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改良されたマツダCX-60は良いデザインと広いスペースを持ち合わせ素材の選択も一貫して優れている

2025年4月30日

マツダCX-60は視覚的に良い印象を与え、前部と後部に十分なスペースがあり、素材の選択も一貫して優れている。フェイスリフトされたマツダCX-60のドライビングインプレッションと比較テストを含む全ての情報をお届け!

我々のお気に入り
・手頃な価格
・パワフルなエンジン
・モダンなインテリア
不満な点
・シャシーの微調整が必要
・アシスタントの誤警報が煩わしい
・レッグレストが短い

マツダが言うところの「ラージ商品群技術」に沿って、エンジンと後輪駆動、特別に開発されたトランスミッション、革新的な駆動システムに至るまで、全てを装備する「CX-60」は多くの魅力を備えている。

価格:47,390ユーロ(約777万円)から

「マツダCX-5(引き続き販売)」の兄貴分は、47,390ユーロ(約777万円)から注文可能だ。珍しいことに、プラグインハイブリッド車が最も安価だ。マイルドハイブリッド化された3.2リッターの6気筒ディーゼルエンジンも2種類あり、それぞれ49,950ユーロ(約799万円)と54,950ユーロ(約900万円)からディーラーで注文できる。

また、今回のモデルイヤーの更新では、さらに2つの装備ラインが導入された。従来の「プライムライン」、「エクスクルーシブライン」、「ホムラ」、「タクミ」の4ラインに、「ホムラプラス」と「タクミプラス」が加わった。

デザイン:CX-60はアメリカンSUVを彷彿とさせる

視覚的に、「CX-60」は好印象を与える。デザインは控えめで、アメリカンSUVを彷彿とさせる。ラジエーターグリルは風に対して急角度で立ち、最上級グレード「匠」ではクロームメッキをふんだんに施している。細長いヘッドライトは前方に離れて配置され、「CX-60」に精悍な印象を与えている。

乗員スペースは後方に大きくセットされ、短いオーバーハングとなっている。標準装備は18インチのホイールで、オプションで20インチも選択可能だ。リヤも驚くようなところはない。細長いリヤライトは2つに分かれており、エキゾーストパイプはフェイクだ。このトレンドは数年経っても、まだ慣れるのに時間がかかる。

CX-60の全長は4.75mだ。これは、市街地での運転にはほぼ適している。

「CX-60」のトランクには570リットルの荷物が収容できる。40:20:40の可倒式リヤシートを倒せば、最大1,726リットルまで積載可能になる。ちなみに、プラグインハイブリッド車のドライバーも収納スペースをあきらめる必要はない。17.8kWhのバッテリーは、車軸間の車体下部に搭載されているからだ。

サイズ一覧
・全長:4,745mm
・全幅:1,890mm
・全高:1,680mm
・ホイールベース:2,870mm
・トランク容量:570~1726リットル

駆動方式:プラグインハイブリッド×1、ディーゼル×2

販売当初、「CX-60」はプラグインハイブリッドの「CX-60 e-SKYACTIV PHEV」のみであった。信じられないかもしれないが、2.5リッター直列4気筒エンジン(191hp、261Nmのトルク)と129kW(175hp)の電動モーターの組み合わせは、マツダ初のプラグインハイブリッドである。

システム出力は327馬力、500 Nmで、「CX-60」はマツダの量産モデルとしては最もパワフルな車だ。性能データについて話すなら、このSUVは0から100km/hまで5.8秒で加速し、電子制御による最高速度は200km/hに制限されている。

CX-60プラグインハイブリッドは、電気のみで走行するモードでは、最大63km走行することができる。 Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD

最大254馬力の電動ディーゼルエンジン

さらに、2つの48ボルトマイルドハイブリッドe-SKYACTIV D直列6気筒ディーゼルエンジンが大型SUVのドライブラインナップを完成させる。2つの出力レベルから選べるようになっている。縦置き搭載の「e-SKYACTIV D」の小出力バージョンは、最高出力200馬力、最大トルク450Nmを発生し、後輪に伝達される。

