【このコンチネンタルGTなんぼ?】走行距離82万8千kmの「ベントレー コンチネンタルGT」の希望価格は520万円!ビミョー
2025年3月14日

ベントレー コンチネンタルGT:まさに耐久性の高い車だ。このベントレーの走行距離は驚異の80万km超。この高級クーペの元々の価格は20万ユーロ(約3,300万円)以上だった。
2万ユーロ(約330万円)のベントレー?夢物語のように聞こえるかもしれないが、現実のものだ。現在、中古車市場では、高級ブランドの最も手頃なモデルは1万ユーロ(約165万円)以下でも入手可能だ。しかし、購入希望者は、低価格という見かけに惑わされてはいけない!
1万ユーロ(約165万円)以下のモデルは、1980年代や1990年代の「ベントレー ターボR」や「ベントレー ブルックランズ」がほとんどで、通常は専門業者でしか整備を依頼できないため、費用がかさむ。より新しいモデルをお好みの方には、「コンチネンタルGT」をお勧めする。2003年に発表されたこのクーペは、現代のベントレーの象徴であるだけでなく、英国の会社を救ったモデルでもある。威信の高いW12のツインターボエンジンを搭載した初代「コンチネンタルGT」は、2万3,000台以上が製造された。そして2024年、ベントレーは4代目となる高級クーペを発表した。
コンチネンタルGTは20,000ユーロ(約330万円)から
多くの高級車と同様に、「ベントレー コンチネンタルGT」も目まぐるしいほどの価値下落に苦しんでいる。2003年に発表された際には、560馬力のこの車は16万7,504ユーロ(約2,765万円)からで、いくつかのオプションを追加すると、20万ユーロ(約3,300万円)以上にもなった。それから約20年が経ち、中古の「コンチネンタルGT」は、お買い得価格で入手できる。走行可能な車両の価格は、約2万ユーロ(約330万円)からとなっている。
価値が大幅に下落した理由は単純で、維持費が恐ろしく高いからだ。W12エンジンでリッターあたり5km以上という燃費を達成するのはほぼ不可能であるばかりか、スペアパーツや修理代が本当に高くつく。

今では引退した素晴らしいW12エンジンは、適切なメンテナンスを行えば、基本的に燃費は悪いが堅牢なエンジンである。シャーシ(2,350kgという高い乾燥重量が原因)と電子機器はそれほど頑丈ではなく、老朽化すると故障しやすくなる。部品代も修理代も非常に高額であるため、整備記録のない中古の「コンチネンタルGT」はたちまち金食い虫と化す。4~5人目の所有者の手元にある多くの固体が、整備不良であるか、時にはまったく整備されていないのもある。
現在、アメリカのオークションサイト、「Copart」で競売にかけられている2005年式の黒の「ベントレー コンチネンタルGT」も、おそらくそのような運命をたどったものと思われる。「Copart」では、ほぼ例外なく損傷車や事故車が出品されている。この黒い「コンチネンタルGT」も、写真ではかなり傷んでいるように見える。フロントスカートの下半分が割れており、エアサスペンションがへたっているようだ。それ以外にも、かつては優雅な豪華客船だった車が、レプリカのホイールやスモーク加工されたリヤライトで「装飾」されている。

828,000kmの走行距離
しかし、本当に驚くべきは走行距離だ。デジタルスピードメーターは、514,636マイル(828,226km)という信じられない数字を示している。これは、ベントレーの記録を破る数字だ。ちなみに、現在ドイツで販売されている「コンチネンタルGT」で最も走行距離の長い車でも、走行距離は232,000kmだ。これほど走行距離の多いベントレーは、絶対的な例外であり、前のオーナーはかなりのストレスを感じただけでなく、少なくとも数万ドル(数百万円)ものメンテナンス費用を負担した可能性が高いだろう。

残念ながら、「Copart」の説明には、この車の履歴や損傷の原因など、ほとんど情報が記載されていない。念のため確認しておくと、平均燃費がリッターあたり5.8km、ガソリンの価格が1リットルあたり1.50ユーロ(約250円)、走行距離が828,226kmとすると、燃料費だけで、21万ユーロ(約3,465万円)を超える計算になる。
最低落札価格に達していない
現在の最高入札額はわずか1,000米ドル(16万円弱=最低落札価格に達していない)だが、このボロボロのベントレーの購入をお勧めできないことは明らかだ。さらに、32,840米ドル(約520万円)という提示された価格は、非常に高いように思われる。
この点を踏まえて、掘り出し物を探している方々に、善意からアドバイスをしたいと思う。入札ボタンには触れないように。そして、6,500米ドル(約105万円)の今すぐ購入のオファーボタンにも触れないように!
Text: Jan Götze
Photo: copart.com State Farm Insurance