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【自動車大好き倶楽部の入会証】祝35周年&ND10周年記念企画「マツダ ロードスター」4台一気乗り!前編

2025年4月2日

今年で世の中に誕生して以来35周年となる「マツダ ロードスター」。現行モデルのNDも発表されてからあっという間に10年となった。毎年改良が加えられ進化を続けているし、昨年大幅な改良を受けている。熟成が進み、様々な新しいデバイスも追加されているロードスターであるが、いったいそれはどんなふうに違っているのか、今回はND4台とNA一台を集めて乗り比べてみることにした。

今回4台並んだNDロードスターをじっくり見ながらあらためて思ったことは、なんともバランスの取れた美しい自動車ということである。もちろん格好よいわるいの基準はひとそれぞれではあるが、10年を経過しても少しも古く感じさせないばかりか、どこにも破綻や突っ込みどころのないこのデザインは大変秀逸だと思う。それにしてもNDロードスターが発表されてからもう10年も経過したのか……

春の三浦半島に集まった4台

2020年モデル 100周年記念車 (Sレザーパッケージ)
2022年モデル RS
2023年モデル 990S
2024年モデル RS(マツダ広報車両)
1990年モデル NA Vパッケージ

いずれもまったくのノーマルで、タイヤサイズなども含めて一切のモディファイが行われていない5台である。

これら4台のNAをちょっとだけ解説すると、100周年記念車にはまだキネティックポスチャーコントロールがついていないが、2022年モデルのRSにはキネティックポスチャーコントロールと機械式のLSDがついており、その一方で990SにはキネティックポスチャーコントロールはつくもののLSDとスタビライザーがなく、最新のモデルにはもちろんキネティックポスチャーコントロールと、さらに円錐形クラッチ型LSDにカム機構を追加し、減速時と加速時で異なるカム角を設定することで安定性を向上した(と解説されている)アシンメトリックリミテッドスリップデファレンシャルが追加装備されている。

一覧表がないとなんともわかりにくいが、最新のモデルはこのデファレンシャルだけでなくレーザークルーズコントロールをはじめとして電子デバイス系を一新させているし、とにかくNDとしては最大のモデルチェンジを受けたとされる車である。

この4台のNDにNAロードスターのVスペックも比較車両として準備して乗り比べてみようというのが今回のコンテンツの意図ではあるが、サーキットでの限界走行や峠道でのかっ飛ばし試乗は一切行わず、あくまでも一般道路での通常使用範囲内の走行条件で乗り比べることを決めた。

なぜならばロードスターというのは絶対的な性能よりも、普通に乗って心地よく楽しいかどうかが大切なクルマだからであって、限界性能うんぬんかんぬんは一般的な市井の人間にはあまり縁がない話なのだから。日常領域の中で運転していかに快適で爽快かどうか、それが焦点となる。さて、まずは2020年モデルの100周年モデルから乗ってみよう。
 

2020年マツダ創立100周年モデル 

白いボディに赤い幌がなんともエレガントで素敵な100周年モデルのドアを開けるとシートも赤い本革でこれだけで気分が晴れやかになる。走行性能と関係ないじゃないかというなかれ、こういうオープンカーは乗る前の心構えや思い込みのテンションが重要なのであって、演出が巧みなクルマほど乗ってからも高評価が持続するものである。

この100周年のカラーコーディネートはR360クーペをオマージュしたもので、さらに100周年のバッチが各所にあしらわれている。フロアマット、ヘッドレスト部の刻印、キー、センターホイールキャップなどが特別装備品となり、発売当時の価格は3,279,100円(MT)であった。なおベース車はSレザーパッケージである。

今回の試乗車は2万キロ以上を大切に乗り込まれた一台だったが劣化などは言うまでもなく皆無。重箱の隅をつつくように室内などをチェックしても、どこにも不具合や傷んでいる部分などは見当たらない。クラッチをリリースして走りだしてみても、そこにあるのはいつものNDロードスターであって快適そのもの、毎日の使用にもまったく困るところのない扱いやすい空気感を持ったまま路上を走り始める。

