【動画付き】ドリフトモードと270km/h 新型VWゴルフR ついに登場
2020年11月9日
VWゴルフ8 R(2020): 発表、価格、バリアント、アクラポビッチ 全情報
新型VWゴルフRにはドリフトモードが用意され、さらに最高速度は270km/hとなる。新型ゴルフRで、スポーティなゴルフのプログラムはすべて完了した。特別なドライビングプロフィールのおかげで、320馬力の最強ゴルフは、ドリフト走行も可能になった。新着情報のすべてをお届けする。
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ゴルフ8が、いよいよRをリリースする。
よく知られているレシピ(4気筒+全輪駆動)の背後には、ダイナミックなファインチューニングがあり、大幅にパワーアップしたトップモデルゴルフの運転の楽しさを増大させるのに役立っている。
そのことを証明する最大の要素こそ、「ドリフトモード」と、ブーストを最大にまでアップさせる機能を備えた新しい「Rパフォーマンスパッケージ」だ。
320馬力の「ゴルフ8 R」は、すでに2020年11月5日から注文が可能で、納車開始は2020年11月末を予定している(欧州市場)。
現時点で価格は明らかになっていないが、我々はエントリーレベルの価格を5万ユーロ(約625万円)弱と見積もっている。
ゴルフの市販モデル初の最高速度270km/h
推進力源は、「Evo4」構成の「EA888」と呼ばれる2リッターターボシリンダーだ。
新機能の一つとして、完全電動クーラント制御システムが採用されている。
兄弟車のVWアルテオンR同様、ユニットは320馬力の最高出力と420Nmの最大トルクを発揮する。
構成にもよるが、前モデルよりも10~20馬力と20Nmのアップ、これまた兄弟高性能モデルのアウディS3よりも10馬力以上のアップとなる。
全輪駆動車は、DSGを介してパワーを4輪に配し、0から100km/hまで、4.7秒でスプリントダッシュする。
オプションでRパフォーマンス(R-Performance)パッケージも用意されている。
これにより、最高速度は250km/hから270km/hに引き上げられ、新型Rは市販車では史上最速のゴルフとなった。
このタイトルは、これまで265km/hの速さを誇るゴルフ7 GTIクラブスポーツが保持していたものだ。
Rパフォーマンスパッケージには、大型化されたリアスポイラー、19インチホイール、2種類の追加ドライビングモード、「スペシャル」と「ドリフト」が含まれている。
「ドリフトモード」には、標準の7速DSGに純正マニュアルモード、つまりリミッターで勝手にシフトアップしないモードが用意されている。
北米では、ゴルフ8 Rに6速MTが標準装備される。
マニュアルのオプションは、当分の間、ヨーロッパのためには計画されていない。
最大333馬力の噂もあった。
もしかしたらVWは、GTIの時のGTIクラブスポーツのように、もっと過激なRバリアントを追加することを考えているのかもしれない。
その可能性は高いと言える。
ドリフトモードを搭載した初のゴルフR
8代目ゴルフRでも、パワーは前後左右の4輪すべてに分配される。
新しいリアアクスルドライブのおかげで、4MOTION(フルタイム全輪駆動)は、フロントアクスルとリアアクスルの間だけでなく、リアホイール間でもトルクを配分することができ、1つのホイールに対して最大100パーセントの割合でトルクを配分することができるようになっている。
リミテッドスリップデフと標準のDCCアダプティブシャシーに加えて、全輪駆動はゴルフRに統合されたドライビングダイナミクスマネージャー(Driving Dynamics Manager)の一部にもなっている。
これは、アンダーステアを消し去り、最適なトラクション、より優れたコーナリング時の敏捷性とドライビング精度を保証することを目的としている。
もちろん、我々はこれがどのように機能するかを後日テストする。
しかし、このシステムがすでに前輪駆動のGTIクラブスポーツでも見事に機能していることは、先日アップされた試乗記でも明らかだ。
そしてGTIと比較して、Rには3つのドライビングモードが追加されている。
「レース」は、エキゾーストサウンドをシャープにし、すべてのシステムをアタックに設定する。
「スペシャル」設定は、起伏のあるニュルブルクリンク用に設計されており、GTIクラブスポーツからすでにお馴染みだ。
ちなみにVWは、新型Rがテストの段階で、「緑の地獄=ニュルブルクリンク北コース」において、先代モデルのRよりも17秒という大幅なタイムアップを達成s他としている。
そして、完全に新しいのは、3つ目の「ドリフトモード」だ。
フォード フォーカスRSやメルセデスAMG A 45 Sと同様に、全輪駆動がパワーを分配して、カーブでドリフティングができるようになっている。
オプションのセミスリックタイヤでフルラテラルダイナミクスを実現
新型ゴルフRはDCCアクティブダンパーコントロールシステムを標準装備し、標準モデルのゴルフに比べて20mmのローダウン化を実現している。
