【面白ネタ】オリジナルなままのフォード マスタング シェルビーGT500 “エレノア”

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Classic of the Day: フォード マスタング “エレノア”

Photo: Christian Herb

2000年、フォード マスタング シェルビーGT500がアクションムービー、「Gone in Sixty Seconds(邦題=60セカンズ)」の大画面を駆け抜けた。その”エレノア”が今日の主役だ。

超高級車窃盗のエキスパート、”メンフィス” レインズ(ニコラス ケイジ)が2000年の大ヒット作「60セカンズ」で、コードネーム”エレノア”のシルバーグレーのフォード マスタング シェルビーGT500を盗んだ時、世界中の自動車映画ファンが息を飲んだ。 果たしてこの盗難はうまくいくだろうか? レインズは弟の命を救えるだろうか? そして何よりも、素晴らしく美しいマスタングに何かが起こるのだろうか?と。

Photo: Roman Raetzke

シンプルな筋書き、素晴らしい車

「残りわずか60秒」という言葉から筋書きがすぐにわかる。”メンフィス”と呼ばれるランドール レインズは、天才自動車泥棒だったが、すでに一戦からは身を引いていた。彼の弟、キップがランドールへの対抗心から、窃盗団からの大規模な依頼を引き受けたが失敗し、ランドールは引退から復帰しなければならなくなった。ギャングのボスであるレイモンド カリートリーが、ランドールに、仕事に失敗した弟の命と引き換えに4日以内に50台の超高級車の盗難を命じたからだ。そこでやむなくランドールは、元恋人のスウェイ(アンジェリーナ ジョリー)を含む、元の仲間を呼び集めてチームを復活させ、一晩で49台の超高級車を盗んだ。その中には、アストンマーティンDB4、フェラーリ275 GTB4、ジャガーXJ220、メルセデスSL 600、ポルシェ959が含まれていた。その1台1台には、警察から窃盗部隊の活動を隠すために、コードネームとして女性の名前が付いていた。そして最後の1台の車番号47のコードネームは”エレノア”、フォード マスタング シェルビーGT500で、これこそメンフィスの「憧れのクルマ」だった。そしてその1台を手に入れた瞬間から、キャッスルベック刑事との壮絶なカーチェイスが始まる。

Photo: Roman Raetzke
Photo: Roman Raetzke

“エレノア”はアイコンとなった

世界中の自動車ファンは、ユニークなマスタングにたちまち魅了された。”エレノア”は、博物館の展示車でも、ひどくチューニングされたレトロクラシックでもない。「60セカンズ」のプロデューサーは、デザイナーのスティーブ スタンフォードにデザインを依頼し、有名なホットロッド職人のチップ フーズに仕上げを依頼したのだった。シネマビークルサービス社は、1967年フォード マスタングをベースに”エレノア”を作り上げた。シェルビーGT500にインスパイアされたハンドメイドホイール、追加のヘッドライト、有名な「ペッパーグレーメタリック」色の塗料を使用して仕上げられた。最後にチューナーは”エレノア”に、”Go Baby Go”と書かれたシフトノブを取り付けた。

心臓部にはフォードレーシングの7リッターV8 575馬力があり、クイックフューエルのドラッグレースクワッドキャブレターが搭載されている。
Photo: Roman Raetzke
これがNOSボタンだ。
Photo: Roman Raetzke

ボンネットの下にある5.8リッターのV8には、アルミ製ヘッド、ローラーカムシャフト、インテークマニュホールドが装着された。排気システムはステンレス製で、ハーレーダビッドソンにも使われているマグナフロー製のマフラーが付いている。エンジンからのパワーは、マニュアル5速ギアボックスを介して後輪を駆動し、リアの車軸にはポジショニングの差が設けてある。サスペンションは、トタル製コントロールプロダクト。加えて、ウィルウッド製ディスクブレーキとパワーステアリングが装着されている。NOS(ナイトラス・オキサイド・システム)は偽物ではなく、ボタンを押すだけで101〜127馬力が追加できた。映画用に11台が製造され、その後に多数のレプリカが製造された。オークションハウス メキュムは、2020年1月に映画に使われたオリジナルの1台をオークションにかけた。想定落札価格は50万~60万ドル(約5,500万~6,500万円)。果たして結果は?

Photo: Roman Raetzke
Photo: Roman Raetzke

Text: Lars Hänsch-Petersen