【比較テスト】フォールディングバイクはいかがでしょうか?
2020年11月18日
キャンプや旅行に持ち運び便利な折りたたみ自転車×9台
あなたの車のトランクに、折り畳み自転車を一台いかが? 車やモーターホームでのお伴に便利な9台の折りたたみ式自転車。折りたたみ自転車はバカンス先での機動性を高めてくれる。所有車のスペースに余裕のない方は、我々のテストで適切な旅の供を見つけていただけることだろう。今回のテストでは9台の自転車が登場する。
折りたたみ自転車は、我々にとって道路上の小さいが大きなヒーローだ。
車やモーターホームで旅に出ても、ちょっとした街乗りや自転車があると便利なシーンで活躍する。
何しろ、折りたたみ自転車なら、リアキャリアも大きなトランクも必要ない。
折りたためば(どのモデルも簡単に完了する)、とてもコンパクトな上に、多くのモデルは実際に大きなシティバイクが必要ないほど乗り心地が良い。
我々は899ユーロ(約11万円)というリーズナブルな価格のものから、3,395ユーロ(約42万円)という高価なものまで、9台の折りたたみ自転車をテストしてみた。
その結果をお届けする。
折りたたみ自転車はチェックルームに預けることができる
折りたたみ自転車は、バスや電車の中でも、無料で、折りたたんで持ち運ぶことができる。
また、コンパクトに折りたためるため、レストランに乗って行って預けたり、博物館のチェックルームに置いておいたりすることもできる。そのため、盗難のリスクも低くなる。
テストしたモデルのほとんどは、ツーリングにも適しているほど乗り心地が良い。
12~20インチの小さなホイールなので凹凸のある路面は苦手だ。
例外はリーズ&ミューラー バーディ(Riese & Müller Birdy=日本名BD-1)で、フロントサスペンションのおかげで多少の悪路もものともしない。
調整幅は広いが、妥協が必要な時もある
折りたたみ自転車のもう一つの欠点は、従来の自転車が多数のフレームサイズで提供されているのに対し、折りたたみ自転車は通常1つのサイズしか用意されていない点だろう。
3つの異なるサイズが用意されているバーンズ(Bernds)だけが例外だ。
ワンサイズなので、身長が160cmの人も、190cmの人も、自らをフィットさせるように妥協しなければならないことがある。
多くの自転車には調整機能がついているが、購入する前には試乗することをお勧めする。
言うまでもなく、フィット感の悪い自転車は楽しいものではない。
また、購入者は自分にとってどの点が最も重要なのかを事前に検討しておく必要がある。
我々のテストでは、乗っていて一番楽しいバイクは、必ずしも扱いやすいバイクとは限らないことがわかった。
テストされたバイクの技術的な詳細とテスト結果は以下のフォトギャラリーでご確認ください。
まずはブロンプトン クラシック(1,647ユーロ=約20万円)から始めよう。
ロンドンで、ブロンプトンは過去40年にわたって自転車を製造販売している。この間に、自転車メーカーは世界中に多くの「ブロンプトン製折りたたみ自転車」のファンコミュニティを形成した。しかし、その後、折りたたみ自転車業界の競争は日に日に激しさを増しつつある。
日本でも愛用者の多いブロンプトン。趣味性も高く、ルックスもイギリス車っぽくて?好きな人も多い。残念なのはシマノなどのパーツとの互換性が少ないことで、この点だけは他の自転車のほうが汎用性は高い。
● 折りたたみ時のサイズ: 56x32x56cm ● 総重量: 12.5kg ● 最大積載量: 110kg ● フレーム/前ホーク: スチール ● ホイールサイズ: 16インチ ● タイヤ: シュワルベ マラソン レーサー、35mm ● ギア: ブロンプトン製6速 ● ブレーキ: ブロンプトン製ホイールブレーキ ● ボディカラー: 10種類、単色または二色のコンビネーション ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
次なる候補はバーンズ製折りたたみ自転車(3,395ユーロ=約42万円)だ。高価なバーンズの折りたたみ自転車は、顧客の要望に応じて製作するカスタムオーダーメイドだ。テストした自転車はベルト式ドライブで、シマノ製アルファイン8段変速ギアを装着し、油圧式ディスクブレーキとSON製ライティングシステムが装着されていた。頑丈なスチールフレームは、特別にヘビーなライダーの重みにも耐えることができる。
バーンズの折りたたみ自転車は、直立姿勢で乗るのが好きで、自転車を個人の好みに応じて組み立てたいというサイクリストに適している。ベルトドライブのためチェーンの汚れやはずれを気にしなくて済むのは大変良い。他の折り畳み自転車もベルトドライブのほうが(本気でガンガン走らなければ)、メンテナンスや持ち運びが楽だと思われる。
● 折りたたみ時のサイズ: 96x46x78cm ● 総重量: 16.5kg ● 最大積載量: 140kg ● フレーム/前ホーク: スチール ● ホイールサイズ: 20インチ ● タイヤ: マキシス トーチ、50mm ● ギア: シマノ アルファイン8速 ● ブレーキ: シマノSLX油圧式ディスクブレーキ ● ボディカラー: 選択自由 ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
