【この959なんぼ?】ポルシェ製初のスーパーカー ポルシェ959発売中!走行距離1万1千km しかしこの959は麻薬王が所有していた・・・
2025年5月21日

ポルシェ959:この希少なポルシェ959の初代オーナーは、悪名高い麻薬密売人だった。その959が走行距離わずか11,000kmで販売中!
ビル ゲイツも持っていた、ジェリー サインフェルドも持っていた、ボリス ベッカーも持っていた — その車は「ポルシェ959」、ツッフェンハウゼン製の最初のスーパーカーであり、「カレラGT」の前身だ。1987年から1988年の間にわずか292台が製造されたとされ、そのうちの1台は著名な麻薬王の手に渡った!
1988年にこのシルバーの「ポルシェ959」は420,330ドイツマルク(約1億2960万円)で売却された。同年5月26日、450馬力の「ポルシェ959」は、フランスのディーラー兼輸入業者である「ソナウトSA」を通じて、後に大規模な麻薬取引で有罪判決を受けたクロード デュボックに納車された。1994年、デュボックは香港でメディアの注目を浴びながら逮捕され、米国に身柄を引き渡され、終身刑を宣告された。
現在ドイツに戻っている「ポルシェ959」の歴史は、完全に証明できるとのことだ。少なくとも、このポルシェを現在販売している、ザウルハイムにあるスポーツカーディーラー「Speedfarm Plus GmbH」はそう話している。しかし、この車の歴史と状態を詳しく見る前に、かつて世界最速の量産車だったポルシェ959の誕生の歴史を見てみよう。

「ポルシェ959」の仕様書を見ると、可変式四輪駆動やレジスターチャージングなど、数多くの技術的特徴を備えたこのスーパースポーツカーが、純粋な走行マシンであることがうかがえる。450馬力、500Nmのトルク、0から100km/hまで3.7秒の加速、最高速度317km/hを誇る「959」は、1980年代末にはほぼ無敵の存在だった。
レーシングカーではない
ポルシェの技術責任者ヘルムート ボットは、1983年にエンジニアたちに開発を命じた際、レーシングカーは想定していなかった。むしろ、「959」は極めて高性能でありながら、運転免許を取得したばかりの初心者(その一人にボリス ベッカーがいた)でも操縦できる車であるべきだと考えていた。
これは簡単な課題ではなかったが、ポルシェは見事に成し遂げた。実際に「959」を運転した人々は、四輪駆動のおかげでこのスーパーカーがほぼ子供でも操縦できるほど簡単だと報告している。2基目のターボが作動すると、「959」の空間と時間の連続性が変化する。ポルシェは「レジスターチャージング」と呼ばれる技術で、ターボラグの問題を解決した。

そのため、292台生産されたうち、大多数が「959」の「コンフォートバージョン」に割り当てられたのも不思議ではない。公式資料によれば、内部で「959 S」と名付けられたスポーツバージョンを選択したのはわずか29名で、このモデルはより高い過給圧により、2.8リッター6気筒ボクサーエンジンから515馬力を引き出し、驚異的な最高速度339km/hを達成したと言われている。
当時も現在も、すべての「959」はコレクターズアイテムであり、近年その価値は飛躍的に上昇している。約10年前には100万ユーロ(約1億6,500万円)程度で取引されていたポルシェ「959」だが、現在ではその価格は2倍以上に跳ね上がっている。
30年間で走行距離2,000km未満
ここで紹介するシルバーの「959」も同様で、かつてクロード デュボックに納車され、最初の数年間は納車したディーラーで定期的にメンテナンスを受けていた。
しかし、デュボックの逮捕後も、履歴は完全に確認可能とのことだ。「959」は最後にイギリスとイタリアで登録されていたとされ、デュボック以降の所有者は、この希少なポルシェを真剣に運転した人はいなかったようだ。実際、1993年から2025年までの間に、この「959」は2,000kmも走行していない。純粋に「コレクターズアイテム」として、大切に所有されてきたようだ。

この車は2020年6月から2021年12月にかけて大規模なオーバーホールを受けた。具体的には、6気筒ボクサーエンジンがオーバーホールされ、サスペンションとブレーキが改修され、新しいフェンダーが取り付けられ、一部のボディパネルが再塗装され、その後、石はね防止フィルムが装着された。さらに、複数の内装部品も交換された。この大規模な作業は2022年に正式に完了したとのことだ。その後、「959」はドイツに戻り、2025年2月にYouTubeチャンネルで公開された。
このポルシェ959の価格
現在、この波乱万丈な歴史を持つコレクターズアイテムは、「Speedfarm Plus GmbH」で、2,390,000ユーロ(約3億9,435万円)で出品されている。この車を購入するには、一定の経済的余裕が必要だ。ちなみに、最初のオーナーであった、クロード デュボックは、26年間の服役を経て2020年に釈放された。



Text: Jan Götze
Photo: Speedfarm Plus GmbH