スプリングレートとスタビライザーレートをそれぞれ10%アップし、前輪のネガティブキャンバーを拡大している。
さらに剛性の高いアルミサブフレームにより、フロントアクスルを3kg軽量化した。
フロントに357mmディスクを搭載したブレーキも左右それぞれに600g軽くなっている。
レーストラックで最後の10分の1を出したい人のために、VWはゴルフRのために19インチのセミスリックタイヤをオプションで提供している。
アクラポビッチ製チタンエキゾーストシステム
ゴルフRのフロントには、クラブスポーツのようなエプロンと水平スラットを兼ね備えた独自のグリルが採用されている。
LEDヘッドライトは、ブルーの装飾ストライプとRロゴをあしらったライトバンドでつながっている。
サイドでは、新しいサイドシルとR専用ホイールが目立つ。
ベースモデルのホイールは18インチで、オプションで19インチも用意されている。
リアエンドは、中央のRロゴ、ブラックのディフューザー、フラップエキゾーストの4本のテールパイプで装飾されている。
追加料金で、従来通り、アクラポビッチ製のチタン製フラップエキゾーストも用意されている。
アクラポビッチ製チタンエキゾーストシステムを装着すれば、ゴルフRは7キロ軽くなると同時に、財布のほうもおそらく4,000ユーロ(約50万円)近く軽くなる。
また、「Rパフォーマンスパッケージ」を選択した場合には、VWはトランクリッドに大型のリアスポイラーをねじ込む。
より控えめなRの記章には、光沢のあるブラックのアクセントとシルバーのエクステリアミラーキャップが含まれている。
サイズアップしたシフトパドル
車内には大きな驚きはない。
運転席と助手席にはおなじみのインテグラルスポーツシートを採用し、Rの場合はブラックとブルーの布張りだ。
カーボン調のトリムパーツ、いくつかのRロゴ、ブラックのヘッドライナー、ステンレススチール製のペダルなどがスポーティテイストを演出している。
同じ方向性を持つもう一つのアクセントは、より大きなシフトパドルを備えた、新しいステアリングホイールだ。
さらに、各種モードを設定するためのボタンがセンターコンソールからステアリングホイールに移動している。
ステアリングの後ろには、独自のRグラフィックと2つのビューが追加された「デジタルコックピットプロ(Digital Cockpit Pro)」があり、レヴカウンター(タコメーター)が中央に配置された。
「Rビュー(R-View)」には、水平スピードバー、数値表示、シフトライトが付属している。
また、デジタルコックピットにはラップタイマーや、ブースト圧、トランスミッション温度、Gフォースから現在のパワー需要や全輪駆動のトルク配分まで、あらゆる車両データが表示されるようにできている。
価格は約50,000ユーロ(約625万円)から
VWによれば、第5世代となるゴルフRの先行販売はすでに2020年11月5日から開始され、最初の車両は2020年11月末までに納車される予定だという。
ゴルフRは当面、5ドアコンパクトモデルのみの設定となる。
しかし、あらゆる確率で再びバリアントが用意される可能性は高い。
VWは価格についてはまだ沈黙している。
我々は、新型『ゴルフR』の価格は少なくとも5万ユーロ(約625万円)弱になるだろうと想定している。
多くの中古ゴルフ7 Rはすでに約20,000ユーロ(約250万円)から購入&利用可能だ。
先代の中古ゴルフRに興味があるなら、豊富な品揃えがある。
現在でも比較的高い需要を誇るゴルフ7 Rのよく整備された中古車の個体は、中古車市場で約20,000ユーロ(約250万円)から出回っている。
フェイスリフトモデルは、それより5,000ユーロ(約62万円)ほど高く、ゴルフRステーションワゴンの中古モデルの場合には、約23,000ユーロ(約287万円)以上を投資する必要がある。
いよいよ一番高性能なフォルクスワーゲン ゴルフRが登場し、とりあえずはこれでゴルフⅧのラインナップは完成したことになる。
まだこれからもゴルフRのさらにハイパフォーマンスモデルが追加されたりする可能性も残ってはいるが、しばらくはラインナップの最高峰としてはこのRが連隊旗となるのだろう。
320馬力もあって、4輪駆動シンクロなわけだから、安定していて、快適で、そしていうまでもなく速くパワフルな文句のない一台であろう。価格さえ目をつぶれば、これ一台でどんな役でもこなせるオールマイティーなクルマであるともいえる。
だからこそ?というべきか、またくどいと言われるかもしれないが、本国では最高峰のゴルフRまで発表され発売されているというのに、日本ではゴルフⅧはいまだにひとつも発表されず、ゴルフⅦの在庫処理を粛々と行っているというのはいかがなものなのだろうか。
世界中でもフォルクスワーゲン ゴルフの魅力を良く理解している日本なのに、置いてきぼりをくっているようでなんだか寂しい。
Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: Volkswagen AG