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【カルト356テスト】伝説のエンジンを搭載した特別な1962年製「ポルシェ356 B カレラ2 カブリオレ」をテスト!

2024年8月15日

ポルシェ 356 B カレラ2 カブリオレ(Porsche 356 B Carrera 2 Cabriolet):1962年製の特別なポルシェ356をテスト。スタイリッシュに別荘までドライブするのも、風を切って嬉しそうに叫ぶのも?この1962年製のポルシェ356 Bカブリオレなら、その両方が可能だ。

クラシックカーにあまり馴染みのない人なら、「356」につまずくかもしれない。しかし、「ビートル」との類似性は(少なくとも遠目には)、一目見ればすぐに消える。なぜなら「356」は正真正銘のポルシェだからだ!しかも、これは通常の「356」ではなく、伝説の「フールマン エンジン(Fuhrmann engine)」と呼ばれる130馬力の2000 GS水平対向4気筒エンジンを搭載した「カレラ2」、しかも「カブリオレ」という最高級バージョンなのだ!

キングシャフト(4本のオーバーヘッドカムシャフトを駆動する)とデュアルイグニッションを備えたフールマン エンジンは、簡単に6,200rpmまで回転する。

しかし、経験の浅いドライバーを守るためだ: ソフトトップカラーとビートルヘッドライトを装備したポルシェが視界の隅に飛び込んできたとき、あなたはそれを他の何かと勘違いしてしまう。弁護士はこれを「一瞬の判断ミス」と呼ぶ。

これは運転中にも起こりうる。巨大なステアリングホイールの後ろに座り、快適だが滑りやすいシートに座り、長いギアシフト(3速だけが少しギザギザしている)の後、ギアを簡単に滑り込ませる。まるで「ビートル」のようだ。

そしてアクセルペダルを踏み込む。エンジンはまず力を蓄える必要があるようだが、2500rpmから一気呵成に加速をはじめ、他の車を追い越す。本気ですか?「本気だよ」とボクサーエンジンはバリトンでうなるようだ。他のボクサーエンジンが頭打ちになるところ、このボクサーエンジンはどんどん回転を上げる。カブトムシ?いやいや!この車は武器だ。

スポーツカーの遺伝子を持つコンバーチブル

実はこのクルマは、何よりもまずレーシングカーになることを意図していた。GTレース用のホモロゲーションカーとして100台を生産する計画だった。しかし、需要のほうが大きかった。スモールシリーズは1962年4月に発売され、ポルシェは436台を製造、そのうちの310台が「356 B」(カブリオレは34台!)、残りが「356 C」となった。1953年にエルンスト フールマンが「550スパイダー」用に設計した複雑な1.5リッターレーシングエンジンをベースにした2リッターエンジンを搭載していたことから、”カレラ2″と呼ばれた。このエンジンは、エルンスト フールマンが1953年に550スパイダーのために設計した複雑な1.5リッターレーシングエンジンに遡る。ポルシェはストロークを66mmから74mmへと大幅に延長し、ボアをわずか2mm拡大した。主な利点は、中速回転域でのトルクアップである。

レーシングカーに落ち着いたコンバーチブルのボディが与えられた。車の中心にシートがある理想的な構造となっているのがよくわかる。

モータージャーナリストからプリプロダクションカーのドラムブレーキは安定性に欠けるとの批判を受け、ポルシェはフロントとリアの両方にディスクブレーキを開発した。「ビートル」スタイルのホイールは直径30cmのディスクを可能にし、ブレーキがホイールを支えるため、ドラムブレーキに比べてホイール1つあたり300gの重量増にとどまった。その結果、高級コンバーチブルのボディにカモフラージュされたレーシングカーが誕生した。エバシュペッヒャーの快適な補助ヒーターも装備されている。

プラスとマイナス

「カレラ2」を購入する際に重要なのは、エンジン、ギアボックス、そして真正性の3つだ。真正性については「市場の状況」のセクションで詳しく説明している。例えば、「Classic Power」のウォルフガング ライレは、テクノロジーについて知り尽くしている。「エンジンはいつ作られたのか?誰が?整備資料があればなおよい。シリンダーとシリンダーヘッドの間にオイル漏れがあることが多い。吸排気系からエア漏れがあったり、ピストンリングからオイルが漏れていたりする場合は、エンジンを開ける。とにかくバルブカバーを外し、フィンガーフォロアやカムが食い込んでいないかチェックする。アルミのベアリングブロックが8つある。手で挿入し、せいぜい軽いゴム槌で叩く程度で、衝撃の跡があれば金属片などのゴミが入った痕跡と考えます」。

スタイリッシュなコックピットのスピードメーターは最高250km/h。

試乗中に4速が鳴ったら、おそらく摩耗しているのだろう。ホイールハウジングとギアスティックの間には、「カレラ2」には通常のアルミニウムプレートではなく、鋳鉄製の黒っぽいプレートが装着されているが、これは目視検査で見つけることができる。「356 C」では、ディスクブレーキの前にあるリングブレーキも見てみよう: ブレーキピストンは硬質クロームメッキが施されており、錆びたりクロームが剥がれたりすると漏れが発生する。

たとえフールマンやカレラでなくとも、356は複雑で高価な楽しみである。腕の良くないメカニックによるレストアは、希少なカレラモデルでは例外のはずだが、いずれにせよ、356の専門家が上から下まで点検してくれるはずだ。ロイター社で製造されたボディを持つ356をお持ちの場合、オリジナルの色と装備を記録した納車証明書をerlkoenig-classic.deから356ユーロで注文することができる。

マーケット状況

気をつけよう!クラシックデータ(Classic Data)によるれば、コンディション2の「356 B/T 6 1600 Super 90コンバーチブル」の価値は約11万8,000ユーロ(約2,030万円)、コンディション3は8万2,000ユーロ(約1,410万円)と高価になっている。ましてや「356 B カレラ2 カブリオレ」は60万ユーロ(1億200万円)以上で取引される。そのため、普通の356にフールマン エンジン、ディスクブレーキなどのコンバート、車体や書類へのちょっとした細工があれば、希少車の偽造ができてしまうため悪質業者は簡単に50万ユーロ(約8,500万円)近くも高く売れることができてしまう。したがって、購入する前に車を鑑定者に調べてもらうのがよい。

Text: Frank B. Meyer
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD