【イベントレポート】チューンドR35GT-Rがタイムアタック「TOYO TIRES presents CLUB RH9 鈴鹿サーキット走行会」
2024年12月14日
2024年12月5日(木)、鈴鹿サーキットにて「TOYO TIRES presents CLUB RH9 鈴鹿サーキット走行会」が開催された。
この走行会は「CLUB RH9」のデモカーおよびユーザーほか、フェニックスパワー、アムクレイド、ガレージ・デュ・ヴァン各ショップが持ち込んだR35GT-Rの走行枠が設けられ、各自スポーツ走行を行った。
CLUB RH9とは?
「CLUB RH9」は、“Record Holder”の頭文字に加え、スカイラインGT-Rにおけるゼロヨン9秒の記録にこだわることに由来する。2003年10月の設立以来、活動期間はすでに20年以上となる。また「株式会社 CLUB RH9」としても法人登記されており、2024年11月現在、北は北海道から南は鹿児島県まで、国内38店舗・35社が加盟している。
さらに、CLUB RH9の活動の一環として、R35GT-Rや 通称「第2世代スカイラインGT-R」に搭載されるRB26型DETTエンジンおよびトヨタ 86/スバル BRZ用などのオリジナルパーツの開発・販売にも力を入れている。
CLUB RH9デモカー・R35クラスに採用されたTOYO TIRES「PROXES R888R D」
今回の走行会が「TOYO TIRES presents CLUB RH9 鈴鹿サーキット走行会」と銘打ってあるように、RH9デモカー・R35クラスのすべてのクルマには、TOYO TIRES「PROXES R888R D」が装着されており、ワンメイクタイヤでのタイムアタックとなった。
エントリーとしたR35GT-Rは計15台。タイムアタックはグループA/Bの2グループに分けられ行われた。エントリーしたチューナー/ショップおよびプロドライバーは以下のとおりだ(2024年11月29日時点/敬称略)。
それまでは別メーカーのタイヤが装着され、銘柄が統一されていなかっただけでなく、いわゆるドラッグレース用のものが使用されていた。それでは市販ラジアルタイヤを装着するユーザーに向けたフィードバックが限られてしまうという理由から、CLUB RH9グループ内で「PROXES R888R D」で統一することが決定した。
※CLUB RH9メンバーの各ショップおよびチューナーでは、「PROXES R888R D」をリーズナブルな価格で入手できるという。タイヤ選びに迷っているユーザーにとっても朗報といえる。
単なる「横のつながり」だけでは意思統一が難しいケースもあるが、CLUB RH9というフィルターを介することで、足並みがそろいやすくなった利点もあるだろう。
■CLUB RH9デモカー・R35クラス(グループA)
・フェニックスパワー(1):堤 優威
・ウエストスポーツ:山田英二
・エンドレス:佐藤公哉
・ラッシュファクトリー:柴田優作
・グローバルオート(2):藤波清斗
・ロードアンドスカイ:前嶋秀司
・リバーテック:佐々木雅弘
・ピットロードMマシンファクトリー(1):阪口良平
■CLUB RH9デモカー・R35クラス(グループB)
・フェニックスパワー(2):松井孝充
・ウイングタケオ:藤波清斗
・TMワークス:山田英二
・PRO SHOP SCREEN:佐々木雅弘
・プライムガレージ:柴田優作
・グローバルオート(1):堤 優威
・ピットロードMマシンファクトリー(2):阪口良平
R35GT-Rデモカーによるタイムアタックは午前と午後1周ずつというシビアさ
TOYO TIRES「PROXES R888R D」ワンメイクタイヤとなった、CLUB RH9に所属する各チューナー/ショップが手掛けたR35GT-Rデモカーによるタイムアタック。2024年11月20日に開催された筑波サーキットTC2000におけるタイムアタックバトルが第1回目であり、今回が2回目となる。
CLUB RH9デモカー・R35クラスのタイムアタックは、午前と午後、それぞれ10分と限られている。つまり、タイムアタックは事実上、午前と午後1周ずつ、計2周しかチャンスがないことを意味する。
ピットからコースインし、ウォームアップ走行を終えたR35GT-Rのタイムアタックがスタートすると、ピット内のモニターを食い入るように見つめる関係者たち。各チューナー/ショップ関係者やトーヨータイヤのスタッフたちもモニターを見つめる。
わずか1周のタイムアタックを終えてピットに戻ってくるR35GT-R。すぐさまスタッフが駆け寄り、各部の状態をチェックする。
ワンメイクタイヤに採用されたTOYO TIRES「PROXES R888R D」とは?
