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【動画付き】クラブスポーツこそ本物のGTIだ! 新型VWゴルフ8 GTIクラブスポーツに初試乗

2020年11月7日

VWゴルフ8 GTIクラブスポーツ(2020)ドライビングレポート その評価は?

クラブスポーツとしてのみゴルフは本物のGTIになる! スムーズな300馬力とシャープなルックス。ベーシックなGTIのデビューから間もなく、VWはかなり薬味を効かせたクラブスポーツバージョンを発表した。我々はそんなゴルフの最新型ホットハッチに乗ってみた。

現行のゴルフGTIは基本的には何も非難されるようなものはない。
速く、そしてクリーンにドライブでき、そのパワーユニットは先代モデルよりも良い。
そうあるべきでようにすべてのものができている。
車のエモーショナルな部分だけが若干欠けていると言えば言えるが…。
サウンドは?
上々だ。
しかしルックス的には、少なくとも素人にとっては、前後に備わったレタリングによってしか、GTIとして明確に認識できないほどの変化でしかない。
しかし、このクルマを見てほしい。
あなたが本当にパフォーマンスGTIとディテールにこだわるなら、このGTIクラブスポーツがベーシックモデルのGTIに欠けているものを(ほぼ)すべて提供してくれるはずだ。
我々はデビュー間近のゴルフGTIクラブスポーツをファーストドライブすることに成功した。

0から100km/hまで5.6秒

最も明白な変化は、少なくとも紙の上では、245馬力から300馬力への性能の大きな飛躍だ。
370Nmの代わりに、今では400Nmの最大トルクが備わっている。
ホットハッチについて、くどくどと話すより、ドライバーズシートに身を沈め、ホイールを握って、カントリーロードへと飛び出そう。
我々は保証する: スタートダッシュ時のパンチ力は間違いなく顕著なものだ。
「EA888」4気筒エンジンが、2000回転からプッシュし始め、6000回転を超えてもなお貪欲に回転するパワフルさは、本当の喜びだ。
標準装備のDSG(デュアルクラッチトランスミッション)は、いつものように軽快にステップを繰り返す。
そして前輪がパワーをしっかりと路面にもたらす。
我々は加速タイムをまだ測定することは許可されていないが、VWの言う0-100km/h加速5.6秒というGTIクラブスポーツに乗ってみて、走ってみて、実感できる数字だ。
そしてついにサウンドもより良い音質のものとなっている。
エアインテークからのヒスリングノイズ、ターボのささやき、フラップエキゾーストからの唸り、ダウンシフトやスロットルダウン時の意図的にプログラムされたミスファイア、OPF(ガソリン直噴エンジン車の排気ガスから粒子状物質排出量を削減するためのフィルター)が装着されているにもかかわらず、すべてが揃っているからだ。
そしてそれは人工的だが、よくできている。

暗黙のディフューザー、太いエグゾーストパイプ、そして大きなカウンターが、GTIのリアの独立性をより高めている。

優れたチューニング

その性能もさることながら、新しいブレーキとサスペンションのチューニングは何よりも賞賛に値する。
クラブスポーツでワインディングカントリーロードが楽しめる大きな理由はそこにある。
冬用タイヤが装着されていた我々のテスト車でも十分楽しめた。
フロントアクスルにはパンチングディスクと大型キャリパーが採用され、左右それぞれに600gの軽量化が図られている。
フロントアクスルのネガティブキャンバーの増加と、1cmのローダウンにより、1461kgのゴルフは、横傾斜の少ない正確なカーブでのコーナリングが可能になった。
電子制御デフロックとオプションの調整式ダンパーに加えて、ドライビングダイナミクスマネージャーには、電気機械式フロントアクスル横(ラテラル)ロックも統合された。
これにより、VWはクラブスポーツからアンダーステアを事実上排除した。
ESPスポーツモードでは、リアエンドがある程度リフトアップすることさえある。
冬用タイヤを履いていても、コーナリング時には外側に押し出されることはなく、カーブを正確にクリアする。
ステアリングも、やや合成的だが、良いフィードバックを与えてくれる。
唯一の欠点はギアボックスで、マニュアルモードでもギアを保持する代わりにリミッターでシフトアップしてしまうことだ。
残念。

オプションの19インチのホイールの後ろには、フロントに460mmの穴の開いたディスクを備えたスポーツブレーキがある。

VWは、クラブスポーツ専用に、ニュルブルクリンクドライビングモードを開発した。
エンジンとトランスミッションをよりスポーティに、シャーシをややソフトに設定する。
VWによれば、クラブスポーツは、ノルトシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)で、GTIより13秒速いラップタイムを記録したとのこと。
だが、これらすべての楽しみにもかかわらず、GTIはクラブスポーツとしてもゴルフのままだ。
つまり、コンフォートモードであれば、快適に日常生活を送ることができるのだ。
排気システムも、オプションの19インチタイヤを使用した場合でも、許容レベルの快適性を提供する。

ついにGTIテールパイプがチューニングカーのような太さにになった! レポーターの手がすっぽりと入ってしまうほどだ。

エクステリアの変更部分では、VWはいくつかのマイナーチェンジを施したが、どれも正しいチューニングだ。
フォグランプを取り除いた、粗くメッシュ化されたグリルでリデザインされたフロントエプロンは、より貪欲に見える。
ラテラル(横方向)トリムストリップは、オリジナルGTIからの引用で、リアは大きなルーフエッジスポイラーと太いテールパイプが採用されている。
これが本来GTIのあるべき姿だ。
残念ながら、インテリアについては、同様のことは言えない。
シートカバーが新しくなった以外は何も変わっておらず、基本的なGTIのコックピットには、レーシーな感じはない。
シフトパドルを大きくしたり、あちこちに滑り止めのアルカンターラを貼ったりしても、スポーティなクラブスポーツらしさは損なわれなかっただろう。
さらに、車全体にクラブスポーツのロゴは1つも刻印されていない。

コックピットでは、VWはクラブスポーツにもう少し独立性を持たせても良かったのではないかと思う。

ベーシックGTIにリーズナブルな追加料金

全体的にクラブ スポーツはGTIをより楽しいクルマにすることに完全に成功していると言えよう。
さて、肝心の価格だが、16%の付加価値税を含めたクラブスポーツの費用は、40,224ユーロ(約502万円)からとなっている。
それは、ベースモデルのGTIに、2,617ユーロ(約32万円)の追加料金となる。
明らかに多くの成果を上げたホットハッチゴルフに対する、非常に公平な追加料金であると思う。
クラブスポーツはすぐにも注文することができる。
デリバリーはおそらく2020年の終わり頃から開始されるだろう。

クラブスポーツは、日常の適性に必要なものを備えた、本当の意味での楽しいGTIだ。マニュアルトランスミッションがあったらもっとよかったのだが…。

テクニカルデータ: VWゴルフ8 GTIクラブスポーツ
● エンジン: 4気筒、ターボ、フロント横置き ● 排気量: 1984cc ● 最高出力: 300PS@5300rpm ● 最大トルク: 400Nm@2000~5200rpm ● 駆動方式: 前輪駆動、7速DSG ● 全長×全幅×全高: 4295×1789×1465mm • 乾燥重量: 1461kg ● トランク容量: 374~1230リットル ● 最高速度: 250km/h ● 0-100km/h加速: 5.6秒 ● 燃費: 13.5km/ℓ ● CO2排出量: 167g/ℓ ● 価格: 40,225ユーロ(約502万円)より

しつこく言うようだが、まだ日本にやってきていないフォルクスワーゲン ゴルフⅧの、来ていない中でも高性能のGTIの、さらにハイスペックなクラブスポーツの試乗記である。
ただでさえバランスの取れた高性能で知られるVWゴルフGTIに、さらにちょっとしたスパイスを加えた一台が悪いはずもなく、きっと乗ってみれば実用性に優れたマルチラウンダーの、文句などつけようもないクルマなのだろう。
今回のレポートからもその雰囲気は伝わってくるが、MTがないということがどうにも残念とのことだ。個人的にはVWゴルフGTIの場合、必ずしもMTである必要があるかというと、DSGでも別にいいかなぁ、というのが正直なところではあるが、絶滅危惧種になりつつあるMTに今だからこそ乗っておこう、という気概を否定する気持ちはない。きっと乗ってみればどちらも同じように気持ちよく、そして速く走ることのできる高性能実用車なのだろう。

乗ってみれば……と、クドクド書いたのは言うまでもなく日本にはいつやってくるのだろう、という疑問と不満からなのだが、ヨーロッパがコロナ禍再燃の今、その部分をあまり責めるのもかわいそうかもしれない。
だがメルセデスベンツもBMWもアウディも、どんどんニューモデルを日本市場に導入している状況を見ると、「フォルクスワーゲンさん何してんの?」という気持ちが正直なところである。

Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: Christian Goes / AUTO BILD