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【このランチア テーマなんぼ?】世界にたった2台しかないザガート製ランチア テーマ ファミリアーレの1台がオークションに!その落札想定価格は?

2025年4月16日

ザガートによるランチア テーマ ファミリアーレ(Lancia Thema Familiale by Zagato):このランチア テーマは世界にたった2台しかない。シリーズ生産開始前に、ランチアはザガートにテーマ ステーションワゴンのデザインを依頼した。わずか2台が製造され、そのうちの1台がオークションにかけられた!

この国では、通常の「ランチア テーマ」でさえもエキゾチックな車だ。一方、ザガートによるこのステーションワゴンバージョンは、別の有名なデザインスタジオがシリーズ生産を委託される前に、わずか2台しか製造されなかったものだ。その2台のうちの1台は、元フィアットのボス、ジャンニ アニェッリが自家用車として使用していたが、その1台がオークションハウス、「RMサザビーズ」で、競売にかけられている。

80年代、ランチアは徐々に時代遅れになっていた「ランチア ベータ」を置き換え、アッパーミドルクラスのニューモデルを市場に投入したいと考えていた。開発費を賄うため、ランチアはサーブと提携して「サーブ9000CD」と兄弟車となる「テーマ(Thema)」を開発。市場の見通しが明るかったことから、その後アルファロメオが「164」をフィアットが「クロマ(Croma)」を開発した。

1984年、ランチアはドイツの競合他社を主なターゲットとした「テーマY9」を発表した。サルーンのモダンなデザインはイタルデザインのジウジアーロによるもので、全長4.59メートルのサルーンには幅広いエンジンが用意されていた。ターボチャージャー付きを含む各種4気筒ガソリンおよびディーゼルエンジンのほか、2.8リッターのV6エンジンも搭載された。

1986年からは、最高級モデルの「テーマ8.32」が、ランチアとフェラーリとのコラボレーションとして発表された。シンプルなセダンのボンネットの下には、フェラーリ「308 GTB」の8気筒エンジンが搭載され、215馬力(触媒コンバーターなし)を発生し、後に205馬力となった。

ステーションワゴンは、ピニンファリーナがデザインしたもので、セダンとほぼ同時期に市場に投入された。しかし、ステーションワゴンのシリーズ生産に至るまでの道のりは、かなり険しいものだった。というのも、ランチアは数年前にすでにエステートカーのアイデアを思いついていたからだ。そこでランチアは、ピニンファリーナとザガートにテーマのステーションワゴンのデザインを依頼した。

ほぼ市販車に近い仕上がりだが、ザガートが製作したテーマ ファミリアーレはわずか2台だった。

最終的に受注したのはピニンファリーナだったが、ザガートのステーションワゴンは「ファミリアーレ バイ ザガート(Familiare by Zagato)」と名付けられた。視覚的には、この2つのイタリアのカロッツェリア(デザイン工房)の作品は似ているものの、その違いは細部にある。例えば、ザガートはピラーを大幅に細くし、Dピラーを黒く仕上げ、ラゲッジルームをより広々とした印象に見せている。テールゲートも異なるデザインで、「Zagato Plus」の文字が刻まれている。

最初のオーナーはジャンニ アニェッリだった

ピニンファリーナに注文が回る前に、ザガートによる2台の「ランチア テーマ ファミリアーレ(Lancia Thema Familiale by Zagato)」が製作された。1台は4気筒ディーゼルエンジン、もう1台は150馬力の2.8リッターV6エンジンを搭載していた。この特別なモデルは、オートマチックトランスミッションとブルーの内装を備え、1985年に、「ランチア テーマ ステーションワゴン」が発表される前に、元フィアットの社長であったジャンニ アニェッリに渡った。アニェッリはこれを2年間、自家用車として使用した。

ジャンニ アニェッリ自身、運転席に座り2年間自家用車として使用したことがある。

走行距離計は92,329kmを示しているが、ザガート製ステーションワゴンを外から見ただけでは、それほど走っているようには見えない。オークションには、この珍しいランチアと、アニェッリ自身も所有していた「フィアット パンダ4×4」と「フィアット130ファミリアーレ」が出品された。

予想価格は?

ザガート製の「ランチア テーマ ファミリアーレ」の想定される落札価格は、8万~16万ユーロ(約1,320~2,640万円)だ。ピニンファリーナがデザインした「テーマ ステーションワゴン」は5,000ユーロ(約82万円)以下で購入でき、保存状態の良いコレクターズアイテムレベルでも20,000ユーロ(約330万円)以下で入手できることを考えると、この価格はかなり高額だ。一方、ザガートモデルと比較すると、シリーズモデルは大量生産品でもあり、これほど著名な前オーナーを誇る「ランチア テーマ」は存在しない。

結論:
普通の「ランチア テーマ」でも、今やコレクターズアイテムであるが、ザガートによる「テーマ ファミリアーレ」は、その希少性だけでなく、その有名な前オーナーの存在も非常に魅力的である。いくらで落札されるのか、とても興味深い。

Text: Jan Götze
Photo: rmsothebys.com