へえこんなのもあるのか 楽しいなあキャンパーの世界って VW、シトロエン、ルノー、ニッサン、そしてトヨタまで
2020年9月11日
VWカリフォルニアとその他の候補: 手頃な価格でコンパクトなキャンピングカー6選
VWカリフォルニアに代わるおすすめの安い代替キャンパー6選!
汎用性が高くてもかなり高価なVWバス カリフォルニアは、今でも多くのキャンピングカーの中で高い人気を誇っている。そこで今回ご紹介するおすすめの代替車6選は、かなり安く購入することもできる!
VWカリフォルニアのサクセスストーリーは、1989年にT3をベースにした最初のモーターホームから始まったが、この名前を冠した最初のモーターホームは、キャンピングスペシャリストである、ウェストファリア社の製品だった。
それから3世代を経て、30年以上経った今、技術的にも光学的にも多くの変化があったものの、VWは常に基本理念を忠実に守り続けている。
しかし一つの重要なことがある
フォルクスワーゲンは、その人気のあるオールラウンダーの価格によって、ビジネス的に成功している。
その価格は47,000ユーロ(約596万円)を下回ることはない。
そして、追加料金の対象となるいくつかの余分なものでトップバージョンのカリフォルニア「オーシャンエディション」を注文した場合には、その価格は80,000ユーロ(約1,016万円)の壁を軽く突破する。
いささか驚く金額だ。
価格に敏感なキャンパーたちは、競合他社から、探しているモーターホームを見つけることができるかもしれない。
メーカーから直接購入しても、独立したキャンピングアウトフィッターから購入しても、カリフォルニアのレシピに沿って設計された、安価な代替品があり、バリエーションの点では遜色がない。
そして、それらには、すべて共通していることがある。
経済的なディーゼルエンジン、ガスコンロ付きの小さなキッチン、寝台付きのポップアップルーフ、回転式のフロントシートなどを兼ね備えていることだ。
さらに、全長が5メートル以下なので、扱いやすいのも魅力だ。
以下、フォトギャラリーでは、VWのベストセラー車に代わり得る6台の魅力的な選択肢を紹介する。
VW T 6.1カリフォルニア:
ハノーファー(VWの商用車やキャンパーの生産拠点)からのオリジナルモデルは、2019年夏のアップデートで視覚的にも技術的にも手直しされ、若干のリファインが施されているが、基本的なレイアウトはほとんど変わっていない。
全長4.90メートル、最高出力199馬力で、四輪駆動も利用可能なカリフォルニアは、左側にスライドドアが備わっていない。高いグレードのコースト(Coast)およびオーシャン(Ocean)の両バージョンは完全な簡易キッチンを備えている。これには、アルミ製の2口ガスコンロ、小さなシンク、42リットルの容量を持つコンプレッサークーラー、食器刃物類、調味料用の十分な保管スペースが含まれている。
運転席と助手席はほぼ180度回転できるので、向かい合って座ることができ、社交的に活用できる。
キャンピングバスの基本的な設備は、真水と廃水のタンク(両方とも30リットル入り)、75Ahのバッテリー、ストーブ用の2.75kgのガスボトルで構成されている。また、キャンプ用の椅子2脚と外で使うテーブルも備わっている。
ベーシックバージョンのカリフォルニア ビーチ(Beach)には通常の窓が付いているが、コーストとオーシャンの両ハイグレードバージョンは二重ガラスになっている。ビーチの場合、ポップアップルーフも手動で設置しなければならないが、2台のハイグレードバージョンでは屋根は自動で伸びる。
ルーフベッドのサイズは2×1.2メートルで、ディスクスプリング付きの快適な格子が付いている。2人乗りの後部座席を倒せば、もう1つの平らな寝床ができる。このようにして、合計4名がカリフォルニアで眠ることができるようになっている。
しかし、これらのVWキャンピングバスには、それ相当の費用がかかる。
スリム化されたベースモデルのビーチでさえ、少なくとも48,708ユーロ(約618万円)という価格だ。かなり良い装備を備えたコーストは55,952ユーロ(約710万円)だ。トップバージョンの「オーシャンエディション」VWは、少なくとも67,982ユーロ(約863万円)が必要となる。追加料金が発生するいくつかのエクストラを取り付ければ、80,000ユーロ(約1,016万円)でさえ軽く超えてしまうことになる。
Photo: Holger Karkheck / AUTO BILD
フォード ナゲット(Nugget):
2016年から販売されている全長4.97メートルのフォード トランジット カスタムの延長線上にあるのは、フォードベースのモーターホームだ。
このセグメントの常で、右側にスライドドアが備わっている。
ただし、L字型のキッチンユニットは、競合他社とは一線を画している。それは、2つの調理ゾーンを持つガスコンロ、40リットルの容量を持つコンプレッサークーラー、シンク、およびいくつかの棚が含まれている。
フォードのキャンピングカーでは、フロントシートを後ろに倒すことができるようになっている。後部には、折り畳み式のシンク、ポータブルトイレ、プライバシースクリーンなどの衛生エリアもある。
すべてのバージョンには屋外シャワーも装備されている。
基本的な技術装備は、2.8キロのガスボンベ、容量42リットルの真水と廃水のタンク、補助ヒーター、95Ahのバッテリー2本。
夜間はトリプルベンチシートとテーブルを折りたたんでダブルベッドにすることができるが、長さ1.91メートル、幅1.30メートルとかなり窮屈だ。
ポップアップルーフの寝床面は1.91×1.38メートルとわずかに大きいだけだ。
フォード ナゲットは、130馬力と185馬力の2.0リッターターボディーゼルを搭載している。そのパワーは、マニュアル6速トランスミッションまたは6速オートマチックトランスミッションのいずれかを介して、前輪に伝達される。
フォードのキャンピングカーは、それほどお買い得というわけではない。
ポップアップルーフとマニュアルトランスミッションを備えた130馬力のベースの価格は52,992ユーロ(約670万円)だ。
その代わり、ケルンをベースにしたキャンピングカーは、VWカリフォルニア6.1ビーチよりもかなり豪華な機能が標準装備されている。そして、カリフォルニア コーストと比較すると、やはりかなり安い。
Photo: Ford
ニッサンNV300ミケランジェロ:
4.99メートルという長さのニッサンのキャンピングカー、NV300は、ルノー トラフィックおよびオペル ヴィヴァーロと技術的基盤を共有している。
装備の大部分は必要に応じて取り外すことができるようになっている。
例えば、シートとテーブルを取り外せば、ラミネート加工された床材と2.35メートルの荷台長を持つニッサンは、真の荷台の巨人となる。
追加料金を払えば2つの追加シートを注文することもできる。そしてミケランジェロは6人乗りに変身する。
キッチンは頑丈そうで、31リットルのクーラー、2口ガスコンロ、そのすぐ隣に小さなステンレス製のシンクが収められている。そしてその下には4つの引き出しと実用的なローラーブラインドがある。
真水タンクは27リットル、廃水タンクはそれより2リットル小さい25リットルだ。
2.8キロのガスボトルは、キチネットの隣のクローゼットの中に収納されている。
下段のベッドの長さは2mだが、幅が1.25mしかないのでかなり狭い。GFK製のポップアップルーフで、快適なディスクスプリングの上に横たわることができる。上段ベッドも長さは2メートルだが、幅は下段より10センチほど広くなっている。
ニッサンは、2種類の2.0リッターターボディーゼルでミケランジェロを提供している。
弱いほうのバージョンは145馬力と350Nmのトルク、追加料金で、170馬力と30Nmのストロングバージョンが購入できる。それらのパワーは6速マニュアルトランスミッションかダブルクラッチのいずれかで伝達される。
NV300ミケランジェロは、約56,700ユーロ(約715万円)から開始する。決して安くはないが、キャンピングカーには豊富な標準装備が付属している。
Photo: Sven Krieger / AUTO BILD
オペル クロスキャンプ ライフ & トヨタ プロエース ヴェルソ キャンパー:
オペルのクロスキャンプ ライフは、その数ヶ月前に発表された非常に類似したトヨタ プロエース ヴェルソ キャンピングカーに続くものだ。いくつかの小さなディテールを除けば、ほとんど同じ構造を有している。
しかし、同じく4.95メートルの長さで、オペルをベースに造られたクロスキャンプは、兄弟車のトヨタより約1000ユーロ(約12万6千円)安い。
インテリアは、折り畳み式のテーブル、同様に折り畳み式の3人掛けベンチと2つの回転式のフロントシートで構成されている。
キッチンユニットは、石を基調とした内装で、2口ガスコンロとステンレスシンクを備えている。その下には小物を収納するための引き出しがいくつか備わっている。
追加料金でクーラーを注文することができる。
真水と廃水のタンクはそれぞれ10リットルの容量で、かなり小さい。
クロスキャンプ ライフは、電源に接続されていない場合、95Ahのバッテリーが搭載されている。
4つの寝床は、後部の長さ2メートル、幅1.15メートルのカウチと、ポップアップルーフの長さ1.86メートル、幅1.05メートルのベッドの2つが配置されている。
キャンピングカーは、2種類のディーゼルエンジンで利用可能だ。ベースモデルは120馬力の1.5リッターディーゼルターボ4気筒エンジン、または177馬力を提供する2.0リッターエンジンがある。
エントリー価格の41,999ユーロ(約530万円)は比較的安価だ。
Photo: Opel Automobile GmbH
ポスル(Pössl) キャンプスター:
ポスルは、キャンプスターのベースにシトロエン スペーストゥアラーを選んだ。
