1. ホーム
  2. SUV
  3. 【初テスト】キャデラックXT4フェイスリフト 350d AWDに初試乗 その評価は?

【初テスト】キャデラックXT4フェイスリフト 350d AWDに初試乗 その評価は?

2020年11月2日

今回発表されたミッドサイズSUVのXT4で、キャデラックはメルセデスGLC、アウディQ5およびBMW X3をターゲットにする。アメリカと中国市場でのビッグプレーヤーであるキャデラックは、再びヨーロッパ勢に果敢に挑む。我々は、ミッドサイズSUV、XT4を路上で試してみた。

今や、数やイメージで輝こうと思えば、ミドルクラスSUVは必須モデルだ。
今、キャデラックXT4は、ドイツのトップモデルであるアウディQ5、BMW X3、メルセデスGLCに再びアタックする。
全長4.59メートルのキャデラックは、間違いなく街中でも、街角でも、どのストリートでも目を惹く存在だ。

カンザスシティから来たキャデラックは、ナビゲーションスクリーンやイージーグリップステアリングホイールの後ろにあるアナログ時計、センターコンソールの回転式プッシュボタンなどが、ややオールドファッションな印象を与えるが、室内はシックで、十分に上質な感じに仕上がっている。
コントロール類は明確に配置されており、仕上がりは良好で、ヘッドアップディスプレイは最も重要な情報をドライバーの視界にちゃんと投影する。
素敵なディテール: インテリアミラーには、必要に応じて2台目のリアビューカメラの映像が表示されるなど、細部にも配慮がなされている。
フロントにはエアコン付きマッサージシート、2列目は十分なスペースを備えている。
しかし、リアシートのヘッドレストが低すぎる。
そのリアシートを折りたためば、最大1385リットルのスペースが生じるようになっている。

選べるエンジンは全部で2つしかない

残念ながらエンジンはむしろ平凡であり、エンジンのバリエーションは現在2つしかない。そしてほとんどの顧客が、キャデラックXT4 350d AWDディーゼルモデルを選ぶ可能性が高い。
174馬力と381 Nmを兼ね備えたディーゼルXT4のためには、少なくとも42,900ユーロ(約536万円)が必要とされる。
2リッターディーゼルエンジンは最新の設計ではあるが、決して静かなものではない。スタート時だけでなく、より高い速度や高負荷の条件下でも、エンジンサウンドは、はっきりと聞こえる。
加速性能は素晴らしいが、170km/hを超えると推進力は目立って鈍くなる。
そして、スピードメーターの針は203km/hで静止する。
全輪駆動車の平均燃料消費量。
180g/kmのCO2排出量に対応するディーゼルエンジンの燃費はリッターあたり14.4kmだ。
ZF製オートマチックトランスミッションは、ドライビングプログラムによっては、少し神経質に作動するきらいがある。

ナイスに仕上がっている。キャデラックXT4は、目を惹くプロポーションを持っている。

常に全輪駆動のガソリンエンジン

もう一つのパワーユニットは230馬力、350Nmを発揮する2リッターターボ4気筒で、唯一のガソリンエンジンだ。
ここでも競合他社のエンジンは、400馬力以上のスポーツバージョンは言うまでもなく、それ以上のものを提供している。
キャデラックには9速オートマチックトランスミッションが標準装備されており、ディーゼルは前輪駆動と全輪駆動の2種類があるが、ガソリンエンジンは常に全輪駆動車として用意されている。
また、キャデラックは、XT4にプラグインハイブリッドモデルを投入することは想定しておらず、その代わり中期的には純粋な電気駆動モデルを投入する予定だ。

選択肢は少ない。XT4には、ガソリンエンジンとディーゼルしかない。

キャデラックにディーゼルエンジンモデル?といぶかる方もいるかもしれないが、かなり以前からキャデラックにディーゼルエンジンモデルは存在している(リアデザインがネオクラシック調のキャデラック セビルのころには、もうディーゼルエンジンモデルがあった)。

今回はやや小型のSUVにディーゼルエンジンモデルが登場したことは目新しいが、その内容は意外とオーソドックスなもので、ハイブリッドシステム搭載のモデルもなければEVもない。といってもその二つがないからと言って魅力に欠けるかと言えばそんなことはなく、なかなかスタイリッシュだし、日本に導入しても、価格が適正であったならばなかなか高評価を得るのではないだろうか。そしてその場合の価格は500万円というのがひとつの線であろう。

このキャデラックに望むスペックはディーゼルエンジンモデルに、GMご自慢のアダプティブクルーズコントロールであるスーパークルーズ搭載モデルだが、もっともっとハイテクであった方が魅力は増すだろう。アメリカ車の本来持つ、安楽でタフな面に、世界で一番先進的な装備が搭載したとしたら、セールスポイントいっぱいな存在になると思うのだが。

Text: Stefan Grundhoff
加筆:大林晃平
Photo: GENERAL MOTORS