日本の道路で過不足なく使え、その力を余すことなく使いながら走ることのできる爽快感、これこそがNDロードスターの魅力なのだろう。今や300馬力と言われても驚かないほどのインフレ数値に我々は慣れてしまっているが、実際に路上でどれほど使い切れているというのか。500馬力だ1000馬力だと、なんとも感覚がマヒしてしまっているからこそ、この使い切れるパワーと軽やかな乗り味に魅了されながら、ゆるゆるっとNDロードスターを走らせていると、心が軽くなっていくように感じた。そしてオープンカーはオープントップで乗るべきだという自説をあらためて確信した。オープンにすることで何倍も爽快感は増すのだから、どんどん開けて乗るべきである。

5年を経過し、3万キロ近くを走った今回の試乗車だが、傷んだ部分も劣化した箇所も皆無。目をつぶって助手席に座らされたらきっとわからない、と思う。こういう部分の品質などもロードスターはすごいと思うし、自動車の大切な性能の一部であるといつも感じるところである。

パワーも十分だし、ゆったり走らせても満足感は高く、ワインディングロードでちょっとだけ速度を上げてみても、するっとコーナーを腰を中心に回るこの感じ、どう乗っても不満のない自動車、それがロードスターだし、これ以上、キネマティックポスチャーコントロールやアシンメトリックLSDなど、本当に必要なのかなぁ、と乗れば乗るほど感じる100周年車であった。

2022年モデル RS

やっぱりロードスターは楽しいなぁ、と自然と笑顔になっている自分に気が付きながら乗り換えたのは2022年モデルのRSである。このモデルで一番気になるのはキネマティックポスチャーコントロール(以下KPC)とLSDがついていることで、特にKPCに関しては一切の車重を増やすことなくコーナリング能力を高めると言われる装備で、初期のND100周年車には装備されていないこともあり、興味津々である。

RSに乗り込んで走り始めて感じられたのはもちろんKPCのことではなく、乗り心地やステアリングフィールの硬質な感じだった。レカロシートの違いも大きいとは思うが、ラグジュアリーな雰囲気さえ感じた100周年モデルから乗り換えると、RSはやはり骨太で芯のあるしっかり感をドライバーに与える。専用チューンが施されたダンパーの効果は大きく、100周年モデルとはかなり異なる乗り味で、こちらはちゃんと?路面の凹凸のインフォメーションをドライバーと同乗者に伝え、かなりスポーティな乗り心地だ。もちろん黒という内装色の心理的影響も大きいとは思うが、同じロードスターでもこんなに違うものか、と思うしそれだけユーザーには選択する余地も残されている、ということもできる。積極的に運転しないといけないような、ドライバーをその気にさせる演出に、RSは長けている。

さて、話題のキネティックポスチャーコントロール(KPC)だが、コーナリング時に内輪にだけわずかにブレーキングを与えることにより、ロールを控える運動制御デバイス。この効能だが、今回のようにあまり飛ばさず、ゆるゆると乗った場合には、ものすごく違いが感じられるものではない、と思う。もちろんよくわからなかった理由の大半はテスター(私のこと)の能力不足がいけないのだが、正直言ってKPCのついていないモデル(100周年車)と比べても、これこそがKPCだといえるような感覚には至らなかったのである。

確かにコーナーでリヤがスーッと(笑)前後とも同じようにロールしながら回っている状況は感じるが、もともとそれはロードスターの基本的な性能が優れているからかもしれないし、圧倒的にKPCがあるが故の挙動、というのは日常的には明確に断定できない。だが本来技術というものは、乗っている人間がわからないほど自然に働いた機構ほど熟成が進んだものと聞いたがあるし、この目立たないがものすごく考えられ、開発されたキネティックポスチャーコントロールもなんともマツダらしいなぁと嬉しくなるような装備であることだけは付け加えておきたい。

RSから降りながらこのモデルは積極的に運転を愉しむ方には絶好の一台だなぁと感じたし、元大学の自動車部で腕を鳴らした方が、まだまだこれから末永く自動車を愉しみまっせ、と選ぶにはピッタリの一台であろう。たまにワインディングを走ってよし、オープンでゆるく流してよし、日常の買い物にもつかえるし、これ一台ですべてが足りる、そういう意味でもロードスターは実にたいした車だと思う。

右が最新型RS(広報車) 左が2022年モデルのRS。ライトのデザイン処理やスポイラー形状が異なる。

2台を乗り比べたところで前編は終了。990Sと最新型RS、そしてNAロードスターの3台を比較する後編をお楽しみに!

Text&Photo:大林晃平