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このクルマ知ってますか? 史上最も過激なオペル アストラOPC X-Treme

2020年10月18日

OpelアストラOPC X-Treme(2001): プロトタイプ、シングルユニット、DTM、V8

これは、これまでに作られた中で最も過激なオペル アストラだ!
これが、オペルがどれだけ過激になれるかという好例だ。2001年に製造されたプロトタイプ、アストラX-Tremeは、DTMレーサーよりもわずかにソフトな仕上げだが、超過激な1台だ。

アストラX-Tremeのように、車の名前がこれほど完璧にフィットすることはめったにない。
2001年、オペルOPCはジュネーブモーターショーでこのコンセプトモデルを披露し、ブランドが本当にその気になったときに何ができるのかを実証したいと考えた。
少なくとも10台の予約注文が入ったと言われており、1台あたりの価格は7桁のDM(100万マルク=約6,350万円)レンジで、スモール生産シリーズが計画されていた。
しかし、結局、残ったのはこの1台のプロトタイプだった。
つい最近、「オペルクラシック」が買い戻すまで、それはレーシングカーファンのコレクションの一部だった。
我々は、18年前、AUTO BILDのスタッフがテストさせてもらった、このアストラX-Tremeを、「オペルクラシック」に頼んでガレージから出してもらい、感激の再開を果たした!

アストラGは光り輝いているが、このレーサーは市販のクーペをベースにしているわけではない。
シャーシやドライブトレインなど、2000年シーズンのDTMレーシングカーをベースにしている。
フロントに潜むのは、キャデラックのノーススターファミリーをルーツとする4リッターV8だ。

444馬力の4リッターV8

圧縮比は13から12:1に下げられている。
462馬力の代わりにアストラは444馬力を備えている。
その代わり、リアアクスルのトルクは510ではなく530Nmにアップしている。
そしてそこは、シンクロナイズされていないシーケンシャル6速トランスミッションが配置されている場所でもある。
唯一の根本的な変更は、マフラーを備えた排気システムと、センターロックホイールの後ろに配置されたフロントに、6ピストンキャリパーを備えたカーボンブレーキシステムが装着されていることだ。
すべてがDTMレーサーのそれに似たカーボン製のボディワークでパッケージ化されており、ファイバーの細かな部分まで再現されている。
残忍なフェンダーフレア、プラスチック製ディスク、巨大なアジャスタブルリアウイング、レースクロージャー付きフューエルフィラーキャップなど、すべてが兼ね備わっている。
走行性能: 0~100km/h加速は約3.9秒、最高速度は約330km/h。

アストラX-Tremeは、どこから見てもただただ神々しい。ガルウイングドアが外観を完璧なものにしている。

エンジンがコックピットにまで

インテリアの仕立てやフィーリングもレース仕様だ。
アルカンターラ、つや消しアルミニウム、塗装されたロールケージがコックピットを支配している。
着座位置は信じられないほど低く、とてつもなく奥まった位置にあり、頭はBピラーの高さにある。
その理由は、エンジンの半分がインテリアに突出しているからだ。
ハーネスベルト付きのタイトなフルボディシートは、二人の乗員に自由な動きを許さない。
オペル スピードスターから転用された直立式ステアリングホイールとステアリングコラムレバーだけが量産品で、それ以外はすべてオーダーメイドだ。
ドライバーはデジタルタコメーターを見ながら、センターコンソールにはノブ、スイッチ、警告灯が配置されている。
コックピットには消火器とエンジンオイルのフィラーネックもある。
ちなみに、ドライビング補助システムなどは一切ない。

エレンオレンジのダッシュボード。助手席側にはエンジンオイル用のフィラーネックが備わっている。

ドライビングすることは原理的には可能だが、すべてのシステムを起動するにはWindows 95(!!)のパソコンが必要だという。
さらに、車は膨大な時間、車庫に駐車されたままだったため、エンジンをかけるだけで、2,000ユーロ(約25万円)ほどの出費になる。
前述したように、18年前、AUTO BILDは、実際にアストラX-Tremeを運転することが許可された。
それは、それは、すさまじい体験だった。

正直言って、まったくこんなオペル知らなかったし、今回レポートされなければ、それで人生を終わっていたと思う。X-Tremeという、なんとも裏原宿系の名前の響きといい、ガルウイングドアの採用など、思いきり高性能で走りたかったのか、ショーの花形になりたかったのか、どうにもよくわからない一台だが、オペルは数台を注文生産という形で売りたかったらしいと書いてあるので、見た目よりも中身はそれなりにちゃんとした車だったのかもしれない。

まあ6,000万円以上を出して、これを買うかといわれれば、どうにも返答に悩むし、正直言って市販化されなくてもよかったかな、という気持ちにもなるが、ちゃんと走るように作って、試乗させたオペルはなんとも太っ腹で、いい時代を感じさせる話ではないか。

エンジン始動にはWindows 95のパソコンが必要だというし、なんとも一発芸人のような車ではあるが、かつてよく足を運んだ晴海のモーターショー会場には、こういうキワモノのショーカーが並んでいた時代を思い出した。
今よりもはるかに自由でお気楽で、でもお祭り騒ぎだったあの晴海のモーターショー。
今みたいなエコだとかEVだとか自動運転ではなく、ひたすら学園祭のように楽しい雰囲気全開だったモーターショー、そんなのはもう遠い昔のことなのである。 

Text: Moritz Doka
加筆:大林晃平
Photo: AUTO BILD / Christian Bittmann

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