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【新着情報】初テスト VWからのフルEVモデル ID.3の実力とその評価は?

2020年9月20日

VW ID.3 1st Max(2020): test, price, range

VW ID.3、ファーストテスト。我々は価格から、より多くのものを期待していた。しかしVW ID.3は、テストで我々を完全に納得させることはできなかった。電気自動車には、2つの分野で弱点がある。

VW ID.3の最初のテスト。
その大きな質問は?
電動VWは良い車なのだろうかということだ?

ID.3はうまく走り始める。
基本的にすべてのID.3は、なんてことのない、19インチで215の省エネタイヤをはいているが、このことでVWを非難することはない。
しっかりと路面に着いていて、しっかりと反応するからだ。
そのステアリングは安全かつ正確にコースを維持するのに役立っている。
後輪駆動と効果的な重量配分により、重心は低く、完全にバランスが取れているし、急カーブでも問題なく、ちゃんとコーナリングをこなす。

誇り高き1.8トンという車量は、電動機の最大ルク(310Nm)でうまく隠している。

運転した印象はポジティブなものだ

そしてESPが慎重に確実に作動して安定方向に車を持っていくし、効きの良いブレーキと、トップスピードでもきれいな直線を描くことで、好印象を与える。
1.8トンという堂々たる車重でも、電動スロットルによって、ID.3の204馬力は、心地よく自発的で、活気があり、どんな路面でもほとんど苦労しない。

航続距離は達成可能

しかしフルパワーや最大加速走行は、バッテリーを短時間で消耗させる。
ID.3を慎重に運転すれば、ID.3はVWが約束した344キロの航続距離という値を達成するが、普通はこの消費値を達成することはできない。
またバッテリーを充電スタンドで充填するための充電プロセスでも6時間から6時間半もかかってしまうし、家庭の電気では、丸一日以上の時間が失われる。

ID.3は高額な割に提供されるものが少なすぎる

ID.3は、本当は、フォルクスワーゲンのはずだが、そこからは遠くかけ離れている。ID.3は高価だからだ。
我々のテストカーには、48,734ユーロ(約618万円)の価格が付いている。
インテリアには、表面にハードプラスチックがたくさん使われていて、愛情を込めて縫われた布製カバーがシートバックの背面を覆っているにもかかわらず…。
加えて、ID.3は、追加の10,000ユーロ(約127万円)を払ってのみ、絶対的に安全となる。
なぜなら、エマージェンシーアシストや車線変更支援などのアシストが充実しているのは、最上位の「マックス」装備との組み合わせでしか使えないからだ。
さらに、ヒートポンプ(寒冷地での安定した航続距離のため)は標準装備されておらず、良好な横方向サポートと効果的な背もたれサポートを備えた素晴らしいエルゴアクティブシートもオプションである。

ID.3がそれでも我々からテストスコア「2+」を与える理由は、ID.3には(ドイツでは、だが)国の補助金(ほぼ10,000ユーロ=約127万円)により、価格は(まあ、一応)妥当な範囲内となるからだ。

うーん結構しょっぱい評価だなあ、というのがレポートを読んだ正直な感想で、意外とドイツの人たちであっても、自国のフォルクスワーゲンに辛口コメントするんだなあ、と思った次第である。
いよいよフォルクスワーゲンが満を持して発表したID.3とあっては、かなりの高性能で、今までの他の電気自動車がどこかに霞んでしまうほどのものEVなのではないか、という淡い期待は裏切られてしまった?ようだ。
とはいっても、それは仕方のない話で、バッテリーとかモーターなどに革新的技術のブレークスルーが生まれない限り、それほどの圧倒的な差が突然変異的に生まれることはあり得ないのだろう。また辛口の評価になった理由のひとつが価格であることは言うまでもなく、600万円以上という価格を、ゴルフのような形のEVに支払うのにはやはりかなりの根性と、踏ん切りが必要だろう(それだけの費用があれば、フォルクスワーゲン ゴルフGTI と普通のUP!が購入できるのだから)。
さらにインスツルメンツパネルやメーターなどの内装に関しても、いささか中途半端に未来的で、あまり質感が高くなさそうなのが気になる。そんな部分も600万円カーとしては今一つ認められないが故の厳しい評価だったのではあるまいか。
もちろんフォルクスワーゲンだってそんなことはよくわかっているはずだし、まだ最初の1台だから、本気の本気はこれからだとも予想される。ID.3はデザインが未来的でなかなか魅力的だし、ぜひこのラインを保ったままEVの今後につなげてほしいと思う。

Text: Jan Horn, Mirko Menke
加筆:大林晃平
Photo: Tom Salt / AUTO BILD