「2024 SUPER GT 第6戦 SUGO GT 300km RACE」荒れたコンディションを制したDeloitte TOM’S GR Supraが14番手スタートから大逆転勝利を果たす!!
2024年9月28日
2024 AUTOBACS SUPER GT 第6戦「SUGO GT 30km RACE」の決勝レースが、9月22日にスポーツランドSUGO(1周3,586m×84周)で行われた。第5戦のSUZUKAが台風10号の影響により12月に延期となり約1ヶ月半ぶりのレースとなった。
第6戦の予選(9/21)も朝から生憎の雨模様が続き、午前中に開催されたフリー走行はハイドロプレーニング現象によるクラッシュが多発し、赤旗中断も度々発生した。さらに雨脚が強くなり、予選は危険と判断されキャンセルされてしまった。レギュレーションにより、午前の公式練習の各車ベストタイムをもってスターティンググリッド順が決定する事になった。
決勝当日も朝から前日同様雨が降り続いていたが、天候が回復する状況を踏まえ、スタート時刻を約1時間遅らせて午後2時過ぎにセーフティカー先導でスタートして、3周後の4周目でレースがスタートした。
その時点で予報通り雨は霧雨程度となっており路面はウェット。GT500は、15台全車がウェットタイヤを装着してスタートする。先頭を切った#38 KeePer CERUMO GR Supraはスタート直後からペースを上げて後続との差を広げに掛かった。その後方では4番手スタートの現段階でのポイントリーダーの#36 au TOM’S GR Supraが、先行する2台をパス。4周目に一旦は先行を許した#12 MARELLI IMPUL Zも5周目でパスして2番手に浮上する。その後、#36号車はトップを走る#38を猛追し、遂に16周目にトップに躍り出た。
一方、14番手からスタートした#37 Deloitte TOM’S GR Supraは水を得た魚の様にハイペースで追い上げ、13周目に10番手、17周目に7番手、22周目に6番手、24周目にはなんと4番手まで順位を上げてきた。その後26周目に入ったところでGT300同士の接触によるアクシデントで再びセーフティカーが導入された。
レースが32周目に再開となると、#37は先行車を抜き去り3番手まで浮上、37周目には#14とトップを走る#36を抜き去りついにトップに躍り出た。
トップを走る#37はリードを広げ快走を続ける。その後GT300車両がレインボーコーナーでコースを飛び出した42周目に即座に対応してピットイン。路面がほぼドライ路面となっているのを見てスリックタイヤに履き替え、ドライバーも笹原からジュリアーノ・アレジにチェンジして、実質トップのままコースイン。
その直後にコース上ではフルコースイエローが宣言され、44周目にはこの日3度目のセーフティカーランとなる。レースは50周目から再開となり#37は素晴らしいペースで後続を引き離しにかかる。そのままリードを広げ、2位との差を20秒程を保ち続け、第3戦の鈴鹿以来の今季2勝目を挙げた。
2位は#38 KeePer CERUMO GR Supraで、一時は10番手まで後退したものの、後半を担当した大湯都史樹の激しい追い上げで順位を挽回。58周目に2番手まで復帰し素晴らしい活躍を見せてくれた。3位はNissan Z NISMO GT500勢最上位の#12 MARELLI IMPUL Zが粘りの走りで表彰台獲得となった。
ドライバーランキングではポイントリーダーの#36がこのレースで4位となり、坪井/山下組が49ポイントと首位をキープ。今回優勝した#37号車の笹原/アレジ組は48ポイントと大きく増やして、坪井組に僅か1ポイント差まで詰め寄り、僅差でTOM’Sのワンツーに。3位は43ポイントの100号車の山本/牧野組になった。
GT500ポイント圏内リザルト
1位 #37 Deloitte TOM’S GR Supra 笹原 右京 / G.アレジ
2位 #38 KeePer CERUMO GR Supra 石浦 宏明 / 大湯 都史樹
3位 #12 MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴 / B.バゲット
4位 #36 au TOM’S GR Supra 坪井 翔 / 山下 健太
5位 #100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 山本 尚貴 / 牧野 任祐
6位 #3 Niterra MOTUL Z 高星 明誠 / 三宅 淳詞
7位 #17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 塚越 広大 / 太田 格之進
8位 #19 WedsSport ADVAN GR Supra 国本 雄資 / 阪口 晴南
9位 #14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也 / 福住 仁嶺
10位 #16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 大津 弘樹 / 佐藤 蓮
リル・ワドゥーが女性ドライバー最高位の2位を記録
GT300はGT500のように全車ウエットタイヤスタートではなく、16番手スタートの#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)と19番手スタートの#4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)がスリック(ドライ路面用)タイヤを履く作戦をとった。
トップスタートの#20 シェイドレーシング GR86 GTの後ろには、2番手スタートの#61 SUBARU BRZ R&D SPORTと#777 D’station Vantage GT3が背後に迫る。その後方4、5番手スタートの#7 Studie BMW M4、#45 PONOS FERRARI 296が2番手争いに加わり、GT500時代でも定評であったミシュランのウェットタイヤの性能を生かし徐々にポジションアップ。2、3番手に上がった#45、#7がトップに迫る。
ペースが上がらずトップを走る#20も実はミシュランタイヤなのだが、#45と#7号車に抜かれてトップから陥落。しばらく3番手をキープしていたが、なんと右後輪が脱落してしまう。3輪のままピットに戻ることは出来たが損傷が激しくこのままレースを終えてしまう。
さらに#25HOPPY Schatz GR Supra GT、#96 K-tunes RC F GT3、#11 GAINER TANAX Zが絡むアクシデントが発生。#25がコース脇に止まったため、セーフティカーが導入されることになった。
レースも中盤に差しかかり各車続々とピットイン。そのピットインで路面状況を踏まえ各車スリックタイヤに履き替えピットアウトしたが、#11は冷えたタイヤでスリップしコースアウトしてクラッシュ。コース脇でマシンが自力で動けなくなり、その直後に二度目のセーフティカーランとなった。その状況を見て上位陣も一気にピットに向かいスリックタイヤに交換。
レース再開後トップを走っていた#45はピットアウト後もトップを守っていたが、その背後には早めのピットインを済ます作戦で順位を上げていた#65 LEON PYRAMID AMGが接近。女性ドライバーである#45のワドゥーは海外GTレースでの実績も十分で、抜きにかかる#65の篠原を巧みに抑えていたが68周目の1コーナーで抜かれてしまい、15番手スタートからスタートした#65が見事トップに躍り出た。
その後、#65は#45とのギャップを広げて見事Rd.4の富士に続きトップでゴール。またドライバーランキングでも、今大会を8位で終えた#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)を抜いてトップに躍り出た。
2位は#45PONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/リル・ワドゥー)で、チームにとって初の表彰台獲得となった。合わせて、1995年のJGTC以来となる女性ドライバーの最高位2位を記録した。そして、#7 Studie BMW M4とのバトルを制した#777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が3位でフィニッシュした。
GT300ポイント圏内リザルト
1位 #65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥 / 篠原 拓朗
2位 #45 PONOS FERRARI 296 K.コッツォリーノ / リル・ワドゥー
3位 #777 D’station Vantage GT3 藤井 誠暢 / C.ファグ
4位 #7 Studie BMW M4 荒 聖治 / N.クルッテン
5位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人 / 山内 英輝
6位 #31 apr LC500h GT 小高 一斗 / 中村 仁
7位 #87 METALIVE S Lamborghini GT3 松浦 孝亮 / 坂口 夏月
8位 #2 muta Racing GR86 GT 堤 優威 / 平良 響
9位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹 / 河野 駿佑
10位#88 VENTENY Lamborghini GT3 小暮 卓史 / 元嶋 佑弥
次戦のSUPER GT第7戦は大分県のオートポリスにて10/20〜21に3時間レースとして開催される。
いよいよ今シーズンも残り3戦となり、随所で白熱したバトルが見られるはず。誰も予想できない展開が続くこのSUPER GT。是非とも生でこの素晴らしいレースを観に来て欲しい。
Photo/Text:Hisao Sakakibara