次なる候補はヘラクレス ヴェルサR7ベルト(899ユーロ=約11万円)で、安価だが乗り心地の良い頑丈な折りたたみ自転車だ。最大積載量も135kgと、ヘビーな体重のサイクリストでも乗ることができる。
シートポジションは快適な直立型で、ハンドルは高さ調節が可能だ。ただ、背の高いライダーにはシートポストがやや短すぎるかもしれない。やや重いのは難点だが価格を考えれば納得の内容と言えよう。質実剛健な一台で丈夫な実用的モデルだ。
● 折りたたみ時のサイズ: 87x48x67cm ● 総重量: 15.8kg ● 最大積載量: 135kg ● フレーム/前ホーク: アルミ ● ホイールサイズ: 20インチ ● タイヤ: インパック ビッグパック、50mm ● ギア: シマノ ネクサス7速 ● ブレーキ: テクトロ855ホイールブレーキ ● ボディカラー: ダークブルー ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
次の候補はクウィグル(1,550ユーロ=約19万円)だ。この折りたたみ自転車のサドルは横方向に細かく調整し固定できるようになっている。背中に優しく、完全に直立して座ることができ、自由な動きでランニングを楽しむことができる。しかも、この自転車は速く、特にフラットな場所では驚くほど速い。
しかし、地面の凹凸が非常に目立つ山道などには、その小さな車輪のため、適していない。それ以外は純粋にライディングを楽しめる。
ステアリングチューブの小さなホルダーに収納バッグが取り付けられる。この自転車は「メイドインドイツ」だが、フレームだけはイタリア製だ。
なんともユニークな形状だが、乗ってしまえば快適で、またかなり軽いため、予備の一台としてトランクに常駐させておくのには最適だ。たぶん長距離は難しいが、街乗りには十分だろう。
● 折りたたみ時のサイズ: 45x26x55cm ● 総重量: 10kg ● 最大積載量: 90kg ● フレーム/前ホーク: アルミ ● ホイールサイズ: 12インチ ● ギア: クウィグル製3速 ● ブレーキ: テクトロ製ホイールブレーキ ● ボディカラー: ブラック、ダークブルー、レッド、クリーム ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
カーブしたアルミフレームを備えたダホン カール i7(1299ユーロ=約16万円)は見たとたんにブロンプトン製折りたたみ自転車を想起させる。実用的な折りたたみの方法と折りたたみ時のサイズもほぼ同じだ。ホイールも16インチと小さく、タイヤも35ミリ幅のシュワルベ マラソン レーサーを装備している。
折りたためば、自転車はラゲッジラックに備わった車輪で簡単に押しながら運べる。
ダイナモは内蔵されておらず、その代わりにシンプルなバッテリーライトが供給される。ダホン カールは、他の装備のバリエーションも用意されているが、自由に設定することはできない。
日本でも大人気のダホン。折り畳み自転車のバリエーションも多く、値段的にもかなり幅があるので、選ぶ時にはお財布と相談しながら、そこそこのグレードの一台を購入することをお勧めする。
● 折りたたみ時のサイズ: 58x36x56cm ● 総重量: 13.2kg ● 最大積載量: 105kg ● フレーム/前ホーク: アルミ ● ホイールサイズ: 16インチ ● タイヤ: シュワルベ マラソン レーサー、35mm ● ギア: シマノ ネクサス7速 ● ブレーキ: ホイールブレーキ ● ボディカラー: ブルー、シルバー ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
次の候補はヴェッロ アルファイン11(2,168ユー=約27万円)だ。名前からわかるように、ハイクオリティなシマノ製アルファイン11速ギアを備えており、その上、ゲーツ製ベルトドライブも、油圧式ディスクブレーキも兼ね備えている。このことにより、特別に優れたメンテナンス性を有している。
マグネット式の折りたたみとサスペンションシステム、そして人間工学に基づいたハンドルは、快適性を確保することを目的としている。全体的に、着座位置はややスポーティで、ハンドルバーは少しだけ調整可能だ。
運転の楽しさが優先され、折りたたんだ姿はかなり扱いにくい形だ。重さもけっこうあるので、このまま運ぶのには苦労しそう。普通の自転車の「折りたためる版」くらいに考えたほうがよさそうだ。
● 折りたたみ時のサイズ: 69x34x84cm ● 総重量: 16.2kg ● 最大積載量: 125kg ● フレーム/前ホーク: スチール ● ホイールサイズ: 20インチ ● タイヤ: シュワルベ マラソン、40mm ● ギア: シマノ アルファイン11速+ゲーツ製ベルトドライブ ● ブレーキ: シマノ製油圧式ディスクブレーキ ● ボディカラー: ブラック ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
