【動画付き】初テスト 新型1シリーズ BMW 128tiを初試乗 その評価は?

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BMW 128ti: テスト、エンジン、価格、前輪駆動

265馬力のパワフルな128tiで、BMWは、VWゴルフGTIのハンターになりたいと考えている。

BMWからGTI?BMWは、ホットハッチの仲間入りを目論んでいる。そして、そのために前輪駆動の128tiを発売した。これはそのニュルブルクリンクサーキットでのファーストドライブインプレッションである。

BMW 1シリーズとドライビングプレジャー?

残念ながら新世代では、少なくとも現行のM135iでのテストではそうではなかった。
少し時間を遡ってみよう。
2019年初頭、ミュンヘンを拠点とする同社は、前輪駆動モデルにUKL2プラットフォームを採用した新型1シリーズを発表した。
BMWファンは、新しく開発された車は、ユニークなセールスポイントである後輪駆動をあきらめることができる性能を有していないのではないかという、若干の懐疑心をもって見守っていた。
そしてファンの予想通り、M135i xDriveはファンコミュニティと我々を失望させた。
ビジュアル的にはまあまあなんとか大丈夫だったが、運転の楽しさとエモーショナルな要素は、完全にゼロだった。

いいや、我々は決してポルシェやその他のスポーツモデルに惹かれているわけではない。
我々はFR時代の6気筒M135が私たちの目に涙をもたらした時のことを今でも覚えている。そしてそれはそんなに昔のことではない。
だからBMWの開発者たちは、再びテーブルを囲んで、熱い議論を始めなければならなかった。
そして、熟考の結果、GTIクラスをターゲットにした、手頃な価格でスポーティなコンパクトモデルを開発するという大胆な目的を持って、プロジェクト128tiの研究開発に着手したのだった。
数字の後に追加された「ti」は、「トゥーリスモインターナツィオナーレ(Turismo Internazionale)」の略で、かつては気骨のあるBMWの看板だった。
BMW 2002tiという素晴らしいモデルのことを思い起こしてみてほしい。
それでは、他の1シリーズと具体的にどう違うのか?
スポーティなコンパクトモデルらしく、赤のラインが随所に入っていたり、ブラックのヘッドライトや専用ホイールのデザインが施されたりしている。
開発のポイントは?
前輪駆動、スポーティなオールラウンダーシャーシ、そしてより多くのサウンドだ。

BMWは2リッターターボエンジンに依存する

そしてそのパワーユニットと駆動システムはすぐにその優れた性能を発揮した。
128tiは、M135iからよく知られている2リッターターボを搭載し、306馬力の代わりに265馬力とした。
そして四輪駆動ではなく、前輪駆動としたことによって、車重も約80kg節約できた。
8速オートマチックトランスミッションが128tiに組み込まれ、スパイスの効いたエキゾーストシステムやスポーツブレーキも備えられている。
シャシー?
ドライブに適応したステアリング、硬いサスペンションスプリング、「よりシャープな」ヨートルク配分。
さらに、トルセンリミテッドスリップデフとミシュランパイロットスポーツ4(18インチ)を追加料金なしで、利用できる。
来春から128tiはディーラーで購入できるようになる。
我々は、ニュルブルクリンクサーキットで、最初のラップとドライビング体験をすることを許可された。
ニュルブルクリンクの北コース、ノルトシュライフェをラップしている間中、我々は本当に幸せな気分に浸っていた。

ニュルブルクリンクで128tiを運転するのは本当に楽しい

退屈さは微塵もなく、シャシーはコーナーに優れて適応し、フロントアクスルはアンダーステアになることはなく、ブレーキングロックとミシュラン製タイヤはコーナーでのグリップをたっぷりと提供してくれる。
265馬力のパワーも本当に十分で、200km/hまでは1シリーズをあっという間に走らせ、250kmまでもスムーズに加速していく。
たたオートマチックトランスミッションに、もう少しだけスポーツ的精神が与えられていればよかったのにと、残念に思う。
サウンドは?
まだ十分にエモーショナルではないもの、M135よりははるかに良い。
レーストラック?
一言で表すなら本当に「走る歓び」がある。
フロントアクスルはほぼ完璧で、軽いリアのステアも問題なし。
それがライバルとなるゴルフGTIやその他のモデルに対して最終的に十分であるかどうかは、今後おこなわれるであろう、直接の比較テストが教えてくれるだろう。
価格は?
BMWは言うまでもなくプレミアムなクルマだ。
そのため128tiも40,000ユーロ(約500万円)強と、とても悩ましい価格だ。

128tiは、ノルトシュライフェ(ニュル北コース)でも優れた走りを見せた。
ボディの角には偽装テープが貼られ、エンブレムは隠されて、左側の排気管には蓋がされている。

テクニカルデータ: BMW 128ti
● エンジン: 4気筒ターボ ● 排気量: 1998cc ● 最高出力: 265PS@4750~6500pm ● 最大トルク: 400Nm@1750~4500rpm ● 駆動方式: 前輪駆動、8速AT ● 最高速度: 250km/h ● 0-100km/h加速: 6.2秒 ● 全長×全幅×全高: 4319×1799×1434mm • 乾燥重量: 1520kg • ラゲッジコンパートメント容量: 380~1200リットル ● 価格: 約41,000ユーロ(約512万円)

結論:
前輪駆動とBMWは本当に楽しい。
前輪駆動はコーナーをうまく回るし、265馬力は完全に十分だし、音もまあまあだ。
ただ、見た目とギアシステムはもう少しスポーティであってもよかったかもしれない。
AUTO BILDテストスコア: 2-

言うまでもなくFFとなった1シリーズは、これは言ってみればフォルクスワーゲンゴルフGTIのコンペティターとなるクルマといえる。
いつの時代もVWゴルフは、すべてのFFハッチバックモデルの基準となる車で、GTIも長年その基準役となってきた一台だ。
だが今回のVWゴルフ8は完成度の上で、どうもいまいち芳しいインプレッションを読んだ記憶がなく、VWゴルフ7のほうが完成度も熟成度も高かったというのが、今のところの評価である。

そんな土壌に登場したのがこの128tiであるわけだが、今回のレポートを読む限り、なかなかその完成度もドライバビリティも高そうで、これならばひょっとするとVWゴルフ(とGTI)の牙城を崩すことができるんじゃないか、という気持ちにもなった。
もちろん、もはや今度の1シリーズはFRじゃない、という感情論が日本だけではなく世界中のBMWファンの間には蔓延していることは重々承知だが、それでも乗って文句なければ良いのではないか、と思い始めている自分がいる。だがそのためには……もう少しだけ全体のボディデザインが格好良かったら、と残念でならない。どことなく重く鈍重に見えてしまうのは、内容を考えるとなんとももったいないではないか。
まだ日本にはVWゴルフ8もやってきていないが、一度直接乗り比べてみたい二台であることは間違いない。

Text: Guido Naumann
加筆:大林晃平
Photo: BMW Group