「2024 SUPER GT Rd.8 MOTEGI GT 300km レース」au TOM’S GR Supraの坪井、山下組が気迫の走りでシリーズチャンピオンに王手!!!
2024年11月18日
栃木県のモビリティリゾートもてぎ(1周4,801m×63周)で AUTOBACS SUPER GT Rd.8 SUPER GT Rd.8 MOTEGI GT 300km レースが11月3日(日)に行われた。
予選が行われた土曜日は雨にも関わらず12,300人が来場、決勝の日曜日には30,000人ものファンが来場して、SUPER GTの人気の高さを改めて感じることができた。
実はRd.6の宮城県のスポーツランドSUGOとRd.7の大分県のオートポリスが雨だった。そして第8戦も土曜日の予選が雨に悩まされ、午前に行われたフリー走行では各所でスピンやコースアウトするマシンが続出、途中から雨脚が強まり中断、そのままキャンセルとなってしまった。午後になっても雨は上がらず、キャンセルも心配されたが、ウェット路面の難しいコンディションの中、両クラス共Q 1,Q2合算タイムで順位が決められた。
GT500クラス
GT500クラスはウェット路面を得意とするダンロップタイヤを履くNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)が今季初のポールポジション(予選1位)を獲得。トップスタートを決めた。
決勝日は前日の雨がウソの様な快晴となり、レース日和となった。レーススタート前には栃木県警の白バイ、各車国産スポーツカーのパトカー先導によるパレードラップが行われた後、レーススタートとなった。
スタートでトップに立ったのはポールポジションスタートのNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT、続いてNo.8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8、No.36 au TOM’S GR Supra3と上位は予選順位のままでオープニングラップを終える。
そしてスタートダッシュを決めたNo.64はブリヂストンタイヤを履く2位以下の各車を引き離しに掛かる。7LAP目にGT300クラスの車両がマシントラブルによりストップした為、フルコースイエロー(FCY)となるが、翌周にはレース再開となる。そしてその直後、トップを走るNo.64をNo.8が強引にパスしてトップに立った。
その後、9LAP目にGT300クラスのマシンのリアタイヤが外れマシンがコースアウトし再度FCYとなり、安全にそのマシンをコース上から撤去するまで全車速度を落としながらの走行となる。そして、オフィシャルの迅速な作業で車両が撤去され、すぐ様レース再開となり一斉にレーシングスピードに戻るのだが、トップのNo.8がスタートダッシュに失敗。3位まで後退する。No.64がトップに返り咲くも、ポイントリーダーで3位を走っていたNo.36がNo.64をパスしトップに立つ。
No.36は順調に後続を引き離しに掛かり、完璧なストーリーの始まりかと感じさせられる程の走りを展開。12LAP目、ランキング2位であり8番手スタートだったNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraが何と突然のエンジントラブルでピットイン。頭からガレージ内に入りリタイアを喫す。
その後3番手に浮上したNo.38も17周目にNo.64を捕らえて2番手に浮上するが、トップを走るNo.36との差を詰めることができない。すると、21LAP目にはNo.64を捕らえて3番手まで順位を戻したペースの良いNo.8がNo.38の背後に迫ってきた。
今回のレースは1回の給油義務があり、1/3の周回が過ぎた22LAP目には、その時点で2位のNo.38、3位No.8の他、続々とピットに入る。また23LAP目には3位を走っていたNo.64やランキング3位だったNo,100STANLEY CIVIC TYPE R-GTもピットインを行った。そのNO.100のピット作業が早く、実質6位までポジションを上げる事に成功した。
トップを走るNo.36は24LAP目にピットインをするが、3番手を走行中のNo.64は何と12位まで後退してしまう。ピットインの作業はタイヤ交換だけではなく、時間を食う給油がある。給油の時間を稼ぐ為に序盤に燃費走行をして使用する燃料を少なくすることでピットで給油する量を減らす作戦がある。それによって順位を上げることができるのだ。
特にこのモビリティーリゾートもてぎはパッシングポイントが少ないサーキットであり、レース中に前車を追い越す事が難しいサーキットであるため、予選順位が非常に大事であると同時に、ピット作業の時間をいかに短縮するかがレースの結果を左右するのだ。
その後、またもやトヨタ勢のNo.19 WedsSport ADVAN GR Supraが突然のピットイン。No.37と同じエンジントラブルなのかガレージに頭から入り、リタイアとなった。その後の上位はこう着状態が続いていたが、45LAP目に#14ENEOS X PRIME GR Supraが6位を走っていたNo.100を抜きポジションアップする。
53LAP目にはNo.8がNo.38をパスする事に成功し2位に上がって来た。その後方ではNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GTがNo.3 Niterra MOTUL Zとの接触により、ダメージを受けたNo.17はレースを終えた。No.14ENEOS X PRIME GR Supraもリタイアとなった。