ターンBYB P8(1,364ユーロ=約17万円)は、フレームに2つの折りたたみようヒンジが付いている。つまり、これは、20インチのホイールを搭載した折りたたみ自転車にしては、折りたたみ時のサイズが比較的小さいということを意味する。
20インチのホイールで快適な走りを実現している。フレームが比較的長いため、大型の自転車に乗っているような感覚になる。やや重いのが残念だが、フレームの剛性は高く、やや大径のタイヤも走行性に貢献する。
● 折りたたみ時のサイズ: 54x36x81cm ● 総重量: 15.3kg ● 最大積載量: 105kg ● フレーム/前ホーク: アルミ ● ホイールサイズ: 20インチ ● タイヤ: シュワルベ シチズン、42mm ● ギア: シマノ アセラ8速 ● ブレーキ: キネティックス スピード ストップ ホイールブレーキ ● ボディカラー: ブルー ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
ティレルIVE(2,189ユーロ=約27万円)は、今回のテスト車中、典型的なトライアングルフレームを持つ唯一の折りたたみ自転車だ。スチールでできている。
最大積載量130kgという数値はかなりの高さだ。にもかかわらず、ティレルの重さは12.7kgしかない。これは、主にラゲッジキャリア(荷台)が装着されていないことなどが影響しているのかもしれない。しかし、ラゲッジキャリアは、オプションとして用意されている。
折りたたみ方はとても簡単だ。折りたたんだ状態では、持ち運びや押しやすさに優れている。しかし、折りたたみ式ではないペダルが、梱包サイズを比較的大きくしている。スチール製のため若干重いがフレームの精度などは高そうだし、各部の仕上がりも美しい。
● 折りたたみ時のサイズ: 66x39x60cm ● 総重量: 12.7kg ● 最大積載量: 130kg ● フレーム/前ホーク: スチール ● ホイールサイズ: 18インチ ● タイヤ: シュワルベ マラソン レーサー、40mm ● ギア: シマノ ソラ8速 ● ブレーキ: テクトロ製ホイールブレーキ ● ボディカラー: グレー、イエロー、ブラック ● 評価: グッド?
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD
そして最後の1台、バーディ オブ ジャイアント&ミューラー(2,598ユーロ=約32万円)は、とても快適なドライブを提供してくれる。その理由は、フロントとリアエンドの優れたダンピング要素によるもので、小さな18インチのホイールにもかかわらず、でこぼこがほとんど気にならない優秀さだ。
ハンドルバーは高さ調整ができる。購入時にいくつかのコンポーネントを設定することができる。我々は、バーディであれば、長距離でもライディングを楽しめることを発見した!
日本でも愛用者が多く大ヒットしたBD-1の最新モデルだ。フレームの形状が大きく変わり、各部の精度も上がったためさらに快適になった。今回のモデルではディスクブレーキもついていて、性能も大幅アップしている。
● 折りたたみ時のサイズ: 74x32x63cm ● 総重量: 12.7kg ● 最大積載量: 107.3kg ● フレーム/前ホーク: アルミ ● ホイールサイズ: 18インチ ● タイヤ: シュワルベ マラソン レーサー、40mm ● ギア: シマノ デオレ10速 ● ブレーキ: シマノ デオレ油圧式ディスクブレーキ ● ボディカラー: ブラック、ブルー、ライム、ホワイト ● 評価: ベリーグッド??
クルマと自転車の組み合わせは大変相性がいい。
一台自転車をクルマに積んでおくと、ちょっと離れた(安価な)駐車場に車を置いて、そこから繁華街に向かうとか、観光地に車ででかけ、クルマを止め、そこから自転車で散策に向かうなど用途と可能性が大変大きく広がる。
自転車だと、つい車では通りすぎてしまう風景やお店なども、ちょっと気軽に止めて立ち寄ったり、気軽に、そして自分の力で心も軽く移動できたりするのが良い。
今回のように降りたたみ自転車をぜひ車のトランクに一台、とお勧めしたいと思うし、もし購入する場合にはあまり価格をケチらず、そこそこの価格帯のものを購入すると長く愛用できると思う。
だが今回大変残念に思ったことは、日本製の折り畳み自転車が一台もなかったことだ。もちろんシマノのパーツをはじめ、部分部分では日本製ではあるのだが、自転車一台丸ごと日本製の折り畳み自転車がない、というのは大変残念だ。
これだけ自転車が愛用されている国なのだから、その工夫と生産性を活かし、革命的に新しい電動折り畳み自転車などが生まれたら、きっと世界中で愛される存在になると思うのだけれど、その点がなんとも残念である。
加筆:大林晃平
Photo: Jozef Kubica / BIKE BILD