2つ目のディーゼルエンジンの仕様は、254馬力、550Nmとなっている。このバージョンでは、全輪駆動が標準装備だ。いずれの場合も、48ボルトの「M-Hybrid」ブーストシステムが搭載されており、新型8速オートマチックトランスミッションの入力軸に作用する12.4kW(17馬力)の電動モーターが内燃エンジンをサポートする。

インテリア:マツダCX-60の広々とした空間

ホイールベースが2.87mあるため、前席も後部座席も十分なスペースがある。コックピットは贅沢な雰囲気に包まれる。最上級グレード「匠」では、明るい色のナッパレザーとメープルウッドが採用されている。織物素材は伝統的な着物を模したデザインで、12.3インチのインフォテインメントディスプレイとデジタル計器が標準装備され、ワイヤレスのApple CarPlayとAndroid Autoも標準装備されている。それに対して、後部座席については、シートのクッションが硬すぎるという印象がある。

最上級グレード「匠」は、ライトレザーが採用されている。素材の選択と空間は上質感がある。

「CX-5」の小型モデルよりも広い室内空間、素材の選択も一貫して優れている。シンプルな操作も好感が持てる。マツダは現在のタッチ操作のトレンドを廃し、代わりにボタンやキー、ロータリー式プッシュボタンを採用することで操作をより簡単にしている。

顔認証機能

明るい色のレザー内装が好みでない場合は、2番目に高い仕様で黒のレザーが採用されている「Homura(焔)」を選択する必要がある。最上級モデルの「匠」には、白の内装が採用されている。ドライバー・パーソナライゼーションシステム(「焔」と「匠」のみに搭載)は、まったく新しいシステムで、顔認証機能により、最大6人までのドライバーに最適な運転ポジションを自動調整し、記憶する。

その仕組みはこうだ。「CX-60」に新しいドライバーが乗り込み、インフォテインメントシステムに身長を入力する。すると、車はカメラを使って重要なパラメーターをすべて検知し、シートの位置、ステアリングホイール、ミラー、ヘッドアップディスプレイを自動的に調整し、最適な快適性を実現する。

その後、ドライバーは好みに応じて設定をカスタマイズし、保存することができる。次に運転する際に「CX-60」は、アイトラッキングによりドライバーを認識し、最後に保存された設定を復元する。

2025年モデルのアップデート:シャシーの改良

マツダは、私たちの批判を受け入れ、2025年モデルのシャシーを改良した。前回の我々のテストでは、ラフロードでの後部座席の激しい突き上げと振動でいやな思いをしたが、リヤサスペンションのアップデートで解消された。スプリングを柔らかくし、ショックアブソーバーを硬くし、スプリングの可動域を広げることで、車の挙動はよりバランスが取れ、快適になった。

エンジニアは、パワーステアリング、走行ダイナミクスコントロール、全輪駆動システムのソフトウェアを改良した。

また、マツダは前輪および後輪サスペンションのさまざまなコンポーネントも改良した。これにより、車両の操縦性と安定性が向上し、コーナーでのステアリング操作がより正確になる。

2つの新しい装備パッケージ

「ホムラ プラス」と「タクミ プラス」という2つの新しい装備ラインが追加された。これには、電動トノカバー、360度ビュー、2つの230ボルトソケット、Boseサウンドシステム、電動パノラマサンルーフを装備した「利便性とサウンド」パッケージが含まれる。

また、2番目に高いグレード「ホムラ」にも若干の変更が加えられた。ブラックナッパレザー、インパネの人工皮革張り、ダークグレーのトリム、ブラックルーフが装備される。

改良モデルのファーストドライブ:見た目にはわからないが、違いは感じられる

マツダは「CX-60」を改良した。見た目にはそれほど大きな変化はないが、最も重要な変更点はシャシーである。我々の最初のテストで、「CX-60」のサスペンションの弱点を指摘した。道路の大きな段差では、リズムを崩し、リヤエンドが強く跳ねて、バタバタした。「マツダよ、ダンパーを何とかしてくれ」と我々が要求したところマツダは即座に真剣に対応し、改善した。