全長4.95メートルのオープントップバンは、オペル ザフィーラ ライフとトヨタ プロエース ヴァルソの姉妹モデルでもある。
インテリアには、左に家具が並ぶ典型的なレイアウトが選択されている。だが、キッチンモジュールは完全に取り外すことができるようになっていて、外で料理をしたり、3人掛けのベンチを設置したり、自転車を運ぶために作られたスペースを利用したりすることが可能となっている。
このクラスのキャンピングカーにはおなじみの、回転式のフロントシート、スライド式のベンチ、取り外し可能なテーブルがある。
キッチンには2つのバーナーとシンクを備えたガスコンロがある。しかしクーラーボックスは749ユーロ(約9万4千円)の追加料金がかかる。
他のモデル同様、キャンプスターには95Ahのバッテリーが搭載されている。
ベンチを折り畳むと、幅1.12メートル、長さ2.12メートルのベッドで寝ることができるようになっている。一方、ポップアップルーフでは、横になれる面は、幅1.10メートル、長さ1.90メートルになる。
エンジンは120馬力の1.5リッターディーゼルのほか、145馬力、150馬力、177馬力の2.0リッターパワーユニットも用意されている。そして全輪駆動バージョンも用意されている。
トランスミッションは6速マニュアルと8速オートマチックの2種類。
40,699ユーロ(約512万円)というとてもリーズナブルなエントリーレベルの価格で、ポスル キャンプスターは、このセグメントの中で最も有利な条件を備えた1台だ。
Photo: Christoph Boerries / AUTO BILD
ルノー トラフィック コンパーニャ(コンパーニャ):
全長4.99メートルのオペル ヴィヴァーロの兄弟車、ルノー トラフィックをベースにしたモーターホーム。改造の主な目的は、高い実用性とコストパフォーマンスの良さにあった。
競合モデルは主にプラスチックを使用しているが、コンパーニャの家具は主に本物の木で作られており、手作りだ。したがって、キャンピングカーは、本物の素朴な雰囲気を醸し出している。
また、1000リットルのトランクルーム容量は格段に大きい。
そしてもう一つの違いは、キッチンブロックが車の右側にあることだ。
備わったドアは汎用性があり、例えば、外側に折り畳んで作業用デスクとして使えるようになっている。
ガスコンロとその下には取り外し可能な31リットルのクーラー、そしてもちろんシンクが搭載されている。
コンパーニャの特徴は、ビーマーをオプションで注文することができるということだ。これにより、ポップアップ屋根が映画の夜のスクリーンに変身するようにできている。
ベッドの横になる面の長さは2メートル、幅は168センチ。ポップアップルーフは、ベッドの長さは1.95メートル、幅は1.35メートルとなっている。
標準モデルのルノー トラフィックには120馬力の2.0リッターターボディーゼルが搭載されている。追加料金で、145馬力と170馬力のエンジンを注文することもできる。より強力なバージョンは、6速ダブルクラッチと組み合わせることもできる。
マニュアル6速トランスミッションが標準装備だ。
すでにかなり広範囲に装備されたベーシックバージョンの価格は51,135ユーロ(約644万円)となっている。
Photo: Toni Bader / AUTO BILD
VWのキャンパーは昔から有名で、アメリカでもヨーロッパでも、とにかくちょっとしたキャンプ地や観光地に行くと見かけない日はないクルマだが、今や1,000万円もする高価なクルマなのか、ということに軽いショックを受けた。もはや気楽にキャンプに行くという気持ちになれないような金額だが、その出来の良さや内容を考えれば致し方ないかな、とも思う。言ってみれば、スノーピークのキャンプ道具のようなブランドなのだろう、VWキャンパーは。
ということで、それならもう少し安いキャンパーはないかな、という企画が今回のものだが、彼の地にはいろいろなメーカーの、いろいろな車種があるもんだな、という勉強におおいになった。
個人的にはオペル クロスキャンプが価格を考えればいい感じで、クルマそのものの質感も高そうで気になるし、ルノーも乗り心地はきっと良いだろうから捨てがたい。それでも簡単に500万円は突破し、700万円近く出さないと、良いキャンパーが手に入らないことも事実ではあるが、それでもこの手の車は長年ヨーロッパでもアメリカでも人気が失速することなく、ずっと継続して存在しているところをみると、ひとつのジャンルとして確固たる地位をとっくに昔から築いているのだろう。
こんなキャンパーを持って、自由気まま間に移動するような、そんな余裕がまだまだヨーロッパにもアメリカにも多く残っているのだと思うし、それこそが真の贅沢な過ごし方なのだと思う。酷暑もやっと終わりそうになってきたし、こんな車で旅をすることをぼんやり考える秋の夜長である。
Text: Elias Holdenried
加筆:大林晃平