初テスト 新型トヨタ ハイラックス ドライビングレポート 大人気ピックアップ その評価は?

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トヨタ ハイラックス(2020): 日本製ピックアップトラック、ドライビングレポート

シックなデザインに生まれ変わった新型トヨタ ハイラックスは、新型ディーゼルエンジンを搭載する。我々は2.8リッターパワーユニットのハイラックスでドライブに出かけた。

トヨタ ハイラックスはTVスターだ。
ジェレミー クラークソンは、かつてトップギアの番組の中で、考えられるあらゆる方法でこのピックアップトラックを虐待した。
その中には、レッキングボール(ビル解体用鉄球)を車両に打ち込み、テレビ番組のクルーがトヨタを木に正面からぶつけ、火をつけて家の屋根の上に置き、それを吹き飛ばしたものなどがあった。
結果?
その後もハイラックスのエンジンが動くことに気づくだけだった。
ハイラックスが、ピックアップトラックとして最初に行った北極への旅などは、ほとんど公園内を散歩しているようなものだった。

本質的に、新型ハイラックスは商用車のままだ

8代目が以前同様のかたちで生き残れるかどうかは未知数だが、これまでTシャツ一枚だった純オフローダーが、少しドレスアップして、格好良くなったのは間違いない。
デザインにこだわりの強いライフスタイリストの中にも、このシックなメタルを見て心を動かされる者がいるかもしれない。
今回、おなじみの2.4リッターディーゼルに加え、2.8リッターの容量を持つディーゼルエンジンも登場した。
204馬力、500Nmを発揮し、新型ハイラックスを静止状態から100km/hまで10.7秒で到達し、最高175km/hまで加速する。
トヨタは、ハイラックスの燃料消費量は、リッターあたり10.2kmと述べている。
我々のテストドライブでは、リッターあたり9.3kmだった。
2,335kgのハイラックスは、決してダイナミックな車ではないものの、高速運転は可能だ。
しかし、野太い唸りを上げるディーゼルエンジン備えたハイラックスの基本的なスタンスは、以前同様、頑丈な商用車のままだ。

ディーゼルパワー: フロントの新型ディーゼルエンジンは、排気量2.8リッターから204馬力+500Nmのトルクを生み出す。

より長い距離もカバーできるようになった

しかし、走りの快適性は先代よりも明らかに向上している。
これは、よりソフトなスプリングチューニングを施したシャシーと、新しいベアリングブッシュによるものだ。
「エコ」、「ノーマル」、「パワー」の3つのドライビングモードが選択可能となっている。
田舎道をのんびりと転がしたいなら「エコ」が最適だ。
トルクコンバーターのロックアップを改良した6速オートマチックトランスミッションも、ここで一役買っている。
ハイラックスの四輪駆動システムは、ほとんどの状況で、リアアクスルのみに動力を送る。
そしてトラクションがきつくなると、電子機器がリミテッドスリップデフを作動させる。
ハイラックスがオフロードで可能な限り敏感に操舵できるようにするために、エンジニアはディーゼルのアイドル回転数を650rpmに下げ、アクセルペダルの反応を改善した。
ステアリングとスタビリティプログラムもこれらの状況に適応する。

大幅に滑らかになった: 新型ハイラックスの走りの快適性は、先代に比べて大幅に向上している。

ハイラックスの仕事場(コックピット)は最新

ハードなプラスチックで仕上げられたコックピットは、この車のやや素朴な成り立ちにマッチしていて、木目調のサーフェイスとピアノラッカー塗装が装いを添え
8インチのセンターディスプレイを備えたインフォテイメントは機能的で、Apple CarPlayやAndroid Autoを介したスマートフォンとの連携も容易だ。
シートは横方向のサポートが少なく、ステアリングコラムは短すぎる。
ダブルキャブ仕様では、大人4人も快適に座ることができ、1.52×1.64メートルの荷室は、かさばる荷物を運ぶためのスペースをしっかりと確保している。
ハイラックスは875kgまで積載可能で、最大3.5トンのトレーラーを牽引することができる。
新型ハイラックスは、2020年11月中旬から発売される。
我々がテストした「無敵(Invincible)」バージョンは、特別装備仕様で、42,670ユーロ(約533万円)のコストがかかる。

多くのハードプラスチック: インテリアはハイラックスのキャラクターにマッチしていて、インフォテイメントは最先端のものだ。

個人的に大好きで欲しいクルマのひとつに、ピックアップトラックがある。
アメリカでピックアップトラックが、それこそ日常の足グルマとして、容赦なくリアカー感覚で使われているのを見ると、なんてかっこいいんだろう、と思う。
残念ながら日本であれをやろうとすると、スペースの関係だけではなく、様々な点で難しくなってしまうが、本来はまったく車のことなど気にせず、ガンガン使ってあげるのがピックアップトラックの正しい姿なのである。


このトヨタ ハイラックスもわが国でも昨今売られているが、街で見るたびにいいなぁ、と欲しくなってしまうのだが、いかんせんちょっと大きいことがネックになって、購入には至れないでいる。
日本には軽トラックという、世界に誇るべき車もあって、あれがこの国のピックアップトラックの姿なのかと思うこともあり、その国にとっての相応しい生活自動車の大切さと普及をあらためて痛感するが、格好よさではやっぱりボンネットのちゃんとついたピックアップトラックが格好いい(昔ホンダにあったステップバンベースのトラックは本当に格好良かった。ああいうの、また出してほしい)。

トヨタ ハイラックスだけではなく、日産も日本の市場に、ダットサントラックみたいなのを導入してくれたら、きっと魅力的なのに。それこそ、キムタクがピックアップトラックのTV CMをやったら、それなりにいい感じに仕上がると思うのだが。

Text: Wolfgang Gomoll
加筆:大林晃平
Photo: Toyota