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待望のハイブリッド版が登場!新型「フィアット600ハイブリッド」を徹底テスト

2025年4月11日

フィアット600ハイブリッド(Fiat 600 Hybrid):フィアット600に待望のハイブリッド版が登場した。我々の最初のテストで、この小さな車の実力が明らかになる!

フィアット600(セイチェント)の初代は1955年~1969年の間に2,604,000台生産されたベストセラーで、当時のフィアットの経済的成功を確立する上で重要な役割を果たした。その後、1998年に「Seicento(セイチェント)」(のちに600)が復活。3代目が2023年に電気自動車の「600e」、続いてフィアット初のハイブリッドシステムを採用した「600」が登場した。

小さくないサイズ

全長4.18メートルというサイズは決して大きくはないが、「フィアット600」はその生い立ちから、単純に「500」の兄貴分ではない。それ故か「600」であることを誰もが認識できるように、フロント、ヘッドライトの横、ホイールハブ、シル、リアバンパーなど、多くの場所に600の文字が追加されている。したがって、初代「600」を彷彿とさせる部分はどこにもないが、丸みを帯びた親しみやすいデザインで、大きな目とまぶたが特徴だ。

フィアット600はフロントマスクに500eを彷彿とさせるが、かなり大きい。

「600」は現行の「500e」よりもかなり大きく、全長は4.18mと0.5mほど長く、全幅も1.78mと10cm広い。前席には十分なスペースがあるものの、高い幅広のシルが邪魔をして乗り込むのはかなり大変だ。また、後席にもスペースが確保されていて天井は高いが、膝のスペースはミニマムで前後長はそれほど広くない。

インテリアのデザイン性は高い

インテリア全体はカジュアルにまとめられている。確かに硬いプラスチックはたくさんあるが、興味深い表面加工が施されており、全体的にリラックスした雰囲気だ。

シンプルにまとまったコックピット。メーターにエンジン回転バーを表示させることができる。

インフォテインメントシステムは未完成

中央のタッチスクリーンは10.25インチサイズで、多くの設定をここで行うことができる。グラフィックはかなりシンプルだが、これは悪いことではない。論理的に構成されていないメニューの方が、はるかに問題だ。空調用のコントロールパネル(メニューが画面にポップアップ表示される)と、すっきりとした音量調整機能はプラスポイントだ。

残念ながら、このシンプルなタッチスクリーンのメニュー構造は、わかりずらい。

「La Prima」バージョンのテスト車両には、オートエアコン、ナビゲーション、運転席のマッサージ機能付きヒーターシート、フィアットのモノグラム入りアイボリー色の人工皮革シートなど、便利な装備が搭載されていて見た目は良い。

しかし、まだ問題が1つある。センターコンソールは折りたたみ式のカバーで閉じられており、まるでタブレットのカバーのようだ。これが問題で折りたたむと、上部にあるシフトセレクター(少し出っ張っている)に誤って当たることがある。すると、例えば突然ニュートラルに入ってしまうのだ。

走行性能は許容範囲内

「フィアット600」は、「シトロエンC3」、「オペル・モッカ」、「プジョー208」など、ステラティスグループの車とCMP2プラットフォームを共有している。最も近い親戚は「アルファロメオ ジュニア」と「ジープ アベンジャー」であり、この2車種はポーランドのティヒ市で生産されている。

ハイブリッド版「600」は前輪駆動で、完全停止状態から100km/hまで11.0秒で加速する。最高速度は184km/hだ。

48ボルトのハイブリッドシステムは、100馬力の1.2リッター3気筒ガソリンエンジン、ベルトスタータージェネレーター(29馬力)を内蔵した6速デュアルクラッチトランスミッション、小型バッテリー(0.9kWh)で構成されている。「600ハイブリッド」は最高速度184km/hに達し、テストでは0-100km/h加速を11.0秒で達成した。130km/hまでは快調に加速するが、その後は非常に鈍重になる。

以前のテストと同様、ステランティスのハイブリッドシステムはフィアットでも特に調和の取れた動きはしない。「600」は常にわずかな遅れで始動し、これは信号待ちではかなり煩わしく感じられる。ガソリンエンジンは負荷がかかると不規則に動き、電動モーターははっきりと聞こえるうなり声を上げる。特に部分負荷域では、システムは顕著にぎくしゃくする。全体的に見ると、これはかなり荒々しい印象だ。

しかし、それに慣れてしまえば、「600」は非常に運転しやすく、穏やかなアンダーステアと、慎重かつ早期に介入するESPを備えている。ステアリングは明らかに市街地走行用に設計されており、スムーズに(そして鈍感に)応答するが、それ以上の興奮を引き起こすことはない。

テスト車両は3万ユーロ(約480万円)の壁を破る

「フィアット600ハイブリッド」のベースモデルは少なくとも25,490ユーロ(約407万円)である。「ラ プリマ」の装備パッケージを搭載したテスト車両は、30,990ユーロ(約495万円)からとなっている。

総合評価:フィアット600ハイブリッドDCT

ボディクラス標準のスペースとトランク、フロントは広々としているが、リヤはやや狭い。最大積載量437kg。

5点満点中3点
パワーユニット100馬力の1.2リッター3気筒エンジン、性能はまずまず。ハイブリッドシステムとは調和していない。

5点満点中3点
走行性能ハンドリングは良好、ステアリングは非常に軽い。ESPが早期に作動、ブレーキは平均的。

5点満点中3点
コネクテッドカー2つのスクリーン、シンプルなグラフィック、Apple CarPlay/Android Autoワイヤレス。ナビゲーションシステムは標準装備。

5点満点中3.5点
環境性能小さな外寸、軽量(1.3トン)。燃費は期待ほど良くない。

5点満点中3点
快適性シートが小さく、リアシートも短い。装備は充実しているが、やや敏感なサスペンション。

5点満点中3点
コスト比較的魅力的な価格。1年ごとの点検。保証期間2年のみ。

5点満点中3.5点
テストスコア3(最高点は1)

「La Prima」の装備には、フルLEDヘッドライト、LEDリアライト、18インチ軽合金ホイール、クロームアクセント、スモークリアウィンドウ、クロームメッキテールパイプ、アダプティブクルーズコントロールなどが含まれる。

結論:
「フィアット600」は、「500e」を愛するが、もう少しスペースが必要な人向けの車である。デザインとインテリアは、魅力的だが、ハイブリッドシステムは完全に我々を納得させるものではなかった。

フォトギャラリー:フィアット600ハイブリッド

Text: Dirk Branke and Mirko Menke
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD