グループPSA、新しいモジュラー構造のマルチエネルギー対応プラットフォーム発表
2020年10月11日
グループPSA、新しいモジュラー構造のマルチエネルギー対応プラットフォーム、CMP(Common Modular Platform)を発表した。CMPは、グループPSAをカバーする、まったく新しいモジュラー構造のマルチエネルギー対応プラットフォームだ。
グループPSAのストラテジーにそって開発された、R&Dコストと製造プロセスの効率化および動力源の多様化に対応し、さらなるレベルアップを狙った完全新規設計プラットフォームだ。次世代B、CセグメントのすべてのPSA車輌をカバーし、2018年発表のDS 3 CROSSBACKから採用された。
2019年から電動化パワートレインの市販を行うことをすでに発表しているグループPSAとしては、これらのプラットフォームは、EMP2(プジョー308、SUV 3008、SUV 5008、シトロエン グランドC4スペースツアラー、C5エアクロスSUV、DSオートモビルDS 7クロスバック)を、このCMPが担うことになる。
今後、特にシティカーに属す中核モデルはすべて、このCMPが用いられることになる。また、100%電動パワートレインにも対応し、これをeCMPと称する。2021年までにグループPSAは7モデル の電動化車輌を、eCMPをベースに開発する予定だ。
Cセグメント、Dセグメントの車体には、EMP2プラットフォームを使い、こちらはガソリ ン、ディーゼル、そしてガソリンエンジンのプラグインハイブリッド(PHEV)対応となる。
結果として、電動化戦略においてPSAはBセグメントと一部のCセグメントではフルEV (CMP)、Cセグメント、Dセグメント以上ではフロントモーターもしくはリアモーター 4×4のPHEV(EMP2)となるのが基本となる。この2つのプラットフォームによって世界中のあらゆる国、地域のあらゆるカスタマーに、内燃機関、プラグインハイブリッド、フルEVのあらゆる選択肢を提供できることになる。
2025年までにはグループPSAのすべてのモデルがなんらかの電動化パワートレインになる予定だ。
CMPの特長
1 モジュラー構造
コンパクトなシティカー(Bセグメント)およびエントリーレベルとミッドレンジのサルーン、SUV(Cセグメント)をカバー。プジョー、シトロエン、DSオートモビル、オペル、ヴォクソールのグループPSAが持つ5ブランドすべてが使用する。
特筆すべき多様性として以下を任意に組み合わせることができる。
・2つのトレッド
・3つのホイールベース
・3つのリアモジュール
・複数のホイール径
2 マルチエナジー
CMPはICE(内燃機関)仕様とEV仕様の混流生産を可能にしている。
これによりカスタマーの要望の変化、そしてICE仕様とEV仕様の販売比率に柔軟に対応した生産ができる。
CMPによる最初のフルEVモデルは、日本で今年7月に発売開始された、DS 3クロスバックE-テンスだ。
CMPは、また、設計段階からCO2削減を念頭においている。
3 パワフルかつスマート
より上級セグメントのもの利点をコンパクトクラスにもCMPは、グループPSAの顧客に、運用面で多くのメリットを提供できる。
■コンフォート性能の向上
音響面での快適性を大幅に向上させました。効率的なノイズの遮断と調音をボディの段階から行っている。車軸周りに起因するバイブレーションを、構造とフロアのアクリル系素材により軽減している。より効果的なクーリングシステムと、空調システムにより室内環境の快適性を向上させている。
■レベル2運転支援システム
すでにDS 7クロスバックで実現している先進運転支援システムを導入。ハイウェイインテグレーテッドアシスト(HIA):ストップ&ゴー機能付きアダプティブク ルーズコントロール(ACC)にレーンポジショニングアシスト(LPA)を統合。車輌の速度 管理と車線管理を行う。第四世代シティパーク 速度、ブレーキ、ステアリング操作のすべてを支援する。
■ビルドクオリティと信頼性の担保
パフォーマンスと、運用時のクオリティおよび耐久性に関して、少なくとも3年間は新車の状態を維持できるよう、今まで以上に留意して車輌の開発をしている。
■妥協なきレベルの安全性能
私たちの主要マーケットにおけるコンシューマーテスト(ユーロNCAP、チャイナNCAP)で 5つ星の獲得を目標に以下の機能を備えている。
自動緊急ブレーキ:歩行者および自転車保護のためのブレーキシステムは、これまで以上に 都市部で光量の少ない状況でも作動。
レーンキープアシスト:道路の縁の部分も認識
ブラインドスポットセンサー:フロント、サイド、リアの近接センサー
速度制限標識センサー:道路標識を認識し制限速度をドライバーに表示し、また速度調整を行う。
事故後のブレーキキープ:万が一の衝突時には、不用意に車輌が動かないようにブレーキ力を自動的に保持する。
4 グローバル
今後2年以内でグループPSAの世界中の製造工場で生産を開始する予定。
この新プラットフォーム、CMPは2018年12月に生産を開始した。また、2年以内に世界中のグループPSA工場で生産ができるようになる。
プラットフォームについて
ここで言うプラットフォームはモジュラー構造の車輌のベースとなるものであり、新型車輌のコンセプトと設計、製造の中核となるものだ。パワートレインを含むプラットフォームで車輌の製造原価の40%を占める。ボディスタイルを問わず下記のものを含んでいる。
・アンダーボディ
・サスペンションシステム
・パワートレイン
・基本的な電装システム一式
このCMPひとつで、グループPSAは複数のセグメントの多様なバリエーションのボディスタイルの車輌を、世界各地のマーケットに合わせて開発することが可能になる。
まったく新しいCMPによって、各モデルの多様性を維持し、生産開始までのリードタイムを短縮し、製造設備と工場の製造キャパシティの最適化を実現する。
主要なアドバンテージは以下の通りだ。
・時代に求められる基本性能における競争力の担保
・設計および生産段階の効率化と知見の集中
・開発スケジュールの短縮
・異なるマーケットにおける製品ラインナップの多様性の確保
・量産効果のさらなる向上
Text & Photo: グループPSA