場したゴルフ5はかなり走りに振った方向に進路を変えた。特にその走行性能に大きく貢献したひとつは、DSGと呼ばれるツインクラッチを使用したトランスミッションで、これがとにかくシュンシュン、スパンスパンと巧みに瞬速で変速している感覚は新しい時代の到来を感じさせたし、ダウンサイジングという概念はこのゴルフ5から始まったと言って良い。これ以降、今に至るまで、DSGはフォルクスワーゲンの主流のトランスミッションになり、内外装も豪華さが目立ったゴルフ4と比べると昔の質実剛健な感じを残しながらも、高品質でスポーティという方向に変更されたと感じられた。
またゴルフ5にはプラスと呼ばれたちょっとミニバン風味の車高の高いモデルも用意され、実はこれこそがゴルフの本流という人もいたほどのスペースユーティリティを持ってはいたのだが、格好悪さがいけなかったのか消え去ってしまった。残念である(まあ別の名前でミニバンとして登場するのだが・・・)。
2008年に登場したゴルフ6はワルターデシルヴァのデザインを持ち、さらに高品質化やアダプティブクルーズコントロールといった先進装備を持っていたことが話題にはなったものの、ゴルフ5の大幅進化版、つまりビックマイナーチェンジのような内容なので、意外と個人的に印象に残っていない。TSIと名付けられたダウンサイジングターボエンジンとDSGの組み合わせはゴルフを軽やかに走らせたが、目かくしして乗ったならば自分が乗せられているのは5なのか6なのかおそらくわからないと思うし、街で見かけても、イタリアの大デザイナー、ワルター デ シルヴァには申し訳ないが、いったい今のが、5だったのか6だったのか、瞬間的に見分ける自信はない。
そんなゴルフ6のトピックの中で明るいニュース(?)はカブリオレが復活したことで、その頃のフォルクスワーゲンにはイオスというオープンモデルもあったのに、わざわざ幌のゴルフを出すあたり、社内には楽しい自動車を作ろうという雰囲気が漂っていたのかもしれない。今のフォルクスワーゲンに欠けているオープンモデルが、ゴルフ、イオス、ビートルと揃っていたのが懐かしい。
さて2012年に登場したゴルフ7は、個人的に完成してしまったゴルフなのではないかと思う。その高品質なことはもとより、乗ってみてこれほど感銘を受けたゴルフは他にないし、これこそが車のメートル原器になるべき一台だと思った。
なにがそんなに良かったのかというと、滑らかで静かでありながら、ちゃんと自動車を運転する楽しさやゴルフに求められている安心感などが高いレベルで全部そろっていたからで、ゴルフという枠を超えて内燃機関の自動車としても、一つの完成形なのではないか、と感じられた。いったいこれ以上、どうやったら良くなるのか聞かれても答える自信はなかったし、2025年の現在、中古車で実用車を買うのであれば迷うことなくゴルフ7の中古車を買うべきであると断言できる。
そんなゴルフ7の発展型(ビックマイナーチェンジと言って良い)であった、ゴルフ8であったのに、2019年に登場した当時はボロクソの批評が飛び交った。ディーゼルゲートの問題が全社的に影響したのか、ドイツで登場してから、長い間、日本の市場に導入されなかったことが不信感と不快感を与えたのだろうか、とにかく「これならゴルフ7の方がずっとよかった」という意見も多く、その大半はとにかく扱いにくい方向に退化したタッチスイッチが多用されたコントロールパネルの扱いにくさと、煮ツメ不足による完成度の低さであった。自動車としての全体的な完成度はもとより、使いにくい操作系を持つ自動車(特にゴルフ)はやっぱり許されない、のである。
そして、ゴルフ7があまりに良すぎたため、若干でもその良さが低下すると、多くの人は失望するということが如実に分かった。それほどまでにゴルフというのは期待を背負った自動車ということもできるが、とにかく良くなったり悪くなったり、感動したりがっかりしたりの繰り返しがゴルフの歴史である。
そんな悪評か、プンプンのゴルフ8ではあるが、「これじゃあイカン」と大きく反省した開発陣によって、ゴルフ8.5に進化し、大幅に良くなったというインプレッション記事は先日書いたのでお読みください(笑)
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とにかく大幅なマイナーチェンジを経て7と並んだ(超えたとは言わない)8.5であるが、そろそろ開発も佳境になっているはずの9はいったいどうなのだろう。そもそもゴルフ9が出るのか、という疑問を持つ人もいるが、フォルクスワーゲンのラインナップからゴルフが消えるような事態は想像できないし、フォルクスワーゲンとしても今まで続いてきた「ゴルフ」の価値は「ビートル」と同じくらい重要に感じているはずである。フォルクスワーゲンの基幹車種であり、誰もが知っているアイコンのゴルフ。今後はメキシコで生産されるというニュースも届いてはいるが(トランプ関税のせいでアメリカでの生産もありうる?)、どこで生産されようがいつまでも生き残って欲しいネーミングの自動車である。
(大林晃平)