「CX-60」の2025年モデルは、いくつかの新しい装備に加えて、改良されたシャシーが搭載される。フロントのダブルウィッシュボーンアクスルにはより硬いショックアブソーバーが採用され、ステアリングのジオメトリーが変更され、ステアリングソフトウェアも修正された。マルチリンク式リヤアクスルには、より柔らかいスプリングとより硬いダンパーが採用され、アンチロールバーは不要になった。

最初の短いドライブの後、その成果は明らかだった。「CX-60」のハンドリングは以前よりも向上し、安定性も増している。サスペンションの反応はより穏やかになり、長い波や横方向の揺れにも自信を持って対応する。20インチの大径タイヤを履きこなし、ステアリングの反応は以前よりもしっかりしており、フィードバックも増えている。もちろん、これらの点については、フルテストで再度詳しく確認するつもりだ。

今回試乗した200馬力の直列6気筒ディーゼルエンジンは、好印象に大きく貢献している。洗練された走行、力強いトルク、そして美しく、心地よいサウンドを奏でる。CX-60は、自信を持って、落ち着いて、そして確実に、ゆっくりと走る印象を与えてくれる。

運転性能:CX-60 PHEVは合理的

最初の試乗では、実際、電気のみでほぼ60kmを静かにスムーズに走行することができた。ガソリンエンジンが作動すると、327馬力が確実に感じられる。必要であれば、素早く走行することも可能だ。2.5リッターエンジンは野太い音を響かせ、頼もしさを感じさせるが、オートマチックトランスミッションは素早くギアを切り替えるのに若干の苦労をしているようだ。

しかし、ハイブリッド車では常にこの現象が起こることを覚悟しておくべきであり、急ぐ必要はないのであれば、そのまま走らせよう。ソフトなサスペンションと軽いステアリングが、この車にはぴったりだ。

テストドライブ:マツダ CX-60 e-スカイアクティブPHEV AWD

我々は、全輪駆動の、よりパワフルな254馬力ディーゼル車にも試乗した。出力の低いディーゼルエンジンよりもパワーがあるだけでなく、回転数も明らかに高い。8速オートマチックトランスミッションは、4,750回転まではシフトアップしない。これは、出力の低いエンジンでは4,300回転前後であるのに対し、より高い回転数までシフトアップしないように設定されている。この6気筒エンジンは「CX-60」の快適な性質と非常に相性が良く、四輪駆動は本当に高速だ。手ごろな価格と優れたエンジンにより、小さな欠点には目をつぶりたくなる。

湿式クラッチのおかげでドイツのプレミアムカーと比べるとギアチェンジがスムーズだ。

GLCとX3との比較

以前「CX-60」と「メルセデスGLC」「BMW X3」を比較した際の印象を思い起こせば、「メルセデスGLC」との比較では、「CX-60」にはかなりの利点がある。価格ははるかに安く、エンジンも優れている。大排気量の6気筒エンジンは、この車のセールスポイントだ。回転域全体で力強く唸りをあげ、加速も良好で、0-100km/h加速は7.5秒だ。残念ながら、シャシーとアシスタント機能には改善の余地がある。これが、この比較で「GLC」が勝った理由だ。

「BMW X3」を前にして、マツダはライバルの中でトップの座に君臨する車と対峙している。この手練手管を尽くした相手には勝てないが、このSUV同士も天と地ほどの差があるわけではない。「CX-60」はデザイン、センスの良いインテリア、興味深いテクノロジーで高得点を獲得している。この好印象を台無しにしているのが足回りだ。

シュトゥットガルト製SUVをも脅かす存在のCX-60。
Photo:AUTO BILD

結論:
「マツダCX-60」は成功モデルだ。デザインは控えめであり、素材の選択と空間は最高だ。特に、すっきりとしたコックピットが気に入った。しかし、マツダが初のプラグインハイブリッドを投入したのはかなり遅かったようだ。もしかしたら、遅すぎたかもしれまない。
AUTO BILDテストスコア: 3

フォトギャラリー:マツダ CX-60

Text: Jan Götze and Jonas Uhlig
Photo: Mazda Motors