今回が2回目となる「PROXES R888R D」ワンメイクタイヤによるタイムアタック。TOYO TIRES プロクセス担当マネージャーである城島氏に話を伺うと、品名の”D”はDriftに由来しているが、いわゆる”Sタイヤ”ではなく、競技用の特性に沿ったスペシャルコンパウンドを採用したラジアルタイヤに位置づけられていると語る。
サーキットまで自走し、スポーツ走行を楽しんだあとにそのまま帰宅可能であり、その後も街乗りとして使用可能とのことだ。また、D1GPをはじめとするドリフト競技で鍛えられたタイヤでありながら、R35GT-Rに求められる縦方向のグリップにも性能を発揮するそうだ。
トレッドパターンにもこだわり、特徴的な左右非対称パターンを採用。アウト側の大ブロックエリアがコーナリング性の向上と横方向のグリップに寄与する。また、タイヤセンターのワイドリブが安定したステアリングレスポンスを実現。さらにイン側のハイグリップコンパウンドが優れたコーナリング特性や、サーキット走行時の優れたグリップに寄与しているという。見た目のカッコ良さから、JDMがブームの北米ではドレスアップアイテムとしても人気が高いそうだ。
サイズも255/40ZR17から今回R35GT-Rが装着する285/35ZR20まで用意されているので、GT-Rオーナーはもちろんのこと、トヨタ GR86やホンダ シビック タイプR(FL5)オーナー、そして若い世代のクルマ好きの方たちにもこのタイヤの魅力を知っていただきたいとのことだ。
まとめ:ワンメイクタイヤによるタイムアタックで得られたノウハウは、ユーザーへ確実にフィードバックされる
CLUB RH9デモカー・R35クラスの総合結果、トップ3は以下のとおり。
・1位:2’05.246:フェニックスパワー(1)/堤 優威選手
・2位:2’06.903:ウイングタケオ/藤波清斗選手
・3位:2’07.096:ウエストスポーツ/山田英二選手
CLUB RH9のメンバーであるチューナー/ショップがラップタイムを競い合うことで、最速タイムが更新していくメリットはおおいにある。しかし、ラップタイムの結果に注力するあまり、多くのユーザーが求めるチューニングとかけ離れた仕様になってしまっては本末転倒だ。
CLUB RH9が有するR35GT-Rのデモカーのタイヤを「PROXES R888R D」に統一して今回がまだ2レース目だ。しかも、鈴鹿サーキットのようなハイスピードコースは今回が初となる。しかもタイムアタックは午前と午後1周ずつ。各チューナー/ショップはもちろん、プロドライバーもまだまだ手探りの状態だ。
今後、このタイヤの特性を活かした開発やセッティングが熟成は進むにつれて、現時点よりさらにラップタイムを縮めることは比較的容易だろう。そしてそのノウハウはユーザーにも確実にフィードバックされ、R35GT-Rのチューニングにおけるひとつの指針となるはずだ。
CLUB RH9の各チューナー/ショップとTOYO TIRESがタッグを組み、ユーザーの立場に配慮した取り組みはまだはじまったばかり。今回のラップタイムも、チューンドR35GT-Rと「PROXES R888R D」のポテンシャルがまだ存分に発揮されておらず、今後の伸びしろに期待が高まる。2025年も、両者の活動と動向に注目していきたい。
Photo/Text:Toru Matsumura(Kizunanote)