え? 532.93km/hの世界最速記録ってフェイクだったの? SNS上で大論争とSSCの対応
2020年11月12日
SSCトゥアターラ(2020): 世界最高速度新記録樹立の真実やいかに
先日リポートしたSSCが樹立したとされる「532.93km/h」という世界最高速度はフェイクだったのか? SSCトゥアターラは、世界最速の市販車なのか? それともそうではないのか? 世界記録が大々的に報じられる一方で、記録にはいくつかの矛盾が生じている。
おまけ: SSC創業者のジェロッド シェルビーからのビデオ声明!
時速532,93km!
この数字で、アメリカのメーカー、SSCノースアメリカは、数週間前にセンセーションを巻き起こした。
1774馬力のハイパースポーツカー、SSCトゥアターラが、ネバダ砂漠の公道で市販車の世界速度記録を更新したというものだ。
平均速度508.73km/hを記録し、SSCはギネスブックでの登録に向けてエントリーまでした。
しかし、今、トゥアターラが実際に時速532.93km/hを出していたのかどうかを巡って、SNS上で話題となり、疑念が高まっている。
我々は、「トップギア」が公開した「トップスピードラン」の動画にいくつかの矛盾を発見した、イギリスのユーチューバー、「Shmee150」のアップした動画を改めて見直してみた。
シャーロック ホームズ顔負けのやり方で、「Shmee150」は距離を分析し、速度を計算し、SSCトゥアターラのオンボードショットと同じコースでの過去の記録保持者であるケーニグセグ アゲーラRSのショットを比較し、ギアボックスのギア比とその結果としてのトップスピードまで計算した。
また、トゥアターラのデジタルスピードメーターはピクセル化されており、表示されるテレメトリデータに頼らなければならないことも指摘している。
そしてこれらの結果、「Shmee150」は、何かが間違っている、という結論にいたったのだった!
「Shmee150」のアップした動画は、わずか数日で100万回近くの再生回数を記録し、自動車コミュニティ内でも数え切れないほどシェアされ、大きな話題を呼んでいる。
一方、同じイギリス人で「Shmee150」の友人でもある、ネバダ砂漠の公道で実際にSSCトゥアターラの記録挑戦時にドライブしたオリバー ウェッブも、インスタグラムで、彼の意見は一理あるとコメントしており、その間にSSCもコメントして間違いを認めた。
実際、SSCトゥアターラはどのくらい速かったのだろうか?
「Shmee150」は、彼自身の計算と、トゥアターラがケーニグセグ アゲーラRSよりも同じ距離をカバーするのに時間がかかったという事実に基づいて、トゥアターラが、実際には、「わずか」時速約280マイル(約450km/h)の速さだったのではないかと疑っている。
同時に「Shmee150」は、SSCが間違いなく非常に高速なクルマであると信じているが、単なるビデオの編集ミスである可能性ではないか、ということを何度も強調している。
間違った画像が実際の走行に対応していないテレメトリデータとともに使われた可能性があると。
ここから事態は急展開を始める。
SSCは最初のプレスリリースで、計測システムメーカーであるデュエトロン(Dewetron)社が532.93km/hの記録走行を正式に確認したと発表した。
しかし、同日、デュエトロン社は、ネバダ州の現場に公式の従業員がいなかったため、記録の確認も反証もできないというコメントを公開したのだった。
その2日後、SSCは「良いニュースと悪いニュースがある」と述べながら、「発表した数字自体は正しいが、テレメトリデータとビデオ画像の組み合わせに根本的なエラーがある」というリリースを流した。
これで再び事実がわからなくなってしまった。
実証のため、SSCは記録の試みを再度おこなうことを発表
SSCは、極力冷静に事に対応しようと心掛ける。
プレッシャーが高まるにつれ、SSCの創設者であるジェロッド シェルビーは、感情を極力抑えたビデオメッセージをアップロードし、矛盾を認めつつも、生の映像を観た上で、すべてを非常に真剣に受け止めていると説明した。
SSCトゥアターラの速さを実証するため、SSCはできるだけ早く準備を整え、再度記録走行をおこないたいとしている。
今回は、数台のGPS測定器とその責任者が現場にいる予定だ。
ジェロッド シェルビーは、「これは我々の現在の顧客や将来の顧客のために、そして自分たちの名誉と誇りためにも、必ず証明して見せる」と、ビデオメッセージの最後に強く誓っている。
そして、彼は、「Shmee150」を特別ゲストとして、次の記録挑戦時の現場に正式に招待した。
次回のレポートをお楽しみに!
SSC創業者ジェロッド シェルビーからの再挑戦に関するYouTube動画メッセージ
Text: Jan Götze