残り10LAPくらいから3位争いのNo.38と背後から迫ってきたNo.16ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTとの攻防が繰り広げられていたがNo.38がこの戦いを制し、3位フィニッシュに成功した。トップを快走していたNo.36は2番手に20秒以上の大差をつけて余裕のフィニッシュを決め、今季2勝目をものにして、ドライバーズチャンピオン獲得にむけ大きな勝利となった。2位はNo,38を53LAP目にパスする事に成功したNo.8が入った。
GT300クラス
GT300クラスはポールポジションスタートのNo.31 apr LC500h GT、No.7 Studie BMW M4、No.65 LEON PYRAMID AMG、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORTと続き、レース序盤から各所で熱いバトルが繰り広げられる。
前戦優勝のNo.88VENTENY Lamborghini GT3は何と後方の17位からのスタート。どこまで順位を上がるかが見ものであった。6LAPにはNo.11 GAINER TANAX Zがメインストレートで電気系統のトラブルかストップしFCYとなり、その解除後今度はNo.25 HOPPY Schatz GR Supra GTのタイヤがコース上で外れてストップし、またもやFCYとなる。
そして注目のNo.88だが、17位スタートから強烈なペースで追い上げをして、何と10周で6番手にまで追い上げる、その後、3番手争いをしていた4台の背後に着く。一方、こちらも注目の16番手スタートでランキング2位であったNo.2muta Racing GR86 GTだが、前車に詰まっていたか19LAP目早々とピットインして、得意のタイヤ無交換作戦に出た。そして翌周の20LAP目には、トップを走るNo.31とNo.65もピットイン。何と2台ともタイヤ無交換作戦に出た。
そしてNo.88は序盤に走っていた元嶋の判断でリアタイヤのみの交換の戦略に出る。その後トップを走るNo.31の背後に迫りオーバーテイクに成功しトップに浮上した。No.31はNo.65が背後に迫り、その後方にはNo.18 UPGARAGE NSX GT3も迫ってきた。
その後、8番手を争っていたNo.61が前戦、ブレーキトラブルでクラッシュをし、今回はブレーキを万全の体制で持ち込んで来たと言われていたが映像を見る限りまたもやブレーキトラブルなのか1コーナーでコースアウトをしてしまい、マシン回収の為に3回目のFCYが導入された。なおこのサーキットはブレーキに負担が掛かるサーキットだと聞く。
その後、FCYが解除されるも31号車はタイヤ無交換作戦が裏目に出たか、ペースが上がらず苦しくなり後続にパスされてしまった上にGT500のバトルに絡まれコースアウトしてしまった。
トップに躍り出てから快走していたNo.88 VENTENY Lamborghini GT3は、結局こちらも2番手に20秒ほどのマージンを保ちこのままチェッカーを受け、前戦オートポリスから連勝と何と今季3勝目を飾る事になった。2位はNo.65 LEON PYRAMID AMGが入りドライバーランキング首位をキープ。3位にはNo.18 UPGARAGE NSX GT3が入り、今季初表彰台を獲得した。ドライバーズランキング2位だったNo.2 muta Racing GR86 GTはその後もペースが上がらず残念ながら13位。ドラーバーズランキングは3位に後退となった。
今季の最終戦は9月に行われる予定だったRd.5鈴鹿が延期となり12/7に予選、 12/8に300kmレースとして決勝が行われる。
現段階のGT500クラスのドライバーズポイントランキングのトップは、74Pで昨シーズンの王者No.36au TOM’S GR Supra坪井、山下組。2位は56PでNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 山本、牧野組。3位は52PでNo.38 KeePer CERUMO GR Supra 石浦、大湯組。そして4位の51P Deloitte TOM’S GR Supra 笹原、アレジ組まではドライバーズチャンピオン獲得の可能性がある。
果たして昨シーズンの王者が再度タイトルを獲得するのか、それとも大逆転のドラマが待っているのか目が離せない。
GT300クラスは、84PでNo.65 LEON PYRAMID AMG 蒲生、篠原組がトップ。2位は73Pで今回優勝のNo.88 VENTENY Lamborghini GT3 小暮、本嶋組。そして3位64PのNo.2 muta Racing GR86 GT 堤、平良組までがドライバーズチャンピオン獲得の可能性がある。
いよいよ今シーズンも残り1戦だ。果たしてどんなドラマが待っているのか。誰もが予想できない展開の最終戦を是非とも直接サーキットに足を運んで、レースを観て欲しい。
Photo/Text:Hisao Sakakibara
【筆者の紹介】
Hisao sakakibara
モータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。